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#804 アルバム論52|ロブスター / ↑THE HIGH-LOWS↓(1998)

本日のアルバム論はハイロウズの3枚目のアルバムであり、鬼才・松本人志がジャケットを描いたことでもお馴染みの「ロブスター」を紹介しましょう。


「ロブスター」とは?

これまでは95年、96年とコンスタントに毎年アルバムをリリースしていたハイロウズが、前作Tigermobileより1年5カ月と割とロングスパンを置いてリリースしたアルバムです。

虎からエビという感じで生物的には大分弱くなってしまいましたが、グルーヴとサウンドは更にパワーアップし、まさに真骨頂!
更には前作のラストナンバー「月光陽光」から通じる、ブルーハーツ時代を感じさせるメロディも更に増えており、このロブスターを最高傑作と呼ぶ人も多かった。僕の周りにもいました。

僕は唯一このアルバムは持ってないんです!
割とリリースされてすぐ、MDで全曲落としたので買う理由が無かったのと、このアルバムのTOP3が収録されているシングル「ローリング・ジェット・サンダー」を購入したのが理由だったと記憶しております。

そんな感じで僕はスタジオアルバムで唯一この作品を持ってないんですが、それでもめっちゃ聞きましたし、大好きなアルバムですね。


「ロブスター」渾身の全曲解説

1. コインランドリー

1曲目からエグイ位カッコいいです。
BECKの中でもコインランドリーという曲がありましたが、本家はこっちですね。

これまでの「グッドバイ」「俺軍」もですし、以降の「罪と罰」「青春」とか含めてもハイロウズは1曲目に持ってくる曲は大抵カッコいいんですけど、そのなかのどのタイプとも違う、シンプルで骨太なロックンロールの格好良さ。
ANGRY FISTのSTART TODAYがイメージが近いですね。
とにかくパンクな曲でご挨拶という感じです。

想像力 それは愛だ

この歌詞には大分衝撃を受けました。シンプルでクソカッコいい美学
この一節を聞いただけでもこのアルバムの元は取れる気がしますし、それくらいにパワーがあり、クソカッコいいオープニングナンバーでこのアルバムは幕を開けます。
脱ブルーハーツを意識した1st、とにかくロックンロールを意識した2nd、そして3rdはやりたいように楽しんだ感じでしょうか?
とにかくこのアルバムを集約したようなイカした曲ですね。

ライブ盤とかビビるくらいカッコいいです。
この時期のヒロトの金髪は相当カッコいいですよね・・・


2. E=MC2

超ポップで、これまでのハイロウズには無かった感じの曲ですね。
タイトルのの公式はアインシュタインが特殊相対性理論からみちびいた,世界で一番有名な式ですね。

この曲は前奏もAメロもサビもとにかく最初から最後までポップでゴキゲンで、そういう意味ではハイロウズらしくない曲だったりしますね。
個人的にはイントロのブリブリのベースラインと、サビのベースとキーボードがかなり好きな感じだったりします。
恐らくロブスターのツアーでしか披露していないと思われますが、ライブでは絶対盛り上がる感じの曲ですよね。
サビの「エーネールギー」もだし、ラストの「E!」とも叫びたい。

まさに若者のエネルギーを誘発させる曲ですね。


3. 不死身のエレキマン

前回ハイロウズBEST10を発表した際に、この曲をなぜランキングに入れなかったのかと言うと、ベスト10で「千年メダル」と「真夜中レーザーガン」を登場させていたので、1つのアルバムから3曲を紹介するより時期をずらしたかったので、泣く泣くこの曲の紹介を諦めたんですが、大好きな曲です。

初めて聞いたのは「ぷらちなロンドンブーツ」のオープニングとしてでした。この番組も大好きで毎週見ていたんですが、とにかく主題歌がカッコよかった。

ライブでは毎回本編のラス前にこの曲をやって、最後が真夜中レーザーガンでしたが、ライブが滅茶苦茶カッコいいんです。

ライブでは毎回ヒロトがギターを弾き、最初はフライングVで、その次がSGで、そのあとは布袋が弾くようなギターを弾くんですが、その弾きっぷりが毎回クソカッコいいんです。
ヒロトがこれらのギター持った瞬間で「お、不死身のエレキマンだ!」と分かるんですが、それがそれで楽しい。
(アコギを持ったら日曜日よりの使者ですね)

そしてこの曲最初のドラムの入り、そしてイントロはマーシーのリフ、ヒロトのバッキング、そしてべっちゃんのベースが鬼カッコいいんです。下手したらイントロが一番好きかも知れない位、とにかくイントロが鬼
ハイロウズのイントロNo.1は、ミサイルマンかこの曲でしょう。

そして曲もカッコいんです。そして何より歌詞。

ああ 自分が自分の世界の主人公になりたかった
子供の頃から憧れてたものに なれなかったんなら大人のフリすんな
第一希望しか見えないぜ 不死身のエレキマン

この曲だけでまだまだ5,000文字くらい書けそうですが…この辺にしておきましょう笑
ライブでも3回位聞いたと思います。毎回カッコいいと興奮しつつもあり、もうすぐライブも終わるのかと少しアンニュイにもなる、そんな曲です。

