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【そして、バトンは渡された】に見る、僕の生き方

こんにちは、レイです。

唐突だが、自分の家族を愛することはできますか?
そう問われて「YES!」と断言できると、素晴らしいなと思う。
少なくとも、僕には無理だ。

悲しいかな、僕には無理だ。
過去の積み重ねというのは、僕から様々なものを奪い与えた。
その結果が、今の僕だがそこに家族愛というものは、無かった。

「そして、バトンは渡された」

これを読むと、そんな僕でも少しだけ家族愛に関して考え方が変わった。
家族という、肉親という、一番近い他人。
その見方や考え方、感情の持ち方が少しだけ、変えることができた。

家族から本当に大切にされてるのか、自分は必要な人間なのか。
僕のように、そんな「迷子」であるのなら、手に取ってほしい一冊。
家族愛の形も、受け取り方も、もっと自由な筈だよ。

本はこちらから


「そして、バトンは渡された」あらすじ

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない〝父〟と暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。

大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。

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『そして、バトンは渡された』を読んで

この小説は、血の繋がりがない家族の物語だ。血のつながりのない3人の父、二人の母という、非常に歪な家庭環境で育った17歳の少女。

僕の人生では残念ながら経験もなければ、考えたこともない状況だ。
でも、『家族愛がそこにあるのか?』という事が、非常に重要だった。
血の繋がりがあっても、容易に子を愛することはできない。
血のつながりがなくて、その愛情をどう感じ、どう表現するのだろう?

これだけ親が何度も離婚をしていると、自分に向けられている『愛情』を疑うものだ。幾度両親が変わり、どの両親となっても、愛情はしっかりと主人公の優子に向けられていた。少し不思議ですらあった。

最後には自分も結婚することになり、全ての親から祝福されるENDに至る。
その繋がりが本当に尊く大切なものだった。

愛は連鎖するのか

この小説、愛がちゃんと連鎖して受け継がれていることが、最大の特徴だ。だからこそ、主人公は最後に幸せになる。ハッピーエンドを迎えることができたんだと、そう思う。

親が幾度変わろうと、そこに愛情がなかろうと。
でも、着実に受け継がれた形のない「愛」というものは、確かにあった。
形を変えて、姿を変えて、伝わり方が変わって。

そうして、徐々に受け継がれていた。
そう、連鎖しているのではなく、受け継がれて内包されているものだ。

愛を知らない、愛情を受けれられなかった子供が、最後まで親の愛情を求めるように。自分の居場所と必要性を探しているように。歪んだ、少し傲慢な愛を相手に押し付けてしまうように。

そうして、負の側面だけが表層化して、受け継がれるように感じる。
でも、本当にそうだろうか?
勇気を出して、君が手を伸ばした時に。その手をつかんでくれる人は、君のことを愛してくれて、大事に思ってくれている人だろう。
そんな人から、愛されて認められている君は。必要と求められている君は、不要だなんてことはない。
その繋がりは、形を変えて在り方を変えて、君に受け継がれたものだ。

連鎖している、という表現は、やはり適切ではないだろう。
ただ、受け継がれ、自分の中に秘められているものだ。

読んでみて、何を思った?

個人的にポイントだと感じたのは、三つ。

  1. 家族の形の多様性と愛情の深さ

  2. 優子の成長

  3. 音楽との関係

残念ながら僕は、家族愛を感じることは少ない家庭で育った。それは、ぼく個人の感想で、きっと高望みをしているのだと思う。
家族にはいろんな形があるし、なんで自分だけが不幸な家庭なんだと思った事もある。
でも、よくある不幸、ありきたりな家庭だと思うことにした。

ただ、最初の20年をどう願っても粘っても、耐えても。
不幸だった、少し変わった家庭に生まれてしまった。
ただそれだけの、事実があるだけだと思うことにした。

血の繋がりがあって、法的な関係でも。
こんなにも、人間関係は希薄で悲しいものだと感じていた。
でもこの本を読めば、血のつながりも法律も、別にただ形と意味を跡付けしているだけだと気が付く。必要か?と問われても、そこまで重要ではないといえるようになった。
正直、課題表現をすれば、どうでも良いものではないかと思いさえした。

心でつながる、そして育ち教えあうという関係が、本当の家族だった。
家族の形に理想形はあるだろう。その形に縛られて強迫観念のように追い求めるものでもなく、もっと柔軟で適当なものなのだと考えるようになれる。

そう思えば、『不幸だ』ということすら、関係がなかった。
偶然。たまたま、運悪く、ちょっと愛が薄くて一方通行で、違うベクトルを向いているだけ。そんな家庭に生まれてしまっただけなんだろう。

