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#744 アルバム論47|STICK OUT / THE BLUE HEARTS(1993)

アルバム論、これまでブルーハーツの5枚のアルバムを紹介してきましたが、終盤に差し迫りつつある感じで、本日は6枚目のアルバム「STICK OUT(凸)」を紹介します。


STICK OUTとは?

本日紹介する「STICK OUT」、そして次回に紹介する「DUG OUT」は2枚で1枚のニコイチであり、ズッ友である、そんな関係性を持ったアルバムです。
STICK OUTが激しめの曲で、DUG OUTがゆっくり目の曲という感じで、それぞれ特徴がありますね。

そんなSTICK OUTは含む名曲ぞろいのアルバムで、ブルーハーツがBUST WASTE HIPぶりに、最後にオリコン1位に輝いたアルバムです。

僕はこのアルバムを買った記憶は無いのですが、ずっと家にありました。
誰に借りたかは覚えていないんですが、「そんなことはもうどうでもいいのだ」です。
しかし、地元の友達に貸して返ってこなくなりましたが、当時のアルバムの貸し借りはそんなグルーヴでしたね笑


STICK OUT魂の全曲紹介

1. すてごま

凸(突出)のトップバッターを飾るこの曲は最高にハイで、攻撃的で、正に第二期ブルーハーツの幕開けに相応しい曲です。ライブでも1曲目が多かったのではないでしょうか?

歌詞はPKOの自衛隊のカンボジア派遣を批判する感じですが、個別と言うよりかは全体的なテーマな気がしますので、湾岸戦争自体を皮肉った印象であったり、もっと広義なメタファーとを思っててます。
更に「戦いにワクワクする男たち」と「それを俯瞰で見る偉い人」の歌詞なのかなと。

男A「おろしたての戦車でぶっ放してみたい!」
男B「誰かの敵討ちをしてカッコよくやりたい!」
男C「今度こそはやってやってやりまくる!」

偉い人「君、ちょっと、行ってくれないか?」

みたいな感じですかね?


2. 夢

そしてこの曲は有名ですね。
「あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しい、もっともっと欲しい」もしくは「あれもしたい、これもしたい、もっとしたい、もっともっとしたい」というサビはシンプルであり、メチャクチャ印象に残るフレーズですね。
そしてAメロの「俺には夢がある」はキング牧師からでしょう。
曲名の通りの「夢」です。

この曲はビールのCMだったのをかろうじて覚えてますが、それよりも有名なのはドラマ「人にやさしく」ですね。なんでそのまま当該曲が主題歌にならず、夢が主題歌になったのかは未だに謎ですが笑

この曲は個人的には「家から遠く離れても」のベースラインが好きですね。
このBメロを上手い感じにパクったのが「ブーンブンシャカブブンブーン」ですね笑


3. 旅人

この曲も最高に盛り上がるシングル曲ですね。
サビの「プルトニウムの風に吹かれて行こう」がシンプルで強すぎる名曲です。

この曲で思い出に残っているのは大学時代にカラオケでバイトしていた時、バイトが終わった後は空いている部屋でよく歌っていたんですが、その日は暇すぎてみんなで採点で遊んでいて「ブルーハーツの旅人は高得点を出せる」みたいな謎の説があり、みんなで繰り返しこの曲を歌ってましたね笑


4. 期待はずれの人

1~3曲目が超攻撃的だったので、この曲でちょっとだけクールダウンです。
なかなか辛辣なタイトルですが、この曲を都知事選に落選した候補者達に送りたいですね笑


5. やるか逃げるか

この曲も好きです。
「すてごま」に続いてPKO批判の曲で、「死んだらそれでさようなら」などシュールにニヒルな歌詞だったりするんですけど、メロディは素晴らしい。
白井さんのピアノが最高に美しいし、メロディが全体的に良いですし、マーシーのハモリも秀逸です。
何度でも聞きたい曲です。