BECKで千葉君が歌いかけたくらい、ロックファンにも愛されている曲ですね。
この曲はのちのベスト、FRESHに収録されるべきでした。


4. ブカブカブーツ

これまでの1~3曲はかなり熱量高く、分量も多く紹介してきましたが、この曲はちょっと休憩的な感じの曲なので、解説も軽くしておきます笑

とにかくタイトルの時点で何となく察していただけると思いますが、「靴のサイズが大きい」と大きいという感じで、それ以上でもそれ以下でもない緩い曲ですね。
珍しくこの曲はヒロトが歌う曲にも関わらず、ガンガンブルースハープを弾く曲だったりします。
この曲はこれくらいで・・・笑


5. ピストン

この曲もヒロトのアホさが際立つ曲で、1stの「ビッグ・マシン」、2ndの「ヌゲヌゲ」に続く、ワイヒーな感じの歌詞の曲なんですが、この曲は真っ芯のロックンロールでカッコいいです。
ライブで聞いたら死ぬほど盛り上がるでしょう。

このアルバムは全体的にベースがカッコいいんですけど、この曲も
「俺はただ高速道路を~」のところのベースラインが最高に好きですね。

ピストン ピストン ピストン ピストン
ピストン ピストン 穴が呼んでるぜ ピストン

歌詞はクソですが、曲はカッコいいです笑


6. 有名

謎の民族調の曲が急にカットインします。
「有名」というタイトルからなかなかカオスですが、歌詞も「有名、英語で言ったらfamous」という適当な感じで始まりますね。
この人たち(ヒロトもマーシーも含む)は、自己顕示欲は無いはずなので、この歌詞はあてこすりなのか、特に意味もないフィクションなのかは不明ですが、まぁそんな真剣に聞かなくてもいいでしょう笑


7. そうか、そうだ

ちょっとこの曲もタイトルが意味深だったりするんですけど、「コインランドリー」「ピストン」に通じるような王道のロックンロールですね。
自分で「そうか!」と気づき、「そうだ!」と結論するという単純な思考なロックンロールですね。
僕は初めてこの曲を聴いた時、最初のひらがな3文字を違う意味のダブルミーニングと捉えて困惑したものでしたが、恐らく杞憂でしたね笑


8. 風の王

マーシーがさわやかな曲を作ったな、という印象の曲ですね。
ブルーハーツの印象も漂う、さわやかなサマーチューンです。シングルになってもおかしくないくらいの、ゴリゴリにポップな曲ですね。

マーシーが「ビーチボーイズ」というワードを使っている辺りにちょっとニヤッとしてしまいますね笑


9. ゲロ

この曲もカッコいいですね。
「コインランドリー」「ピストン」「そうか、そうだ」に続き、真っすぐなロックンロールでして、改めてこのアルバムのロックさが垣間見えますが、このアルバムさを更にソリッドにして突き詰めたのが次作「バームクーヘン」だったりしますが、それは次回解説に置いておきましょう。

で、この曲もいいですね。
「給食を残して怒られる」という、今の価値観だと許されない掟な気がしますが、ヒロトの学校や、SEX MACHINGUNSのANCHANGの学校はそうだったんでしょうね笑

まずけりゃ吐くぜ  まずけりゃ吐くぜ  遠慮なく吐くぜ
まずけりゃ吐くぜ  まずけりゃ吐くぜ  ストレートにぶちまけろ

カッコいい歌詞です。


10. 千年メダル

そしてこの曲です。
前回の音楽論ハイロウズ編でも解説していますが、僕はこの曲を初めて聞いた時に「自分の結婚式でこの曲を使おう」と思い、オープニングに使いました(エンディングは「夕暮れ」でした)

曲調はとにかくポップでカジュアルで、
もう、ブルーハーツもハイロウズも無いんだなという感じですね。
とにかく楽しい演奏で、メロディも最高にポップ。
冒頭のラララ…からゴキゲンさも伺えますが、やはりこの曲は歌詞が素晴らしい

曲の主人公は結婚する前に、プロポーズする相手に何を言うか考えるんですが、そのフレーズがぶっ飛んでます。

永遠に君を愛せなくてもいいか
十字架の前で誓わなくてもいいか

「永遠に君を愛する」とか「十字架の前で誓う」というのは結婚式の常套句であり、守れるか分からない約束なので、主人公は「守れそうな約束」と「気の利いた名ゼリフ」を考えるという、とにかく現実主義なんですが・・・この前フリがあって、サビで名ゼリフが続きます。

例えば千年 千年じゃ足りないか
できるだけ長生きするから

永遠には愛を誓えないけど、できるだけ長く、例えば千年くらい「長生きして君の傍にいる」という事を、「愛してる」などの言葉を一切使わずに表現するという、素晴らしいウェティングソングですね。
改めてヒロトの表現力に感銘を受けました。

