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演技で差別解消を目指すメソッド 「フォーラムシアター」

皆さん、こんにちは!
Bridge Projectのゆいかです。
今回はブラジルの演出家ボアールが発案し、差別解消を目的としてヨーロッパで実施されている「フォーラムシアター」をご紹介します。
私もフォーラムシアターのメソッドをガンガン使わせてもらっています!

フォーラムシアターって?

「あの時、なんか言えばよかった」
「私の行動は正解だったのかな?」
自分や他人が差別されたり、抑圧された時に、こんなことを思うことってありますよね。いざという時に行動できるように練習をし、色んな対処法を試して、参加者同士で学べる場所、それがフォーラムシアターです。

フォーラムシアターはブラジルの演出家アウグスト・ボアール氏が 1970 年代に発案した「被抑圧者の演劇」の一手法で、日常生活の抑圧(差別・ハラスメント等の権力の乱用)を題材にした参加型の劇です。観客は劇を観るだけでなく、役者と入れ替わり、自分なりの解決法を実践します。そして、参加者同士で解決案についてディスカッションをしながら、舞台上の抑圧の軽減や解消を目指します。そして、フォーラムシアターで得たヒントを日常の差別解消に役立てるのが最終目的です。
簡単に言うと、ディスカッションと組み合わせたロールプレイ。

2022年5月21日のフォーラムシアターの様子

どんな効果があるの?

一番大きな効果は
いざという時に行動できるようになる。

フォーラムシアターは日常生活の抑圧を題材にしていて、参加者が直面する可能性がある、もしくは直面したことのある場面を選びます。
なので、実生活でその場面に出くわした時、
「あ、どうしよう。。。」
と考えすぎて、手遅れになる前に
「あ!この前皆でやったやつだ!他の人はこういう風に解決してたな」
とすぐ行動できるようになります。

フォーラムシアターを体験すると、その他にも
自分と異なった立場の人がどのような気持ちで行動しているのか分かる。

時には抑圧者(加害者)の役を演じることもあります。
例えば、子どもに「早く結婚しろ、子どもを産め」と言う母親。
抑圧をされている子どもからすると、母親は自分の幸せがなんなのか決めつけている、理解してくれないと思うかもしれません。
でも、母親を演じてみると「ずっと専業主婦をしてきた母親は他の幸せの形を知らないんだな。子どもを心配しているんだな。夫とのコミュニケーションが上手くいかなくて寂しいから孫がほしいんだな」など色んなことが分かってきます。

それから、解決案をいくつも試すので
パワーバランスが変化するメカニズムが目に見えて分かる。

抑圧者(加害者)は交代できないのですが、周りの役とは全て交代できます。まず、一人の役と交代して分かるのが、一人だけでも変わると、場が変わるということ。そして、抑圧者以外全員がその場を解決しようと動き出すと変化は加速します。ただ、抑圧者の気持ちを無視しすぎると、今度は抑圧者が孤独になり、対立が悪化したり、会話が途絶えたりしてしまうことがあります。

その他にも、自分や他人の感情がより理解でき、寄り添えるようになったり、課題分析能力が育成されたりと、効果は本当にたくさんあると感じています。

劇を考えるプロセスも重要

どういう場所で使われているの?

私はドイツでルーマニア出身のトレーナーからフォーラムシアターを学びました。そのトレーナーは、例えば家庭内暴力が社会問題になっている村に行き、そこの広場で家庭内暴力を題材とした劇を発表し、村の住民と一緒に解決を考えていると話していました。

日本では少し珍しいメソッドのようですが、私は(公財)箕面市国際交流協会などの地域組織や大学でフォーラムシアターを行っています。2021年3月から合計10回(2022年6月時点)実施しました。毎回参加者は様々で、多様性が抑圧される色々なシーンを取り上げています。

箕面市立多文化交流センターにて

演技って難しくない?

結論から言うと、
想像している以上に簡単で、参加しやすい!

「私は演技はあんまり。。。」と言われる方は多くいらっしゃいます。
でも、実際は自分を演じるだけなんです。
大体皆さん、「思っていたより簡単に参加できた」と驚かれます。

フォーラムシアターのワークショップは毎回3時間~6時間。
実際に劇をするのは1時間半ぐらいで、残りの時間は体、気持ち、想像力のウォームアップをして、参加者と仲良くなっていきます。
自分の感情と向き合う機会でもあると私は思っています。


ウォームアップ

まとめ

「差別はよくない!」「人権を守りましょう!」
という講義やトークセッションも大事だと思います。
でも、実際に自分がどういう行動を取ったらいいのか、どうしたら差別されている人に寄り添えるかは、実際にやってみないと分かりません。
その練習の場を学校でもどんどん取り入れていきたいなという夢があります。皆さんはどう思いますか?

最後に

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