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「未完作の引き継ぎ」と「自分たちの感性」

三浦建太郎さんが2年前に亡くなってから初の単行本です。

発売日は9月29日。通常版に加え、ガッツの胸像フィギュアが同梱された特装版も出ます。

特装版の予約締切は5月29日です。ぜひお近くの書店をご活用くださいませ。

作者が急逝し、未完となった名作を他の人が引き継ぐ。関係者の方々は大変だったと思います。よくぞここまで。

以前にも書いた気がしますが、私はあくまでも「ベルセルク第2部」もしくは「続・ベルセルク」のスタートという位置付けで捉えています。決してネガティブな意味ではなく、そうじゃないといま描いてくれている人たちが気の毒だから。

三浦さんの「ベルセルク」がそのまま続いているという視点で読めば、どうしたって違いが目に付きます。ストーリーはもちろん、絵の細部や各キャラクターの特徴、セリフの言葉選びに至るまで。でもそんな風にいちいち比べて差異を浮き彫りにし、目くじらを立てるのはフェアじゃない。他の人が創作している以上、相違点はあって当たり前なのです。

もちろん通底する世界観と三浦さんが遺した構想は、可能な限り守ってもらいたい。でもそこを押さえたら、あとは自分たちの感性で最後まで描き切ってほしいです。新たな設定や追加キャラが出ても大丈夫。「これは三浦さんのプランかな、あるいは」と想像する楽しみもありますから。

いちばん気になるのは、やはりグリフィスとガッツの関係性です。初期のガッツはゴッドハンドへ転生したグリフィスを倒し、仲間たちの復讐を果たすことが悲願でした。しかしいまはどうなのか? 旅を続ける過程で培われた人間的成熟が彼の意識をどこへ運んだのかを知りたい。

9月29日、しっかり記憶しました。楽しみにしています。

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