僕が眠るのは君の夢を見る時
僕が歩くのは君に会いに行く時
僕が何も聞かないのは 答えなんかない方が その方がいいから

このフレーズも好きですね。
歩く花の「普通の星の~」に通じる好きなフレーズです。

そんな感じで長く解説してしまいましたが、多くの人に聞いて欲しい名曲ですね。
こんなに素晴らしい曲にもかかわらず、 HEY!HEY!HEY!に出た時はクソふざけたバージョンで歌うという笑


11. 真夜中レーザーガン

そしてこの曲も大好きです。
以前にハイロウズで一番好きな曲にこの曲を挙げました。
時期によって、ハスキーだったり、十四才だったりしますが、この曲も相当好きですね。
バンドにも愛され、ライブの本編最後で毎回やるグルーヴが大好きでした。

もう最初から最後までロックンロールでクソカッコいいというのがこの曲の間奏になってしまうんですが、まずはマーシーのリフですね、
シンプルなリフで、いきなり始まるサビ。

飛んでくぜ  飛んでくぜ  真夜中レーザーガン

このフレーズだけなんですけど、なんでこんなにカッコいいんでしょうか?

そしてこの曲だけじゃないですが、僕はハイロウズはマーシーが好き放題弾くギターの裏で、べっちゃんの安定感があり時に遊ぶベースと、白井さんのキーボードと、おーちゃんの激しく上手いドラムが大好きで、この曲はその真骨頂だと思ってるんですね。

ベースに関してはサビの2回目の「飛んでくぜ」のところからパターンが変わるのも好きですし、Aメロのシンプルな感じもいいし、Bメロのちょっと動く感じ、そして「加速して」の所のベースラインも大好きですね。

白井さんのピアノは全体的にコードで弾いてる感じがいいんですけど、「加速して」のピアノの所が一番好きです。白井さんが抜けた後は脳内でこのピアノを補完して聞いていましたし、それくらい好きなフレーズでした。

そしてドラムでしょう。
この曲のドラムは本当にカッコいいんですが、ライブバージョンのドラムも鬼カッコいいですね。2回目の「加速して」の所でパターンが変わり、「存在証明」でドドドドドドってやるのが大好きです。

そんな感じでイケてる演奏に乘って、ヒロトのヴォーカルが染みる、カッコよくもありメロウでもある、永遠に高校時代にタイムスリップする名曲です。

そしてこの曲も、後のベストアルバム「FRESH」に収録されておらず、僕は激高したものでした笑
この曲は絶対入れなきゃダメです!!!!!絶対!!!!


12. 夏の地図

そして最後はピースな曲で終わります。
このアルバムはやっぱり全体を通して「」ですね。
ブルーハーツを彷彿とさせる、少年の心境をメロウに描いた名曲でして、ライブでは演奏していないと言うのがもったいない曲ですね。

そんな感じで夏の余韻を残し、この名盤ロブスターは終了します。


「ロブスター」 ヒロト曲とマーシー曲

今作も前作、前々作同様の全12曲で、ヒロトとマーシーで6曲ずつ作ってます。

ヒロト曲
不死身のエレキマン、ブカブカブーツ、ピストン、ゲロ、千年メダル、夏の地図

マーシー曲
コインランドリー、E=MC2、有名、そうか、そうだ、風の王、真夜中レーザーガン

このアルバムはマジで甲乙つけがたいのですが、「不死身のエレキマン」「千年メダル」のヒロトより、僕がハイロウズで一番好きかもな「真夜中レーザーガン」のマーシーに軍配が上がりそうなので、このアルバムにおいても僕はマーシー派ですね。

とにかく、自由に音楽を楽しんだ感じで本当に素晴らしい名盤ですね。
僕の中でもかなり思い入れの強いアルバムです。

そして、もう1曲!


「ローリング・ジェット・サンダー」

この曲を紹介しない訳にはいかないでしょう。
唐突にリリースされた曲であり、ロブスターツアー中に完成した曲で、表題曲のこの曲以外の3曲は「千年メダル」「真夜中レーザーガン」「不死身のエレキマン」のBIG3のライブ音源をセレクトしたマキシシングルです。

これはメチャクチャ聞きましたね・・・


1. ローリング・ジェット・サンダー

この曲のイントロはカッコよすぎて、カッコよすぎて、カッコよすぎてヤバいですね!
もう何度でも繰り返して聞けるくらいカッコいい!
上で「ミサイルマン」か「不死身のエレキマン」のどちらかがイントロNo.1という話をしましたが、この曲も勿論入りますね。

もうおーちゃんのドラムが鬼です!あの激しさでよく合わせられますよね?
そしてギターとベースのパターンもシンプルですが、とにかくカッコいい。
もうこの曲はイントロが最高にカッコいいですね。

曲が始まってからはシンプルですが、途中の「全開しなきゃ」のところのメロディもですが、ピアノがいいですね。ここのピアノは泣けます。

とにかくアブラが乗りまくっていた時期、ライブでできた曲をファンサービス的な感じで出す曲すら地獄のようにカッコいい辺りが、ハイロウズの魅力でしたね。
とにかくカッコいい曲です。



まとめ

そんな感じで今回もボリュームたっぷりで紹介しました!

次回は4th「バームクーヘン」を紹介します!以上!

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