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7冊の本で振り返るこれまでの人生(前編)

Facebookで少し前に流行っていた「ブックカバーチャレンジ」。ぼちぼち熱も冷めた頃に、大学の先輩から指名を受けたので、せっかくなのでやってみることにしました。

やるからには、何かしらテーマがあったほうがいいな、ということで、テーマにしたのは「私の人生に影響を与えた本」。書きながら、改めて自分のこれまでを振り返るいい機会になったので、こちらにもまとめ直しておきたいと思います。

①「三国志」横山光輝​​

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言わずとしれた漫画史に残る大作、横山光輝「三国志」。

「いきなり漫画で大丈夫かコイツ?」という感もありますが、次も漫画です、悪しからず。

この本との出会いは、小学校の時。誰かがクラスに持ち込んで、先生のOKまでもらって、当時クラスメイトと貪るように読んだというのが出会いだったと記憶してます。

で、たまたま同時期に親が買い揃えた漫画の「日本の歴史」「世界の歴史」の影響もあり、気づけば歴史好きに。それをこじらせて、「大学では歴史を勉強したい!」と思うに至り、歴史学、特に東洋史が学べるかどうかで大学を選択。ですので、この「三国志」は私にとって、進路の決定にも関わった、重要な本なのです。

ところが大学に入って、念願の東洋史のゼミに入るなり、寺地先生という教授から、

「歴史はロマンじゃない」
「三国志の時代はクソ」

(こんな直接的ではありませんが、かなりディスってました)

などという手厳しい洗礼を受け、「あれ?もしかして進路間違った?」と愕然としたのは今となってはいい思い出です。

②「MASTER キートン」勝鹿北星 作 浦沢直樹 画

実は漫画を揃えるということをあまりしないのですが、全巻揃えてある数少ない漫画がこの作品です。

高校生の時に出会って、「大学ではやっぱり歴史を学びたい」と思わせたのがこの漫画だったと思います。

が、私は寺の長男。親が進学に勧めるのは、当然京都にある龍谷大学。しかし10代の頃の私は、まだうら若き時代に、仏教なんて辛気臭いものを勉強するのだけは絶対に嫌だ!と、反発。親の敷いたレールの上を走るのも釈然としないという思いもあり、じゃあ大学に行って何がやりたいのか?となった時にあったのが、歴史でした。

そして親と交渉し、国立ならOK、そして大学在学中に得度をすることを条件に、自分で大学を選んでいいということに。得度をすることは、つまり僧侶となることなので抵抗しましたが、しかしそれでも4年間は仏教から離れた時間を過ごせるわけなので、その条件のもと、大学へと進学しました。歴史を学びたいという気持ち半分と、寺や仏教から逃れたいという気持ち半分、一種の逃避だったのかもしれません。

大学は歴史学を学べる文学部を受験。2年に上がる際に専攻を決めるというシステムだったのですが、この「マスターキートン」の影響もあり、専攻を
西洋史にするべきか、東洋史にするべきか、はたまた考古学にするべきか、
真剣に悩んだ時期もありました。

最終的には初心を大事にしよう、ということで、東洋史を専攻するに至ったわけですが、大学に行って何を学ぶか、という大きな選択をするにあたり、
一つのきっかけをくれた作品ということで選びました。

③『愛の無常について』亀井勝一郎

3冊目は亀井勝一郎の『愛の無常について』という本。この本は、私にとっての一種のトラウマ本、という意味でノミネートされています。

出会いは、大学に入学してすぐの頃。親の勧める龍谷大学への進学に抗って、広島大学へとやらせてもらったわけですが、なんとそこには大学には珍しく、本願寺派の仏青(仏教青年連盟)というのがあって。

で、父はそこへ行ってみろ、というわけですよ。なにかしら仏教とのつながりを持ってほしかったんでしょうね。

しかし私からすれば、半ば仏教から逃げるために大学へ行ったわけで「なんでそんなわけのわからんもんに参加せないかんのか」と思いがあり。しかしまあ親の願いを拒んで大学にやらせてもらった身、一つくらいは言うことも聞かねばなるまいと、渋々顔を出すことにしました。

それはどこかの学部の先生の部屋のようなところで、確か私の他に2名ほどの学生と、仏青の活動を指導している先生がいて。一体ここでなにをするんだろう、と思っていると、この『愛の無常について』を渡されて、「輪読会をしましょう」と、きたわけです。

ところがこっちはまだ10代後半、しかも90年代のJ-POPを聞いて育った世代。「愛こそがすべて」と信じて疑わないと言うか、恋愛への憧れやら希望を悶々と内に秘めたような青さ真っ盛りな時期ですよ。

しかもこれから「彼女なんかも作って楽しくキャンパスライフを送りたい!」と思っているような学生に、いきなり『愛の無常について』なんて本を渡します!?

当時の私が仏教から逃げたのは、まさにそういうところだったわけです。
「一所懸命生きている人間に対して、人生は仮初だの、儚いだのと、わざわざ告げるなんて、仏教はなんと失礼で無粋なのか」
当時の私は、仏教のそういう部分に反発していたということもあり、そんなところに『愛の無常について』の輪読会を、なんて言われた日にはね……

当然「二度と顔を出すものか!」となり、その出来事とこの本は、当時の私の仏教嫌いにトドメを刺すに至るという一冊になりました。

まあそんなトラウマ的な一冊なんですが、今読むと、結構いい本なんですよね。読み直してみて、思わず付箋も貼るほどです。

特に終章では、筆者の浄土真宗への味わいが書かれてあり、思わずお念仏がこぼれました。

今くらいの歳になって、ようやくそう思えるようにはなりましたが、しかし10代の頃にはちょっと相応しくないよなあ、と今でも感じています。

失恋でもした後であればそうでもなかったのかもしれませんが、本と出会うタイミングって、ホント大事ですね……

(後編につづく)





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