SDG'Sと農業を南北問題から考える

たまには自分が所属する農業界に関連するお話。
SDG'Sと農業と言うと何が思い浮かぶでしょうか?

関連するのは、
①貧困を失くそう
②飢餓をゼロに
③陸の豊かさを守ろう
④気候変動に具体的な対策を
他にもあるかもしれませんが、これくらいでしょうか?
SDG'Sを耳にする事がなくても、人口増に伴う食糧不足解決や高齢化に伴う農業従事者の減少、持続可能な農業というキーワードはTVで観た事がるのではないでしょうか?
①②個人的な意見としては、食糧不足については、需要と供給のバランスで今後も大きな問題にはならないのではない。需要が上がれば販売価格が上がる、そうすると新規参入も増えて来る。供給量が需要に追いつきトントンになる。と考えています。日本の場合、規格外品のため畑に捨てられる食糧が沢山あります。規格外品を適正価格で流通させるだけでも変わります。

飢餓をゼロに!なんて言うくらいなら、飢餓で困る彼らの国の作る作物を少しでも高く買取り、現金収入を増えるようにすれば良い。そしたら地元の農家さんは投資をしてもっと生産する事が可能になる。少し極端だけど、購買能力が不足するなら彼らの通貨の価値を上げれば良い。

個人的に問題だと考えるのは③④であり、それは農業というよりも南北問題に寄与するのではないかと考えます。

アマゾンでの焼畑が問題になったのは比較的新しいニュースかと思います。
焼畑の問題はアマゾンに限らず根深い問題です。
貧困層が多いブラジルなどでは、経済発展のために沢山作物を作れ、そのために焼いて畑を作れ、熱帯雨林の価値を知りながらも経済を優先する。
10年後20年後の安定よりも、今生きる事が大事な人々にとってSDG'Sなんて先進国の戯言なのです。

日本でだって何かが緊急事態が起きた時に平気でおこる買い占め。人間の原始的本能である恐怖を刺激する事態が起きるとSDG'Sなんて考えている余裕は無くなるのです。

SDG'Sを策定した時点でEU圏内の多くはそれを達成していると言われております。SDG'Sの理想は素晴らしいですが、既に持っている国々の論理であるわけです。歴史やストーリーを乗せてブランド化して売る事が出来るからこその論理なわけです。資産を持っているので投資してAI化や機械化して生産性を改善できます。

更にはビジネスの基本である安い場所で作り、高く売る という事が問題ややこしくします。安く買うために複数購買をして叩く。交渉力を持たざるものは値下げに応じるしかなく、それを補うべく低コストで作物を作る最悪の手段にでます。それの1つが焼畑でもあるわけです。土地を大事に育てて、、、なんてコストよりも新しい土地を焼く方が短期的にみれば利益を出しやすいのです。

21世紀資本論(著:ピケティ)を見れば、持てるものと持たざるものの対立を埋めるものは無いような気がしてしまします。

書きながら暗くなって来ました・・・
じゃあどうすれば良いんだろうか・・・個人的には答はあると考えています。多分全然暗くなる必要が無いのです。

南が持っているものとは何か、
文明国に住む我々が持ってなくて、
工業や経済的に遅れてしまった彼らが持っているもの、
それは北の人が文明の発展とともに捨ててきた古き文化や風習であり、それと根付いた一次産業(農業)であったり、古くからある彼らの文化に根付いた加工産業なのである。古くから続いているが故に、彼らは歴史やストーリーを持っているのです。彼らは私たちと違うものを持っているのです。

ワインが好きな方であれば、フランスのその土地土地の風土にあったワインを楽しむ事をイメージするとわかりやすいかもしれません。

それらを引き出せば③④の解決に繋がるのでは無いかと考えるわけです。
そして私たちはそれらを交換して受け取るマインドに縛られすぎてしまて心や背景を無視することに慣れすぎていますが、
贈与のように心やストーリーが詰まったものとして受け取れる準備ができたなら、私たちはもう少し南に価値を見出せるのでは無いだろうかと思います。

エチオピアで食べた発酵せた酸っぱい乳酸発酵した薄いパンのような食品であるインジェラ、新鮮なコーヒーのふくよかな香り、
数千年も前から続く塩の採集現場に立ち合い塩の深さを感じた時、
他にも感じたことはありましたが、私のアンテナが大きくたった瞬間だったように思います。

皆様も海外旅行をした時に私たちが持っていないものを南の人々が持っている事を感じたことは何度かあるのでは無いでしょうか?
または、もっと身近に国内でも地域毎異なる文化や風習、大事に守られて来た料理などがある事を感じた事がありませんでしょうか?
もっと身近に考えれば家庭毎に料理は異なります。家族とは何世代もの伝統が引き継がれて今があり、祖先から受け取って日々アレンジを加えていますが、幼き頃に母に作ってもらったご飯には特別な感情が芽生えているかと思います。
先日に麹作りの学校に参加した際に、定年を迎えるかどうかぐらいの年齢の方が参加していて、「小さい時に親に作ってもらった甘酒の味を再現したくて来ました」という方がいました。
味の体験を通じて私たちは祖先との繋がりを感じ、今に豊かさを感じている場合もあるのです。

もちろん技術、ITはどうでも良い なんて思いません、それらはこれからの世の中で必須と思います。SDG'Sの課題を解決する事に間違いなく貢献すると思います。
しかし、SDG'Sとか南北問題とか難しい事を考える必要もなく、
お互いの違いを引き出しあい尊重し合い、平等や不平等を超えた凸凹したパズルが繋がっていくように調和した社会になれば良いなと思う次第です。
そうなれば農業の問題は自然と解決する方向に向かうのでは無いでしょうか。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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