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#764 アルバム論49|PAN / THE BLUE HEARTS(1995)

ブルーハーツのオリジナルアルバムの紹介も今回で最後です。
そんな感じのラストアルバム「PAN」について本日は紹介しましょう。


PANとは?

その前にブルーハーツの「解散」について語らなければなりません。
ヒロトの「もう一度ブルーハーツを盛り上げたい」という以降の下、凸と凹のアルバムがリリースされ、セールスも観客動員もそれなりではあったのですが、ヒロトの思い描く「盛り上げたい」とは違ったのか、彼らは「解散」という道を選んでしまいました。


あとはベースの河ちゃんの宗教団体「幸福の科学」への傾倒も一つの理由ではないかと言われております。
「インスピレーション」の中の一説など、そのような影響を隠そうとしなかっただけではなく、ブルーハーツのファンに幸福の科学をスカウトしたという説もありますが、まぁ真相は分からんですね。

そして解散が発表され、このアルバムがリリースされた時期、ブルーハーツの活動は完全にストップしていたが、レコード会社との契約が残っていたので、「もう1枚アルバムをリリースしなければならない」というアダルトな事情があり、4人で曲を持ち合って収録するというバラバラで残念なグルーヴとなりました。
ヒロトに至ってはその時活動していた「ザ・ヒューストンズ」の曲を、ブルーハーツ名義で収録してますからね笑

そんな感じでメンバー同士では一切連携がない、ソロ作品を集めた感じのアルバムとも言えるでしょう。

ねーちゃんが解散直前でブルーハーツのファンクラブに入っていて、このアルバムも買っていたので当時借りて聞いてましたが、あまりこのアルバムは琴線に触れませんでしたね笑


PAN全曲解説

1. ドラマーズ・セッション

梶くんが初めて作った曲なんですが、ひたすらドラムが鳴り響くドラムのみインスト曲です。
ジュンスカの小林さんとか、ハイロウズの大島さんとかも参加して、とにかくドラムがドンドン延々と鳴り響いているだけの曲と言えばそれまでなんですが、意外と非ドラマーでも聞けたりする、そんな曲ですね。
梶くんのドラム愛が伝わってきますね。


2. ヒューストン・ブルース(月面の狼)

この曲はメチャクチャカッコいい曲で、ヒューストンズのテーマですね。「We Are ザ・ヒューストンズ」とか言ってるし笑
イントロがカッコいんですけど、特にベースがカッコいいんです。とにかく歪んでいる感じがカッコよくて、エグイ曲ですね。
のちのハイロウズの「スカイフィッシュ」に通じるところがあるんですが、とにかくカッコいいです。

そしてこの曲でヒロトが歌った河ちゃん(が信じるもの)を全否定したフレーズがあり、河ちゃんが激おこ
そんな感じで最後までギクシャクの悲しい感じな曲ですね。


3. もどっておくれよ

これもなかなか寂しい曲です。
時間が戻って欲しいのか、以前の河ちゃんに戻って欲しいのか、昔のバンド全体に戻って欲しいのか、はたまた自分に対してなのか・・・とにかくいろいろな示唆を感じる、寂しい曲です。

もどっておくれよ こぼれたサイダー
もどっておくれよ 遠い約束

この辺の歌詞は本当に素晴らしい。
マーシーの嗄れ声が響く、ロックバラードですね。


4. ボインキラー

ヒューストンズのアホ曲です笑
ですが、この意味のない歌詞の羅列や言葉遊びなどが大人な感じがして、ハイロウズを意識した感じが垣間見えますね。
とは言えボインキラーの意味は分からんですね笑


5. 花になったかまきり

梶くんが初めて歌った曲です。
まさかのサンバで、女性コーラスやサンバが映える楽しくてゴキゲンな曲です。寓話的な歌詞も非常に◎ですね。
真剣にこのアルバムに向き合った感じがして非常に素晴らしいですね。


6. バイ バイ Baby

3曲目の「もどっておくれよ」に同じく、別れや寂しさを示唆する悲しい曲で、ホーンやコーラスが美しく、ザ・ロネッツが歌ったBe My Babyを彷彿させる曲ですね。
メロディも綺麗で、マーシーの声とのアンバランスさがいい感じですね。
流石の名曲です。


