橋本賢二(キャリア教育研究家)

自称キャリア教育研究家、公務と人事とキャリアの重なるところに生息する国家公務員。 教…

橋本賢二(キャリア教育研究家)

自称キャリア教育研究家、公務と人事とキャリアの重なるところに生息する国家公務員。 教育、組織、人事などの観点から人材育成を中心に考えていることをまとめます。 公務員試験や民間企業への就職活動に活かせることも発信します(守秘義務に違反しない範囲で…)。

最近の記事

人事と人権

人事の仕事には、人権に関わることが多くあります。 公務員には基本的人権を保障する憲法擁護義務があるので、当然、職務遂行でも人権を意識します。民間企業でも(憲法の私人間効力という論点はありますが…)人権侵害につながる行為は基本的にNGです。 人事の関係で特に問題になりやすい採用やハラスメントに関しては、差別や人権侵害を防止するためのガイドラインがあります。しかし、何が差別や人権侵害に当たるのかは個別具体的に判断せざるを得ません。 残念ながら、組織が大きくなれば、どんなに防止措置

    • 空気を読まずに言葉を交換する

      2022年4月からある大学で演習科目(ゼミ)を担当しています。ゼミで学生に口酸っぱく伝えて意識してもらっているのが「表現」です。感じたことや考えたことを拙い言葉でもいいから、とにかく表現する。ゼミ中は感想でも疑問でも質問でも、発言を重視しています。掲示板(Blackboard)を活用して、ゼミ後にも振り返って考えたことを言葉にして、意見や想いを交換しています。 この国の人材育成の大きな問題として、年を取るほどに自分の想いや考えを表現する機会が少なくなることがあると考えてい

      • 公務員のキャリアパスとキャリアの可能性

        就職先を選ぶに当たって、多くの方が気にするのが「キャリアパス」です。 職業としてその道を選んだら、どんな機会があるのか、何年くらいでどうなっているのか、気になる方が多いのも分かりますが…、「キャリアパス」を気にしたところで、そのキャリアパスを自分が本当に歩めるのかは考えた方がいいです。 (1)「キャリアパス」に含まれるキャリアの2つの意味「キャリアパス」を気にする人は、どんな仕事を経験して何年くらいでどういう職責を担っているのか、職責にともなってきっと給与も…などと思い巡ら

        • 社会人が社会人大学院で学ぶ意味

          私は2022年3月に法政大学大学院キャリアデザイン学研究科を無事に修了しました。 せっかくなので、大学院を意識している方の少しでも御参考になれればと想い、体験的に社会人大学院に通う意味をまとめました。 (1)社会人大学院で失うものまず、社会人大学院は生半可な気持ちで行くものではありません。短期的に大きく失うものがあるので、それらを失っても中長期的に価値あるものに変えられる覚悟がなければ、通っても壮大な浪費に終わります。 ①お金私が修了したキャリアデザイン研究科では学費だけ

          ”公務員”志望者の残念な志望動機

          “公務員”を目指している方によく見かける残念な志望動機が3つあります。それぞれ紹介するので、もう少し深く考えるきっかけにしてください。 ① 民間企業の利益追求が嫌だ 税金という限られた原資を使って効率的・効果的に政策の効果を上げるためには、公益の追求も利益の追求と視点はあまり変わりません。最近では、SDGsなどが浸透して、民間企業でも公益を強く意識するようになっています。公務においても、公務単独で政策を実現することが難しくなっているので、民間企業やNPOなどと連携して施策を

          ”公務員”志望者の残念な志望動機

          「キャリア」は関係性で考える

          VUCAな世の中を生き抜くためには、「自律的キャリア形成」とか「キャリアオーナーシップ」が盛んに叫ばれています。私も叫んでいる一人です。 「キャリア」は様々な言葉で定義されています。物事を考える上で、定義は非常に重要です。しかし、普通は厳密な定義を理解するよりも、まずはイメージから掴むことが大切です。 「キャリア」のイメージは、「自分」と「社会」の関係性として考えられます。ここで「社会」とは家族・親戚・友人・同僚などの他者であり、職場・ボランティア・サークル・地域活動など

          「キャリア」は関係性で考える

          「人事(じんじ)」と「人事(ひとごと)」の差

          公務と人事とキャリアが重なる領域に棲んでいることを自負しているので、「人事」への想いを綴ります。 「人事」を音読みすれば「じんじ」ですが、訓読みすると「ひとごと」になります。「じんじ」か「ひとごと」かは大きな違いのはずなのですが、「じんじはひとごと」みたいな冗談もあるとかないとか…。 職場に人事部の職員が来た時、みなさんはどのような反応をするでしょうか? 「人事」が人事権という権力を持っている(ように見える)ので、残念ながら人事に対してネガティブなイメージがあることもしば

          「人事(じんじ)」と「人事(ひとごと)」の差

          立法、行政?、司法

          公務員を目指す学生に向けた話題のレパートリーから一つ。学術的なことはなるべく端折って分かりやすく…。 中学3年生で習う「三権分立」は「立法」、「行政」、「司法」の3つですが、なぜ「行法」ではないのでしょうか? この意味を考えることが、「行政」を深く知る第1歩になります。 昔、絶対王政で強権を振るった王様が「朕は国家なり」と言ったとか言わないとか。 一人に権力が集中するとよろしくないことが起こるので、国が持つ権力は分けた方がいいということで考えられた仕組みが「三権分立」です

          noteへの想いと方針について

          公務と人事とキャリアの重なるところに棲む橋本です。 公務員になってもうすぐ15年(ライスワーク)。 キャリアへの問題意識が芽生えて10年(ライフワーク)。 キャリア教育に関わってもうぐ7年(半分使命感)。 採用を通じて学生と関わってもうすぐ4年(本務)。 3つの軸足を行き来しながら、様々な場面でお話させていただく機会に恵まれ、公務と人事とキャリアに関していろいろなことをまとめたり発信してきました。 ここらで考えていることをしっかりと残しておきたいと思ってnoteのアカウン

          noteへの想いと方針について