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ジブリの功罪とジオング理論

「コクリコ坂から」を見ました!!!

ネタバレなしで気になった点を。
まず冒頭。↑の記事で触れたドキュメントで、ヒロインが朝起きて布団を上げるシーンを入れろと駿氏が主張していたのを思い出しました(吾朗氏は「隣で妹が寝ている」と反論)。

下宿で働くヒロインはみんなの朝食を作るために早起きをします。同じ部屋で妹はまだ夢の中。吾朗氏の見解の方が常識的です。でも作品を見ると駿氏が正解でした。大股でつかつか歩く場面と共に、メルの生真面目でテキパキ過ぎる性格が一瞬で伝わる絵になったのです。

細部のリアリティは大切。でもキャラクターを表現することと、実際にその場面で生身の人間がどうするかはまた別ってことですね。

そしてジブリの朝ごはんは食欲をそそる!!! 吉野家の「ハムエッグ定食」を食べたくなりました。

気になったのはメルというヒロインの呼び名の由来に誰も言及しないこと。どこかの会話に入れた方が良かったかも。

ストーリーは原作からだいぶ変わり、良くも悪くも「ジブリ」に仕上がっていました。臭みや苦味を抜く過程で善玉菌もまとめて殺菌したような。これは推測ですが、吾朗氏はもう少し原作寄りの色で創りたかったのでは? 

専門学校で創作を学んだ際、先生から「いい人間しか出て来ない小説は面白くない」と注意されました。もちろん作中には冷たい人や面倒臭そうな人も登場します。でも結局「根はいい人」の枠に落ち着いてしまう。ジブリだしと言われたらそれまでですが。

あと「え、ここで終わっちゃうの?」と。エンディングは涙を誘いますが、ちょっと歌の力に負けているかも。と同時に、いやここで終わるからいいのでは、という内なる声もありまして。未完じゃないのに未完の大作を思い起こさせました。

夏目漱石の「明暗」ってありますよね。あれは未完が最適解。別の人が書いた「続・明暗」を読んで「結局そういう話?」と落胆しましたから。本作も変な後日談なしであそこで終わる形が正解なのでしょう。

わかりにくいですか? じゃあ「機動戦士ガンダム」のジオングを思い出してください。足のないデザインがベスト。むしろ斬新で頭に残りますよね。ああいうことです(余計わかりにくい?)。

締めは有名なあのセリフの一部改変。頭でっかちになりがちな己の鑑賞眼への警鐘を込めて。「足なんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのです!」 


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