そんなことを考えながら、その親に振り回された優子のことを考えてた。すると、この子は意外と柔軟に対応してまっすぐ生きている。
ちょっと現実的じゃないのかなと思ったけど。きっと音楽があった事と、各両親が自分を愛してくれている事を、感じていた事が大きいと思う。

支えになる何か、それは生きる活力を与えてくれる。
悩みに、新しい価値観と答えを与えてくれる何かになるんだ。

最後には自分の人生を自分で決断することができる。
そんな立派な大人に、成長しているのはすごいなと思った。

音楽というのは、優子の心の支えであったと思う。
自分の親たちと、自分を表現するための手段でもあり、とても大事なものだったのだろう。どれほどの別れと出会いを繰り広げても、それは変わらなかった。

「ピアノ」という音楽を通して、その繋がりを思い出し、心を養うことができたのかなと思う。

自分の好きなことがあって、それを誰かと共有し、繋がりとしていく。この一連の流れって、やはり大事。

家族の温かさや、自分の意志で人生を掴み取るという、個人の意思の力強さ。自分の心の支えとなるものがあるという強さは、本当に人生において大切なんだと思う。

バトンを渡して送り出すという経験は、まだ未経験。でも、友人の背中を押して、そっと送り出すとはまた違う、奥深いものだった。

改めて、これからも読書はしていこうと思ったし、人を大事にしていきたいと思う。バトンの受け渡しを行い、身近な人に寄り添い、優しく送り出して貰えるような人間に成長したい。むしろ、送りだせる側になれるようになりたい。

『そして、バトンは渡された』読書感想文

小説「そして、バトンは渡された」を読んで、とても感銘を受けました。
この小説は、血の繋がらない3人の父親と2人の母親に育てられた、17歳の女の子・森宮優子の物語です。優子は、親の結婚・離婚の繰り返しによって苗字が変わっても、それぞれの親に愛され、愛してきました。

そして、高校時代の同級生・早瀬君と結婚することになり、5人の親たちに祝福されます。この小説の魅力は、家族の形の多様性と愛情の深さ、優子の成長と自立、音楽との関わりの3つだと思います。

まず、家族の形の多様性と愛情の深さについてです。この小説では、血の繋がりや法的な関係だけではなく、心の繋がりや育てることで家族になることを描いています。

優子は、自分には5人の父と母がいると誇りに思っており、それぞれの親に感謝や尊敬の気持ちを持っています。また、親たちも優子を本当の娘のように大切にしており、彼女の幸せを願っています。
この小説は、家族の形は一つではなく、愛情があればどんな形でも幸せになれるというメッセージがあると思います。自分の家族とはどんな関係なのか、改めて考えるきっかけになりました。

また、自分ベースに置き換えて考えてみると、優子のように新しい家族を受け入れて、愛することができるのか。与えられる愛情をちゃんと受け止めることができるのかと、改めて考えてしまいました。

次に、優子の成長と自立についてです。優子は、親の変化に対応しながらも、自分らしく明るく前向きに生きてきました。

しかし、早瀬君と結婚することになったとき、最後に優子と暮らしていた森宮さんが反対するという問題に直面します。優子は、森宮さんの気持ちを理解しつつも、自分の意思を貫くことを決めます。

そして、他の親たちにも結婚の報告をしに行き、それぞれの親との関係を見つめ直します。優子は、親からのバトンを受け取りながらも、自分の人生を自分で選ぶことができるようになります。優子の強さと優しさに感動しました。自分の人生に責任を持ち、自分の幸せを探す為に行動をしていきたいと思いました。

最後に、音楽との関わりについてです。優子は、幼いころからピアノを習っており、音楽が大好きです。音楽は、優子にとって親との繋がりや自己表現の手段でもあります。優子は、親たちにピアノを教えてもらったり、
一緒に演奏したり、聴かせてもらったりして、音楽を通じて親との絆を深めてきました。

また、優子は、自分の気持ちを音楽に乗せて伝えることもあります。

優子が早瀬君と結婚式を挙げる場面も最後には描かれいます。5人の親たちがそれぞれの思いを込めて、優子にバトンを渡すというエピソードを紹介したいと思います。この小説を読んで、与えられた影響や感想をまとめて、
書きたいと思います。

この小説「そして、バトンは渡された」は、家族の愛や人生の選択について考えさせられる作品でした。まだ、自分の家族と向き合うのは遅くないし、
その向けられていた愛情に、感情に、思いに、気が付ける段階だと思います。自分の人生を選択することはできたが、これまで見守ってくれた親への感謝などははっきり言って、足りていないと痛感しました。

彼女のように、強く感謝を忘れずに、これからは生きていきたいです。

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