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2018年9月6日に飲んだ生ビールの味を、私はずっと忘れない。

2018年9月6日。
この日は、関ジャニ∞ライブツアー「GR8EST」東京ドーム公演の初日だった。

そして、私にとって初めて6人の関ジャニ∞を見ることになる日だった。

あの日の生ビールの味を、私は何度も思い出す。ライブが終わって、そのまま東京ドームシティのラーメン屋さんへ駆け込んだ。そこで飲んだ生ビールの味を、私は一生忘れることができない。


▶子供の私が憧れたもの

私には憧れがあった。
それは、ライブの後にお酒を飲むことだ。

私は小学生の時に関ジャニ∞に出会い、毎年母親とライブに参戦していた。ライブが終わると、私たちはいつも近くのお店に入って、ライブの感想を言いながら食事をした。

お店の中には、関ジャニ∞のファン(eighter)しかいないような状況で、店内には「誰々がかっこよかった」「あの曲が良かった」と、興奮したままの声が響く。

まさに幸せの空間だった。

多くの人が生ビールを飲んでいて、目の前に座っている母もその一人だった。
大好きな人を応援して盛り上がって、歓声を上げたり踊ったり、普段使うことないパワーを最大限に絞りきっているから、そのビールの飲みっぷりが気持ちいい。

子供ながらに、「凄く美味しいんだろうな」と思った。
いつか私もこの幸せな空間で、皆と同じように生ビールをグビクビ飲み干してみたい!

ライブに行く度に、歳をとる毎に、私の密かな楽しみとなっていった。


▶6人を受け入れた時

そして、とうとう私が20歳になった時、関ジャニ∞は6人になっていた。

私は、11歳から20歳まで、言うなれば小中高大の学生時代を、ずっと関ジャニ∞の7人と過ごしてきた。私の思い出は常に7人と伴にあり、7人と成長してきた。
彼らは、私の人格形成にまで深く関わるような存在になっていた。

特に、脱退した渋谷すばるは私の憧れの人で、髪型や服装、言動まで真似したくらいに「なりたい人」だった。影響を受けまくった、まさに私の人格形成の歩みに欠かせない人だ。

彼が脱退を発表した時、私は何故か彼の脱退をすんなり受け入れていた。「皆が納得して送り出すということか、彼の夢を応援するわけだ。良いんじゃない?」とむしろ肯定していたくらいだ。

でも、今思えば、私は強がっていて現実を受け入れようとしてなかったのだ。現実だと飲み込めていないまま、フワフワした気持ちで肯定して、その足で6人のライブに来た。

「GR8EST」のライブツアーは、関ジャニ∞のベストアルバムを引っさげたもので、ある意味集大成のようなライブだった。そんなライブに一人足りないなんて、全く想像がつかなかった。

ライブが始まって6人が出てきても、すばるのパートを他のメンバーが歌っても、私は普通にライブを楽しめた。もはやマイナスな感情を持つ器官を失っているようなフワフワした感覚だった。

しかし、「LIFE〜目の前の向こうへ〜」のバンド演奏が始まった時、私は初めてライブ中に座った。

いや、立っていられなくて、崩れ落ちたのだ。

この曲は、私が彼らを好きになった当時の最新のシングルで、好きになった当時に沢山聞いた曲だった。

私が好きになってから今日までの思い出が、走馬灯のように駆け巡って、その思い出のどれとも違う3:3の綺麗すぎるバンド形態を目の当たりにして、初めて、「渋谷すばるがいない」という事実を理解したのだ。

そうしたら、私は涙が止まらなくて、嗚咽を漏らしながら崩れた。 成人がそこまで泣いているのを見た事ないくらいの大号泣で、軽く過呼吸になっていた。

それまで一度も、自分の悲しみに向き合わなかったから、急に線が切れてしまったのだ。

「LIFE〜目の前の向こうへ〜」の間、ずっと下を向いていたと思う。そして溢れた自分の思い出や悲しみが、この曲と伴に流れていった。さっきまでの涙が嘘のように、次の曲の頃にはすっかり元気になっていた。

一生に一度の大号泣をして、6人の、今の関ジャニ∞を応援しよう、と決心できた。


▶初めての生ビール


そうやって、気持ちの整理をしながらライブが終わり、とうとう憧れだったライブ後のビールを飲むことになった。

お店のお客さんは相変わらずeighterしかいなくて、皆がライブの感想を目を輝かせながら話していて、それはいつもと変わらない景色だった。

そして私の生ビールがやってきた。

実は、お酒がそんなに美味しいと思えなくて、飲めるようになってからもほとんど飲んでいなかった。

でも、今日はグビグビっと行ってみよう。

それは憧れてたライブ後のビールだからでもあるし、自分と関ジャニ∞の歴史に向き合ったという感慨深い気持ちだったからでもある。

そして、勢い良くぐーっと流し込んだ生ビールは、私の知っているビールとは一線を画すような美味しさだった。

喉にスルスルと流れていって、身体中を駆け巡って、心にまで沁み渡っていった。

思わず「美味い!!!」と声を荒らげてしまった。信じられない美味しさだったのだ。

食事しながら飲み物をゆっくり飲みたいタイプなのだが、ラーメンが来るまで待てず1/3くらい飲んでしまった。

なぜ、こんなにも美味しいのだろう。
汗も涙も流して、水分が足りてなかったからかもしれない。

でも、こんなに美味しいのは大人になったからだ。

11歳の私が7人と出会って20歳という成人になるまでの9年間。
一緒に走り続けた大切な思い出を、1つの青春を宝物にして。
私は、”子供の自分と7人の日々”を卒業した。
あの日の生ビールは、正真正銘の大人の味がしたのだ。

ある意味、20歳というタイミングで、7人が6人になったことは、「私と彼らの日々は、本当に青春になった」ということだと思う。そんな奇跡的な運命的な気持ちになった。頑張ってきた日々に、自分に、7人に感謝した。

ありがとう、という気持ちで溢れた。
店内で生ビールを飲むeighterが、なぜあんなに幸せそうなのか、分かった気がした。


次の年の関ジャニ∞のライブの後も、またラーメン屋さんで生ビールを飲んだ。

やはりライブ後の生ビールは、心と体に沁み渡る。
前の年に飲んだ時のことも思い出しながら、今日のライブを語る。

今日は今日で違う生ビールの味がする。
関ジャニ∞15周年おめでとう、そしてありがとう。そんな想いが店内中に溢れていて、いつもと同じはずのビールがそれはそれは特別な飲み物に変わる。

やはり、この幸せな時間までがライブなのだ。


▶またライブ後のビールが飲めるように

今年のライブ後のビールはどんな味がするだろう?と楽しみにしていたが、その夢はコロナによって叶わなかった。

それでも、関ジャニ∞は生配信ライブをやってくれたり、一緒に音楽を作ってくれたり、私たちに希望をくれた。

自宅で観るライブも楽しかったし、自宅で飲むビールも美味しかった。

ただ、「今日の日のために毎日頑張ってきたんだ!」という気持ちで満ち溢れたeighterだらけの店内で、話さなくても皆と心が通じあっているような、感謝を共有し合えるあの場所で飲むことに意味があると改めて気がついた。

美味しさは、味だけじゃない。
それまでの頑張りや感謝、人との繋がり、今まで歩んできた大切な思い出……、いろんなものが重なって初めて、私はビールの美味しさに出会った。

今年は多くの人が、コロナ禍という辛い日々と戦ってきた。
それを乗り越えて、待ちわびるライブは一体どんなものだろう。その後に飲むビールは一体どんな味がするだろう。

今までで、一番「ありがとう」と思える味だと良いな。


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