7. 歩く花

このアルバムのベストソングであり、ブルーハーツの…というとちょっと違うので、この時期の甲本ヒロトのベストソングとも言えるでしょう。
これをマーシーのギター、河ちゃんのベース、ブルーハーツの演奏に乗せて聞きたかった所でもありますが・・・
とにかく最高にカッコいい、ウェディングソングです。

メロディが素晴らしいんですけど、やっぱ歌詞ですね。
サビの下記の歌詞は、奥さんが花屋さんの友人に送った実話らしいんですが、最高にロマンチックで、本当に素敵なウェディングソングですね。

今日からは歩く花 根っこが消えて足が生えて
野に咲かず 山に咲かず 愛する人の庭に咲く

そして下記のこの歌詞が本当に素晴らしいと昔から思っています。
まさに、世の中の全ての夫婦やカップルに当てはまるマジで名言ですよね。

普通の星の下に生まれ
普通の星の下を歩き
普通の星で君と出会って
特別な恋をする

僕も結婚の際にはこの曲を使いたいとも思ったんですが、この曲はやはりこのヒロトが贈った2人や、花関係の仕事の方にこそ使ってほしい曲と思い、断念しましたが、それでもこの曲を聴くと自分の結婚式も思い出しますね。


8. 休日

そしてこの曲も有名ですね。
個人的には「歩く花」と、この「休日」がこのアルバムの2枚看板だと思っています。
完全にマーシーのソロを彷彿とさせる曲ですが、サビの「いつの日かこの街を出ていく僕等だから」がアホみたいに印象に残り、姉が持っていたので小6位でこの曲を初めて聞きましたが、その時にインプットした記憶をずっと持っていました。


9. トバゴの夢(キチナーに捧げる)

梶くんが作ったトロピカルな感じな曲で「花になったかまきり」よろしくな、可愛い曲ですね。
チキナーというのはカリプソ界の大御所の名前で、そのチキナーがトリニダード・トバゴ出身とかそんな感じのグルーヴのようです。
トリニダード・トバゴと言えばドワイト・ヨークですね。
そんな感じの曲ですが、この曲はYouTubeで一切痕跡が無いので、チキナーの動画を貼っておきます。


10. 幸福の生産者

そして最後の4曲は河ちゃんゾーンですが、なかなか強烈です笑

もう完全に「河ちゃん=幸福の科学」という前提で聞いてしまっているので、教団のコマーシャルソングにしか聞こえなかったりですが、この曲は「RIGHT RIGHT RIGHT」で始めるのがなかなかエグく、初めて聞いた時メッチャ怖かったですね笑
もっと違う形で出会えば普通に良い曲だと思うんですが、そうしたバックグラウンドがあるのであまりお勧めできない曲です笑


11. Good Friend(愛の味方)

この曲は河ちゃんのルーツというか、得意であるパンク調の曲なんですが、「ドラムが打ち込みなのでデモテープのように聞こえる」という悲しい評価を受けている曲だったりします笑
皮肉にもこの曲がこのアルバムで一番ブルーハーツっぽかったりしますね。


12. ひとときの夢

この曲が個人的に一番キツいです笑
冒頭のイントロが完全に何といいますか、教団紹介のイメージ動画のような、経典のような感じであり、女性のナレーションが入りそうな感じで解脱しそうになり、河ちゃんが畳みかけるというなかなか・・・な曲です。
この曲と「皆殺しのメロディ」とかが同じアーティストの曲としてカテゴライズされるのがなかなか恐ろしいですね笑
あまりお勧めしません笑


13. ありがとさん

そして最後はサクッと終わります。
ブルーハーツを代表して、これまた皮肉にも最後は河ちゃんが〆るという感じなんですね・・・



まとめ

これまでのアルバムは「このアルバムはヒロト派」「このアルバムはマーシー派」と決めていましたが、さすがにこのアルバムは決められないですね。
曲でいうと「歩く花」が一番好きですが、ザ・ヒューストンズの曲ですし笑

そんな感じですが、次回でブルーハーツも最後。
まだ紹介できてない曲が何曲かあるので、最後はそうしたアルバム未収録曲がすべて収録されているALL SINGLE BESTを紹介します。以上!

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