6. テトラポットの上

この曲もねーちゃんが好きで家でよく聞いてました。
シンプルなロックンロールであり、このアルバム全体の攻撃的なグルーヴがこのような1曲1曲にも込められているのが分かりますね。


7. 台風

とにかくシンプルな曲ですね。
シンプルなロックンロールでマーシーが作ったのが分かってしまう、そんな曲ですね。
このような梅雨の時期に聞きたくなったり、ならなかったりする曲です笑


8. インスピレーション

このアルバムで唯一の河ちゃん曲ですね。
この曲が何気に結構いいんです。最初のイントロもまさに「凸」でカッコいいですし、いきなり始まるサビも良いですが、個人的にはAメロが一番好きですね。

「神様ならばきっときっと僕の答えと同じはずだね」の所をヒロトがこの歌詞は歌えないと言って河ちゃんに歌わせたのは有名ですね。


9. 俺は俺の死を死にたい

久しぶりのマーシーが歌う曲です。
この曲も歌詞がマーシー節が炸裂しており、ヒロトのブルースハープもいい感じで、非常に聞いていて楽しい曲です。
ちょっとハイロウズガタガタゴーにも通じる感じもしますね。


10. 44口径

シンプルで楽しい曲です。
お笑いコンビ「二丁拳銃」はここからコンビ名を持ってきたようですが、なんでタイトルの44口径ではなく、歌詞の二丁拳銃をセレクトしたのかは未だに謎ですね笑


11. うそつき

ピストルズのLIARを彷彿とさせるタイトルですが、完全にハイロウズの砂鉄ですね笑
まぁこっちの曲の方が先なんですが・・・
サビの「下手な嘘ならすぐバレて寂しくなっちゃうよ せめて100年はバレない大した嘘をつく」の一説は好きですね。


12. 月の爆撃機

そしてラスト2曲は本当にカッコいい。
この曲はライブバージョンで、マーシーの「やるよ!やるよ!やっちゃうよ!」から聞きたいですね。

とにかくギターがこの曲は最高にカッコいいですし、Aメロもサビもギターソロも全部いいですが、個人的には「さび付いた~」の所が好きです。

マキシマムザホルモンはこの曲のAメロの歌詞である「誰の声も届かない 友達や恋人も入れない」というフレーズが恐らくドンズバだったので、「鬱くしき人々のうた」のオープニングとして使われていますね。

あと、この曲で覚えているのが、割と最近の3年位前に、22歳くらいの子のアルバイトの面接をした時に、「お父さんが聞いていたブルーハーツが好き」と言っていたので、ちなみに好きな曲は?と聞いたら、この曲と答えていたので、「あ、本当に好きなんですね」と答えた記憶がありますね笑


13. 1000のバイオリン

この曲も最高にカッコいいですね。
とにかく勢いが半端ないですし、何もかもがカッコいいです。
僕はこの曲と、ハイロウズの真夜中レーザーガンが通じるものがあると思っておりますが、とにかくマーシーのリフと白井さんのピアノが最高に美しい曲です。もちろんヒロトのヴォーカルも最高。

全曲の「月の爆撃機」から「1000のバイオリン」の繋がりが本当にカッコいいですし、そんなカッコいい2曲を立て続けにアンコールのように演奏してこの最高のアルバムは終了します。
改めて、本当に名盤ですね。


「STICK OUT」のヒロトとマーシー

今作で2人が作った曲はヒロト6曲、マーシー6曲、そして河ちゃん1曲です。

ヒロト作
すてごま、旅人、期待外れの人、テトラポットの上、44口径、月の爆撃機

マーシー作
夢、やるか逃げるか、台風、俺は俺の死を死にたい、うそつき、1000のバイオリン

河ちゃん作
インスピレーション

このアルバムにおいては、「夢」「やるか逃げるか」「1000のバイオリン」を作ったマーシーに軍配があがりますので、「マーシー派」ですね。
これでヒロト3勝、マーシー3勝と奇麗に五分になりましたが、そんな感じで次回はが所謂「凹」こと、DUG OUTを紹介します。

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