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朝尾幸次郎『英語の歴史から考える 英文法の「なぜ」』読んだ

このての本はたくさんあるが、なぜこれを選んだのかは忘れてしまった。3年以上積んでいたからである。

言語の歴史は面白い。特にヨーロッパの言語の中でも特異な英語の歴史は面白い。なんせギリシャとかローマ帝国の時代は辺境もいいとこだったのに、その辺境の言語が世界を征したからである。

ラテン語などの他のヨーロッパの言語を学ぶとよくわかるのだが、英語は極端に格変化や活用、つまり屈折の少ない言語である。

古来よりブリテン島に住んでいた人々が話していた古英語は、ラテン語に負けないくらいの屈折があったが、デーン人の侵入やらローマ帝国やらノーマンコンケストやらでどんどん脱落していったそうだ。異邦人同士がなんとかコミュニケーションを取ろうとするとき、どうしても語尾や活用がいい加減になるよね。。。
言うまでもなく、屈折の少なさは私たち現代人にとっては学びやすく、たしかにこれが世界語にふさわしいと思わなくもない。

屈折の現象とともに、母音の脱落、音節の脱落による単音節語の増加、曖昧母音の増加といった現象も起こり、ラテン語系の言語に比べると非常に聞き取りにくい言語になった。

名詞においては、属格が消えて、与格と対格が融合して目的格となり、その目的格も主格に吸収され、性が消失して政治的に正しくなり、、、代名詞以外はほぼ格変化は消えてしまったのである。

なお目的格が主格に吸収される過程は現在も進行中であり、whomがwhoに吸収されそうになってるのもそういうことのようだ。

格変化が多かったときは、名詞が副詞的に使われていたが、その名残はいまでもある。例えばgo homeとか、あるいはtodayのような場所や時を表す名詞は副詞的に使われる。またsuggestive ofのように、形容詞がofを従えるのは、他の言語でよくみられる副詞的属格の名残である。

屈折が少ないと名詞を副詞的に使いにくくなるのだが、そのかわり名詞が動詞に転化したり、もしくはその逆がやりやすくなる。Googleは名詞だったが、いまは動詞でもある。また名詞にenとかyをつけると容易に派生語を作れる。

ちなみになんで三単現のsだけ残ったのかは謎らしい。

あとは日本人が間違えやすい仮定法とか冠詞のことが、歴史的に説明してあり面白かったなあ。


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