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「8月に聴きたくなる曲」と「戯作文学」の共通項

もうすぐ8月。

この時期になると、無性に↓を聴きたくなります。

デヴィッド・ボウイ「New Killer Star」です。2003年9月に発売されたアルバム「Reality」に入っています。

ソニーミュージックから出ている日本版のブックレットによると、アメリカ合衆国のブッシュ大統領(当時)が「Nuclear」(原子力の、核兵器の)を「New Killer」と発音しているようにボウイには聞こえていたらしく、そこから取ったようです。

ただRCサクセションの「COVERS」みたいな反戦&反核をダイレクトに訴えるやり方とはアプローチが異なります。実際初めて「New Killer~」を耳にした際は英語の言い回しを理解できなかったせいもあって「カッコいい曲だな」としか思いませんでした。

でも繰り返し聴き、歌詞を訳と照らし合わせながら読み込むうちに、作り手が言葉の端々に込めた意図らしき何かが浮き上がってくる。

表には出さず、あくまでも遠回し。なおかつ誰の目にもそれとわかるように時の権力者を揶揄する。この痛快さは、蔦屋重三郎などが手掛けた江戸時代の戯作文学が持つ「穿ち」の美学に近い気がします。

テクノロジーの進化は必要。でもそれは決して支配者や富裕層のエゴを守るためになされるものではない。ましてや連中にとって都合の悪い諸問題を一瞬で解決する(もしくはそれを可能にする力を備えていると映る)「New Killer Star」であってはならない。民衆も扇動に乗せられて熱狂し、短絡的思考に陥り、事の本質を見誤ってはいけない。

そんなメッセージを勝手に受け取りました。

ボウイは1947年生まれ。この曲を出したのは56歳の時です。私もいつか、こんないい意味で尖った56歳になりたい。近づけるように精進します。

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