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好きなことを突き詰めた先で見つけた「起業」_アフリカと野生動物を愛する僕が目指す共生社会

「責任感や義務感というより、自分の好きなこと、情熱を注げることを突き詰めていった先に社会課題解決があったんです。」

こう語るのは、新卒3年目にしてケニアで野生動物と人間の共生を目指す新会社「Co-Exist Wildlife Ltd.」(以下:Wildlife)を立ち上げた米田 耕太郎だ。
幼いころから自然や動物が大好きで没頭しつづけてきた彼が、一見対極にありそうな「ビジネス」そして「起業」の道を選んだ理由とは。この記事では、その真相に迫る。


好きなこと突き詰めた先にあった「起業」という選択肢

米田が初めてアフリカの地を踏んだのは、大学3年生のとき。野生動物とかかわりながら、国際協力に取り組みたい。自分が情熱を注ぎ続けられる場所としてたどり着いたのが、ケニアだった。大学を1年間休学し、インターンやボランティア活動に取り組む中で、とある問題に直面する。それが、「ゾウと人間の軋轢」だ。

「温厚そうなイメージがあるゾウですが、農作物を荒らしたり、被害を防ごうとした地域住民を襲ってしまったりする問題がありました。また、逆にゾウにマイナスの感情をもった地域住民によりゾウが射殺され、個体数が減少するという事態も起きていました。」

米田がケニア現地で撮影したゾウの姿

帰国後は、大学院に進学し国連やNGOで働くことを視野に入れながら、野生動物と人間の軋轢を解決する方法を模索した米田だったが、社会起業家への道を志すこととなる。その背景にはどんな思いがあったのだろうか。

社会起業家と聞くと、原体験や責任感から起業を志しているイメージを持たれるかもしれません。ただ、僕の場合は少し違います。好きなことや情熱を注ぎたいことを突き詰めた結果、社会課題の解決に行き着いたのです。従来のやり方ではなく、自分で新たなソリューションを構築して、野生動物と人間の軋轢を解決したいと思うようになったのです。」

社会を良くするために立ち上がった仲間との出会い

卒業後は、商社やコンサルティングファームで働いた後に起業することも考えた米田だが、ボーダレスに入社を決めた理由はどこにあるのだろうか。

起業への最短距離を目指せる場所はここしかない。そんな直感がよぎりました。ボーダレスを知ったきっかけは、Xのダイレクトメッセージだったのですが、説明会やイベントに参加する中で、起業家同士が切磋琢磨している空気感を肌で感じました。自分がやりたいことを実現するためのお金もノウハウも仲間も揃っているなと感じて入社を決めました。」

入社から3年を迎え、今の心境を聞いてみた。

「特に、影響を受けているのは同期の存在です。取り組んでいるテーマは違えど、悩みや嬉しかった出来事を共有できる存在です。独自に「GOOD MOTTO」というお互いに良いところと伸び代があるところをフィードバックしあう機会を設けたりもしています。起業家として、プロフェッショナルとして尊敬できるかけがえのない仲間に出会うことができました。」

2022年卒の同期入社の仲間たち

単身ケニアへ、事業立ち上げの苦難を力に変えて今がある

切磋琢磨しあえる仲間の存在。入社後、Wildlifeの立ち上げに至るまで米田はどんなキャリアを歩んできたのだろうか。

「まずはじめに、同期とともにクラウドファンディング事業「For Good」を立ち上げました。そこで、0→1フェーズの事業開発を学びながら、ボーダレスアカデミーの11期生として学生時代から考えていたゾウと人間の軋轢を解決する養蜂事業のビジネスプランを練りあげていきました。」

入社して1年半が経ったタイミングで、米田は単身ケニアに渡る。念願だったケニアでの起業だったが、いざ始めてみると大きな不安が襲ってきたという。

「学生時代から現地調査を始め、地元の方たちとも信頼関係を少しずつ築けていました。しかし、いざ事業を始めると本当にビジネスとして成立するのか全く形が見えず、自分の選んだ道に対して絶望感に近い感覚を抱きました。加えて、地域住民の方々や政府機関との連携が重要であるにも関わらず、現地の担当者が約束を守らなかったり、賄賂を要求したりする人たちがいたりと、不安と悩みで胸が張り裂けそうな時期もありました。」

