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「プロレスだから」の「上から目線」に抗う

まずい、非常にまずいです。

何がまずいって、誰もオカダ選手が負けると思っていないこと。いやいや待ってください。1対3ですよ? 町中でケンカして相手が3人(しかもおそらく武器を持っている)でこちらがひとり。勝てますか? 勝てるかもしれないけどかなり厳しいでしょう。普通に考えたら負けるでしょう。たとえばひとりに足を取られて倒され、ふたりに両手両足を抑えつけられたら、どうします? もう完全に無防備ですよね? 

ところでNumber Webの記事がちゃんと取材しないでKOPWを批判しているとしてオカダ選手がツイッターで怒りを表明し、ファンも便乗して軽く騒ぎになっています。

確かにこの記事、無駄に挑発的です。オカダ選手が記者会見でニヤニヤしているとか。なぜニヤニヤしていたらいけないんですか? KOPWというタイトルを新設して、安直にIWGPを狙う足がかりにしているみたいな論調も不可解。オカダ選手をヒール的な立ち位置にして盛り上げようとしているのかもしれないけど、ちょっと的外れですよね。だってどう考えても、このアイディアは新日本を盛り上げるためであって、オカダ選手はいつでもIWGPに挑戦できる実力を有しているわけですから。もちろんG1制覇も本気で狙っているはず。普通に考えたら来年1.4ドーム(まだ開催は発表されていませんが)のメインの最有力候補は「内藤VSオカダ」でしょうし。

ただこの記事を全否定できないのは、1対3だと「オカダにまず勝ち目はない」としている点。今回はかつておこなわれた「猪木vs.国際はぐれ軍」とは異なり、オカダ選手は3人(高橋裕二郎、邪道、外道)のうちの誰かに勝てばいいというルールらしいです。確かにそれならば勝てなくもないかな、と思いますよね? でも「3人がタッチ不要で同時に相手を攻撃できるルール」だったら話が変わってきます。そして問題は投票でルールが決まった際にその点をクリアにしていないこと。かなり重要なポイントなのに。

1対3でもプロレスだからオカダが勝つ、神宮にオカダが出ないなんてあり得ないからオカダが勝つ。こういう知ったかぶりの「上から目線」をいちばん嫌っていたのがかつての新日本プロレスではないでしょうか? だから絶対的ヒーローである猪木さんですらハンディキャップマッチで破れたのです。今回だって、勝敗を競うスポーツとして見たら「これではオカダが負けてしまう!」「神宮でオカダの試合が見られなくなってしまう!」という空気になるのが自然なのに、ファンもメディアもそうはなっていない。何かがおかしいのです。一方Numberはあくまでもプロレスをスポーツという観点から捉えて論じるのがスタンスです。そこが業界の専門誌である週刊プロレスとの違いです。プロレス村のなあなあのロジックに染まらず、一競技として見た場合に生じる疑問をシビアに投げ掛けるのはむしろ彼らの使命であり、高い職業意識の現れではないでしょうか? なので私は不満もありますけど「よく書いてくれた!」という気持ちなのです。

最後にもうひとつ。私はスターを陰から輝かせるバイプレーヤーの役に徹する高橋裕二郎選手が好きです。「今年のNJCは裕二郎がオカダに勝って優勝!」と妄想した記事も書いています。だから今日の試合、きっと少数派ですけど裕二郎選手の勝利を信じています。これマジ。


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