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ちょっくらシルクロード横断してきます 〜中東・アジア旅行記⑨〜

三十路センチメンタルジャーニー 第一章イスタンブール編
ep9,ネオゴシックとは新しいゴスロリのことではありません 

 軍事博物館を後にし、このままアジアサイドにあるかつてのオリエント急行アジア側終着点駅ハイダルパシャ駅に向かう。早急ではあるが明日からイスタンブールを出てパムッカレに向かいたいと考えていたからだ。えっもう?と思うかもしれないが、中東を周ったあとにはシルクロードに向かうため、それらの各国のビザをイスタンブールで取得することになる。そのときには長い滞在になることが明らかで、おそらく1ヶ月近くのイスタンブールに滞在となる。そう考えると今回は早めにイスタンブールを出て次の目的地に向かうことにした。

 まずは、カラキョイの船乗り場を目指す。イスタンブールはその中心にボスポラス海峡が走り、海峡を境にヨーロッパとアジアに分かれている。こんなの今ならブラタモリで何回特集されても不思議でない都市になっている。カドキョイのフェリー乗り場から船に揺られ(10分程度だと記憶している)てボスポラス海峡を横断する。そしてアジア側の着いた降船場所は、ハイダルパシャ駅正面だ。

 このハイダルパシャ駅は、第1次世界大戦前にドイツの3B政策と相まって、ドイツから多大な資金提供を受けて建設。そう、これがまさしくベルリンーバクダットエキスプレスのビザンティンという中間点となる。もし戦前にこのバクダットエキスプレスがドイツベルリンとバクダッドを完全に結んでいたら、ドイツには大量の石油が届いていたことになる。まあ歴史にif...はないのだが。

 そんなハイダルパシャ駅の建築様式をネオゴシックというらしい。ゴシック建築といえば確かにtheドイツのイメージだし、天高くそびえる塔と縦に長いステンドグラスのイメージがある。そもそもゴシックという言葉の意味は野蛮人。ドイツという平原に住む人々を野蛮という風にとらえてのことらしい。ゴシックは形容詞で名詞になるとゴス、これは=古代ゲルマン民族ゴート族ということであるから、この建設もドイツ人建築家によってなされている。

 しかし、ネオゴシック=ゴシック・リヴァイヴァルと考えてみると、その発端はイギリスにあったりする。そう、あのフィッシュ&チップスとジェントルマンの国だ。たしかにロンドンの町並みって007の秘密基地があるテムズ川沿いの時計台とかもゴシック様式な感じだよなと考えてしまう。そもそもルネッサンスという神の時代から人間の時代への転換によって排除された中世の教会建築でもあったゴシック様式を1700年代後半に見直し、リバイバルさせたことからネオゴシックは始まったそうだ。そう考えたら野蛮にニアリーイコールな秩序のない無政府状態というアナーキーなパンク文化もイギリス発祥。

 そう、そしてそれは、決してゴシックという名のゴスロリ衣装ではないことをここに確認しておく。ゴスロリという名のゴシックとロリータの融合については長くなるのでやめておく。ちなみにゴスロリは我らが日本発。
 そんな駅の建築とゴスロリに思いを馳せながら、かつてのオリエントエキスプレスやバクダットエキスプレスの旅情を少しだけでも感じるべく、とりあえず乗っておくかと安易な考えから、今回は列車での移動に決めたのだ。しかし、ぶっちゃけてしまうと、トルコは長距離バスが一番便利で快適かつ早く、さらに安い。とはいえ急ぐ旅ではないので、パムッカレ行きのチケットを買いに行った。

 この駅は建築の外観もさることながら、内装もノスタルジーに溢れ、本当に素晴らしい。明日出発のチケットが購入できたので、シェア飯と情報収集、そして他の旅行者と戯れに宿に戻ろうかと考えたが、これだけ素敵な建築をもう少しだけ堪能しようと思い少しウロウロ散歩してみた。すると構内にレストランが見えた。ちらっと覗いてみると、トルコの伝統的タイルで装飾された内装で、しかもほとんど人がいない状態だった。

 この感じはおそらくちょっと値ははるかもしれないと頭に住み着いた貧乏人が囁いてくる。しかし、このようなレストランで食事を摂ることもおっさんの嗜みとして楽しみたい。しかも世界三大料理の一つスパイスのトルコ料理をB級グルメだけで終わらせるのはもったいないと思い脳内貧乏人に打ち勝つ形で入店。閑散とした中ではあったが、おかげでのんびりと食事をいただくことができた。特に名店というわけではないかもしれないが、これだけ歴史のある素晴らしい建築と内装の中で、のんびりと世界三大料理を本場で食すことが美味しくないわけがない。後からわかったことだが、このレストランは100年以上の歴史あるレストランでシーフードが有名なレストランということだった。

 こうして雰囲気と料理の余韻に浸りながら、再びボスポラス海峡を超えて宿に戻った。明日はいよいよパムッカレに移動開始だ。

ボスポラス海峡

読んでくれた人へ
 今後、定期的にシルクロード横断日記や行きたいけど行けないという悶々とした気持ちで書いた、脳内妄想旅行の計画などをアップする予定です。お暇なときにでも、そちらも読んでやってください。ありがとうございました。スキをしてくれると僕のテンションが上がります。よろしくお願いします。人生の無駄遣い万歳^_^

HPやってます。いろいろな旅行関連記事を書いているのでよかったらよってみてください(^^)


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