ショートショート「腕」
「ん?」
その日は帰宅途中に、見たことのない変なものを見つけてしまった。
「腕」だ!まさしく腕である。そいつらはウナギみたいに黒くて長い腕だった。そして、必ずどこかの人間の背中から生えており、同じようにどこかの誰かから生えている腕とたがいに手を取り合っているようだ。すぐ隣の人間どうしで手を取り合っている「腕」もあるにはあったが、いったいどこまで伸びているのかてんで想像もつかないくらい遠くへ伸びているものがほとんどだった。何万本も伸ばしている奴もあれば、一本しか伸ばしていな