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#754 アルバム論48|DUG OUT / THE BLUE HEARTS(1993)

ブルーハーツについて語ってきたアルバム論、今回でメンバー4人で作ったオリジナルアルバムの紹介は終了です。
(この意味深な説明は次回「PAN」で詳しく説明します)

そんな感じで本日はDUG OUTを紹介します。


DUG OUTとは?

本日紹介するのはDUG OUTは、前回紹介したSTICK OUT(凸)とニコイチで語られがちなアルバムです。

前作が攻撃的なロックンロールテイストの曲が多く含まれたアルバムであれば、今作は対となっており、ゆっくり目のバラード曲が多いアルバムであるのが特徴ですね(凹)


Wikipediaで見ましたが、ヒロトはこのアルバムを作り終わったあとに下記のような印象を持ったようですね。初めて知りましたが・・・

「ブルーハーツというバンドの在り方を見せたい」「バンドを再スタートさせたい」という甲本の意向のもと、今作と前作『STICK OUT』が制作されたが、2作出来上がった時に、バンドのこれからの可能性よりも「頑張ってもこれが限界かな」と甲本は感じたという。

バンドとしてのグルーヴなのか、ポジションなのか、はたまたメンバーのテクニック的な話なのか、思想の話なのか・・・色々な憶測がありますが、もう30年も前の話なので、答えはきっと奥の方ですね。心のずっと奥の方です。

個人的にはバラードよりもロックが好きなのでSTICK OUT派ではありますが、このアルバムは結構好きですね。
思い入れもあります。


DUG OUT 全曲紹介

1. 手紙

このアルバムは1曲目から神バラードが聞けてしまいます。
クラシックに乗せて、マーシーが作った最高傑作ですね。
歌詞は深く、なかなか難解なんですが、とにかくメロディがメロウで美しい。
これだけ文学的で、世界観を持つ曲はブルーハーツの中でも指折り数えられる位の名曲ですね。
オリジナルバージョンも良いですが、ライブバージョンも◎です。
僕は初めて聞いたのがLIVE SOLD OUTに収録のライブ盤だったので、そこからグッとこの曲のファンになりましたね。


2. 緑のハッパ

この曲は結構ゴキゲンな曲で。STICK OUTに入っていても違和感ない感じの楽しい曲ですね。
この緑のハッパというタイトルは恐らくマリファナくんの隠語だと思いますが、とにかく「まあまあ」と連呼する感じの曲で、副作用で完全にヤラれてる感じの曲です。


3. トーチソング

冒頭の白井さんのピアノと、マーシーのギターが美しいイントロで始まり、Aメロ以降はヒロトの優しいヴォーカルが映える、名曲です。
このアルバムに収録されているバラード曲は基本的に全てメロウで、染みますね。
「作り笑いや」の所もすごくメロディが美しく、最初から最後までサビみたいな曲ですね。


4. 雨上がり

マーシーの曲が続きます。この「雨上がり」もいいんですね。
ちょっとしたカントリー調で、ディズニーランドとかで聞けそうな感じの曲ですが、この曲も優しいヒロトのヴォーカルが美しく、全部がサビのようなGood Songです。流石マーシーですね。


5. 年をとろう

そしてこの曲はマーシーがヴォーカルの曲ですが、この曲も泣けます。
初めて聞いた10代の頃はなんとも思わなかったですが、40歳になった今聞いたらすごく染みますね。ヒロトのブルースハープも◎。

そしてこの曲は下記の歌詞が凄く好きですね。理由は特に無いんですが…

過ぎて行った時は 錬金術を使う 良くも悪くも使う
俺のシッポにまた火がついた


6. 夜の盗賊団

これはタイトル的にはもう少し激しくていい感じもしますが、非常にゆっくりしたミディアムバラードです。
夜の星空や、風や、雰囲気をすべて独り占めするという意味での盗賊なんでしょう。タイトルから完璧ですね・・・

