日下賢裕

over40の新米住職。念仏推しです。 思考の実験とか、手慰み的な文章とか。 彼岸寺(…

日下賢裕

over40の新米住職。念仏推しです。 思考の実験とか、手慰み的な文章とか。 彼岸寺(https://higan.net/)もやってます。

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  • 有漏の滴り

    うろうろと迷い、漏れ出す煩悩がぽろぽろと滴る、そんな雑文集。

  • Music makes me happy!

    お気に入りの音楽を。

最近の記事

仏教と「推し」と阿弥陀仏

僧侶であり「煩悩クリエイター」を自称する稲田ズイキさんがこんな文章を書いていた。 King & Princeは「一即多・多即一」を歌い続ける──僧侶が仏教的視座で考える岩橋玄樹の脱退とアイドルの永遠性 https://www.cyzo.com/2021/04/post_274185_entry.html 「推し」であるアイドルのグループ脱退に嘆くファンの救いを求める声へのアンサーコラム。 私はアイドルを「推す」身ではないが、これまでも大好きなバンドの解散など、愛すべき存

    • 2020年の音楽

      これまでTumblrで毎年お気に入りの音楽をまとめてきましたが。今年からはnoteでやりましょうそうしましょう。 洋楽・邦楽問わず、今年発売されたアルバムからチョイスしました。順番は順位ではないです。 ①The Lottery Winners「The Lottery Winners」 1曲目の「The Meaning of Life」から実にハッピーなテイストに溢れたアルバム。今年はちょっとメンタル的にしんどい一年でしたが、聞くと気持ちがグッと上がるアルバムでした。6曲目

      • 「およげ!たいやきくん」と私

        先日、寝る前にふと「およげ!たいやきくん」の歌を口ずさみました。なんの気なしに歌ったのですが「毎日毎日嫌になるほど鉄板で焼かれるとはどういうことだろう……?」ということが無性に気になり、妻とどういうことだろうか?ということを考えてみました。 歌詞のとおりであるならば、彼(たいやきくん)は、毎日毎日鉄板で焼かれてるということなのですから、今日が終わると明日も焼かれ、明日が終わると明後日も焼かれるということです。しかし、たいやきが何度も何度も繰り返し焼かれますと焦げてしまうので

        • 仏教は死の恐怖に効くのか?

          養老孟司さんが「“死”は怖くないですか?」というインタビューに答えておられました。 「死」ということ以外にもいろいろ書いておられましたが、僧侶として気になったのは、やはり養老さんが「死」をどのように受け止めておられるか、ということ。記事の最後に「僕は死を怖いと思ったことはないのでよくわからないですね。そんなことは考えても仕方がないです。」と締めくくられていました。 なるほど、確かにおっしゃる通りです。考えてもわからないことを考えて不安になっても仕方ない、というのはわかりま

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          内に虚仮を懐く

          コロナウイルスの影響がとどまることを知りません。感染者が再び増加傾向にあり、7月22日よりはじめるとされた「Go To キャンペーン」も東京は除外という決定がされるなど、政治も社会も経済も、大混乱を起こしているように感じられます。 そしてそれは、私たちの心も大きくかき乱しているのではないでしょうか。「Go To キャンペーン」の東京除外も、「東京差別」という言葉を生み出すなど、コロナウイルスを恐れるあまりに、感染者や感染の可能性がある人を必要以上に忌避することは差別にも繋が

          内に虚仮を懐く

          7冊の本で振り返るこれまでの人生(後編)

          Facebookに書いた「ブックカバーチャレンジ」のまとめ直し、後編です。「私の人生に影響を与えた本」というテーマで、自分の人生を振り返ってみております。 1〜3冊めはこちらから。 「7冊の本で振り返るこれまでの人生(前編)」 ④『〈在る〉ことの不思議』古東哲明4冊目、こちらも大学時代に出会った一冊。 というよりも、この古東哲明さんという方、広島大学の先生で、授業で使われた、まあ教科書代わりの本です。 当時の学生間では古東先生の哲学の授業は、面白いし単位が取りやすいと

          7冊の本で振り返るこれまでの人生(後編)

          7冊の本で振り返るこれまでの人生(前編)

          Facebookで少し前に流行っていた「ブックカバーチャレンジ」。ぼちぼち熱も冷めた頃に、大学の先輩から指名を受けたので、せっかくなのでやってみることにしました。 やるからには、何かしらテーマがあったほうがいいな、ということで、テーマにしたのは「私の人生に影響を与えた本」。書きながら、改めて自分のこれまでを振り返るいい機会になったので、こちらにもまとめ直しておきたいと思います。 ①「三国志」横山光輝​​言わずとしれた漫画史に残る大作、横山光輝「三国志」。 「いきなり漫画

          7冊の本で振り返るこれまでの人生(前編)

          「攻殻機動隊」と仏教(タチコマ 編)

          前回、Netflixで「攻殻機動隊」の新シリーズ、「攻殻機動隊 SAC_2045」が始まったことを受けて〈「攻殻機動隊」と仏教(草薙素子 編)〉を書いた。 今回は、「攻殻機動隊」に出てくる人気キャラクター「タチコマ」から仏教を味わってみたいと思う。 「タチコマ」とはタチコマは、「攻殻機動隊」に出てくる一種の戦車だ。「思考戦車」あるいは「多脚戦車」とも呼ばれ、四本の脚を持ち、AIを積んだ自立思考を行う戦車の愛称だ。シリーズによっては「フチコマ」あるいは「ロジコマ」と呼ばれて