(左)ケニア人スタッフのジョセフさん(中)24卒の赤石(右)米田

立ち上げ期のスピード鈍化=自分の力量不足という壁にぶつかった米田だったが、多くの応援をエネルギーに変えて今日まで歩んできたそうだ。

「事業を立ち上げる際に行ったクラウドファンディングでは、想定を大きく上回る目標額の197%を達成しました。また、ケニアにはスタッフとしてジョセフという仲間がいます。僕の思いに強く共感し、事業を立ち上げる前から積極的に協力してくれてとても心強い存在です。他にも、24卒でボーダレスに入社した赤石は同じく野生動物と人間の軋轢というテーマに共通の関心を持っており週に1,2回連絡を取り合う良き相談相手です。ケニアにある日本人コミュニティにも積極的に顔を出すようにしており、たくさんの人に支えられて今の自分がいるとつくづく感じます。」

野生動物と人間の軋轢を解決するためのソーシャルビジネス

ゾウの農地への侵入を防ぐ養蜂箱

ハチの羽音を聞くと逃げ出すゾウの習性を利用し、養蜂箱をフェンスのように等間隔に並べて置くことで、農地へのゾウの侵入を防ぐ。そして、収穫したハチミツやミツ毒を販売し、農家の収入向上にもつなげるのが、米田のビジネスモデルだ。

「養蜂箱フェンスの取り組みを行なっている団体は多くありますが、売り先がないところが多いのが現状です。そのため、養蜂事業だけを行うのではなく、商社のような役割を担い、販売先やプロダクトを生み出そうとしています。実際に、養蜂によって収穫されるハチミツやハチ毒の卸先に片っ端からアポイントをとり、パートナー企業はすでに見つかっています。これからの事業展開は、未知の部分も多くありますがとても楽しみです。」

環境保全と経済発展が両立される社会を目指して

環境保全と経済発展、すべてのステークホルダーにとってプラスの状況をつくる仕組みを実現することが、米田の目指す姿だ。

「目指すゴールは、野生動物と人間の軋轢を解決することだけではなく、その先にもたらされる地域の姿にあります。養蜂箱フェンスによって、野生動物による農作物や人的被害がなくなれば、地域住民が野生動物を射殺してしまうことによって起こる個体数の減少を食い止めることができます。また、ハチは花が咲く植物がないと集まらないことから、森林伐採を食い止め、豊かな自然を守ることに繋がります。

こうした地域の未来をつくっていくには、住民の方々の理解と協力が不可欠です。それぞれが役割を担うことで、環境保全と経済発展の両立は実現していけると思っています。そうして、野生動物と人間と自然が共生する社会づくりに取り組んでいきたいです。」

5年後には、この取り組みをケニア全土に広げ、その後はアフリカやアジアといったケニア以外のゾウと人間の軋轢が生じている地域に展開していきたいと締め括った。

自分が好きなことを突き詰めた先にある社会起業というカタチ。自分の素直な気持ちを原点にした考え方は、多くの人にとって社会の課題を希望へ変えていくヒントになるかもしれない。

Co-Exist Wildlife Ltd. SNS
公式X:https://x.com/co_e_wildlife
公式instagram:https://www.instagram.com/coexist_wildlife/

2024年5月に新会社「Co-Exist Wildlife Ltd.」を設立しました

<話を聞いた人>
米田 耕太郎
1996年、青森県生まれ。
大学で生物学を専攻しつつ、1年休学してアフリカ数カ国に滞在し、野生生物保全やコミュニティ開発に関わるボランティア・インターンに従事。帰国後は「アフリカについてもっと知りたい」という思いから大学院へ進学。大学院卒業後は「自分のやりたことが既存の組織の中にはない」と感じたため、自分でやりたいことをカタチにしていく社会起業家を志す。

22卒でボーダレス・ジャパンに入社。現在はクラウドファンディング「For Good」でキュレーター・カスタマーロイヤリティを担当。23年9月からはケニアに渡航し、24年5月「Co-Exist Wildlife Ltd.」を創業。

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Text: Kumi Sakata
Edit: Mikiko Mine


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