「取り立ての免許で」でマーシーのコーラスが入る所が◎ですね。


7. キング・オブ・ルーキー

ちょっと後期ハイロウズっぽい曲ですが、ヒロトには珍しい英語サビの曲ですね。ROOKIESとは特に関係無いと思ってます。
ギターとキーボードが結構主張してますが、全然うるさい感じはしないというか何というか。


8. ムチとマント

これもバラードというよりかはポップスですかね。楽しい感じの曲です。
タイトルも歌詞も結局何を言いたいのか分からない感じの曲ですが、メロディも全体的に美しく、サビ~盛り上がるAメロ~更に盛り上がるサビという構成の曲です。ベースラインも結構好きですね。
サンキューベリマッチがいいですね。


9. 宝もの

河ちゃんが作った曲です。
この時期の河ちゃんの曲ということで、どうしてもうがった目で見てしまいますが・・・普通に美しい曲ですし、小兵二も口ずさむくらいの曲ですね。

ちなみに小兵二も、軍団の総帥だったりするんで、この曲は組織における構成員に共感される感じの曲なのかもですね笑


10. 夕暮れ

後期ブルーハーツの最高傑作ですね。メチャクチャこの曲は大好きです。

このアルバムはこの曲だけでも価値があると思えるくらい、この曲は昔から本当に好きで好きで、マジで言葉で現れないくらい好きです。

はっきりさせなくてもいい
あやふやなまんまでいい
僕達は何となく幸せになるんだ

昔からこの曲のこの一説が大好きで、こんな思いを持って結婚したいと思ってましたし、結婚式では絶対使いたいと思ってました。
そしてエンドロールでこの曲を使ったんですが、何人かの通に「夕暮れはナイスチョイスだった」と言ってもらって嬉しかったですね笑

幻なんかじゃない 人生は夢じゃない
僕たちははっきりと生きてるんだ

夕焼け空は赤い 炎のように赤い
この星の半分を真っ赤に染めた

それよりももっと赤い血が体中を流れてるんだぜ

ここもいいですね。とにかく最初から最後まで美しく、泣けて、素晴らしい名曲です。

この曲を30歳で作ったヒロトは改めて恐ろしいですね。
日本を代表する、最高のロックバラードです。


11. パーティー

このアルバムは夕暮れで終わって欲しかったのが正直な所なんですが、この曲もいいんです。シングルカットされたのも納得できる曲ですね。
Aメロもいいですし、サビもシンプルでありながらメロウでいい感じです。

ですが、僕はこの曲で一番好きなのは下記のラスサビ前のフレーズ。

いつかいつでもいいから強い風ならば
僕をかかえて吹き飛ばしてよ
できれば南の方へ

このフレーズが好きすぎて、前述の夕暮れを結婚式のエンドロールに使う際に、ここもどうしても使いたくて、このパートからフェードインしてパーティ~夕暮れという感じでエンドロールを作りましたね。


12. チャンス

そしてこのアルバムを締めくくる最後の曲がこのチャンスです。
次の「PAN」はラストアルバム感が無いので、事実上この曲がブルーハーツの最後の曲と思う方は多いのではないでしょうか?
そんな感じで、最後だなーって感じの曲ですね。


「DUG OUT」のヒロトとマーシー

今作で2人が作った曲はヒロト5曲、マーシー6曲、そして河ちゃん1曲です。

ヒロト作
緑のハッパ、キング・オブ・ルーキー、ムチとマント、夕暮れ、パーティー

マーシー作
手紙、トーチソング、雨上がり、年をとろう、夜の盗賊団、チャンス

河ちゃん作
宝物

このアルバムにおいては、マーシーの曲も全部いいし、河ちゃんの宝物もいいんですけど、やはり「夕暮れ」だけでもこのアルバムの価値があるので、ヒロトに1票とします。
これでヒロト4勝、マーシー3勝とヒロトが一歩リードしたところで、次は「解散」宣言後にリリースされたラストアルバムのPANを紹介しましょう。

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