          「攻殻機動隊」と仏教(タチコマ 編)

          「攻殻機動隊」と仏教(草薙素子 編)

          Netflixで「攻殻機動隊」の新シリーズ、「攻殻機動隊 SAC_2045」が始まった。 https://www.netflix.com/watch/81051542 一ファンとしてこれは見逃せないと、これまで手を出してこなかったNetflixに加入。第一シリーズ全12話を見終わった。 この「攻殻機動隊」は、草薙素子(以下「少佐」)を主人公とし、彼女の所属する「公安9課」という内務省・首相直属の特殊任務を行う機関が、テロリストやハッカー、さらには不正という悪と戦う物語。

          「攻殻機動隊」と仏教(草薙素子 編)

          #STAY HOMEの音楽

          先日、カーステレオからAmerican Footballの「Stay Home」という曲が流れてきた。普段なら目に止まらなかったであろうけれど、「Stay Home」が叫ばれる中だからこそ、そんな曲のタイトルに目がいったのだろう。 そんなところから、「Stay Home」というプレイリストを作ろうと思い至った。なんらか今の状況に添うような曲を30曲選んでみたので、ぜひ家にいる時間のお供にしていただければ。 プレイリストの曲順は、朝から夜まで、一日の時間をイメージ。以下、曲

          #STAY HOMEの音楽

          Everyone blooms in their own time

          「#いま私にできること」というタグをみつけた。きっと多くの人が、考えていることの一つだと思う。 お坊さんたちも、今まさにそれを考えていて、Face to Faceで仏法を伝えることができなくなっている今、YouTubeやZOOMを使って、仏法に触れる機会を作り始めている。 どんな活動があるのかは、「インターネット寺院 彼岸寺」でまとめ記事を作ってみたので、そちらを見ていただけたらと思う。 https://higan.net/now/2020/04/bozeonline/

          Everyone blooms in their own time

          余計なお世話

          新型コロナウイルスの流行で、世界がここまで様変わりするとは思っていなかった。自分が感染する危険、人に感染させる可能性、大事な人が感染してしまう恐怖、そしてこの先どうなるのかが全く予期できないという不安。さらに何が正しくて間違っているのかわからない多量の情報が流れてきていて、どう行動すればいいのかさえもわからない。これからまだまだ、こういうものと向き合い続けていかなければならないと思うと、正直ゾッとする。 仏教と不安先日、複数のお坊さんたちと「ZOOM」を使って話す機会があっ

          余計なお世話

          コロナ対応から浄土真宗を味わう

          新型コロナウイルスの流行が止まらない。緊急事態宣言との報も出ており、自分や身近な人が罹患するかもしれないという心配や、このまま一体どうなってしまうんだろうという不安ばかりが募る。 現金給付は条件付き?一律?そんな中で、政府が一世帯あたり30万円の現金給付という支援策を発表した。ただしこれには条件がつく。年収換算で住民税非課税水準まで落ち込む世帯が主な対象で、収入が半分以下となった場合も一定の要件を満たせば給付されるそうだ。 つまり、一律ではなく、上記の条件を満たし、それが

          コロナ対応から浄土真宗を味わう

          小学校という世界。

          3月が終わろうとしている。もうすぐ新年度。 4月になると、長男は小学校に通う。 家族で「もうすぐ入学式やね〜」という話をしていたら、ふいに父が私が小学校に入学したときのことを話しだした。 私が入学式から帰ってきた時、私はすごく怒っていて「もう学校なんか行かん!」と言い出したらしい。父は内心「コイツ初日からマジか。早すぎじゃね?」と思ったらしいが、私が行きたがらない理由を話さないため、次の日の朝、なんとか学校に行かせようとむりやり玄関に連れて行ったらしい。 すると私はあ

          小学校という世界。

          オフロスキーに阿弥陀仏を見た!

          オフロスキーというキャラクターをご存知でしょうか。Eテレで放送中の子ども向け番組「みいつけた!」に出てくるキャラクターで、名前の通りお風呂が好きで、いろんな一人遊びやダンス?をやってくれるオジサン(?)です。 「呼んだ?」「呼んだよね〜」と、呼んでもないのに出てくる登場シーンが印象的で、一人で一人遊びをやって、「またやろう」と帰っていく姿は、楽しげな中にもそこはかとなく哀愁が感じられます。いろんな楽しいキャラクターがたくさん登場する番組の中でも、なぜだか気になってしまう愛す

          オフロスキーに阿弥陀仏を見た!

          澍法雨

          私は浄土真宗本願寺派という宗派の僧侶だ。本願寺派には「本願寺出版社」という出版社があり、浄土真宗に関する書籍をいろいろ出版している。 その「本願寺出版社」が『季刊せいてん』という季刊誌を発行している。とても良い内容の季刊誌で、本願寺派の僧侶で愛読している人も少なくないだろう。 そんな『季刊せいてん』の最新号で、私の好きな言葉が表紙になっていた。それが「澍法雨(じゅ ほうう)」という言葉である。この言葉は『仏説無量寿経』という経典にある言葉で、「法雨を澍(そそ)ぐ」と読む。