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森博嗣で省みるススメ

”書店員界のケンドーカシン” ”読メフェイマス” ”「SUI」編集長”のY2K☮です。

今日は妄想じゃなくて書評いきます! 
これだってある意味で妄想かもしれないけど、どっちでもいいや。
要は人生、面白ければいいんです!!!

「実験的経験」 森博嗣著
講談社文庫 ISBN:9784062778688 304P

(以下、読書メーターに書いたレビュー)

 まるでトライアスロン。小説というジャンルにいつしか設けられたルール(明文化されているわけではなく殆ど慣習法に近いと思うが)の中で自由に振る舞うか、もはや不毛と思えるいくつかのルールから自由になるか。たとえばミステリィにおけるアンフェアという評価は、むしろ新たな可能性を示唆するものかもしれない。伏線回収もそう。そもそも「これは伏線です」なんてどこにも明記されてないのだから。常識を疑う。当たり前に思えるものを慎重に捉え直して反転させれば斬新になる。あと本書の解説を書くのに相応しい作家はまさにこの方しかいない。
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 これに限らず、森博嗣の書く「~論」的なニュアンスを持った文章は読んでいてカチンと来る箇所がしばしば出てきます。
 でもそこでカチンと来ただけでスルーして次へ行くのはもったいない。
 どうしてそう思ったのかと立ち止まって考えてみる。自分の中に潜む何かが投影されていて、それに対して苛立ちを覚えたのかもしれない。たとえば何気なく惰性的に使っている言葉や表現に対する警鐘だとか。劣等感と優越感はセットですから、劣等感と向き合えば普段気づかない油断や思い上がりにも自ずと目が向けられる。意図的に逸らさない限りは。森博嗣がそこまで狙って書いているわけではなくても、こちらがそれをどう受け止めるかは自由です。解釈というよりも横へのスライドとか置き換え、転移に近いかもしれない。
 森博嗣のくれる「カチン」とアホな上司や客がその時の気分で撒き散らす「カチン」は似て非なるものです。後者は華麗にスルーしてください。そこまで信頼していい作家です。
 書くのも自由なら受け止め方も自由(もちろん日本語の語彙語法からも自由になってしまうと内容に意味が無くなってしまいますが)。やはり小説はプロレスに似ているなあと思った次第です。
 つまり妄想でいいわけですね(笑) 森博嗣に感謝!!!


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