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4人の愛人と暮らす私




今年も、たくさん夏子と愛し合った。


ふと、午後の空を見上げると、


つい最近までの空と違い、


どことなく、寂しく感じる・・・


そう感じるようになると、


今年も、夏子との別れが近い・・・



私は、小説家だ。


広い屋敷
に住んでいる。


4人の愛人
と共に・・・


小説を書くこと以外に、


何も出来ない私を、


愛して支えてくれる・・



女たち同士の


取り決めで、


1年のうち、


数か月だけ


交代で、私を独占できる。


ただ、互いに決めた約束で、


お互いに、私を独占している間は、


一切、顔を合わせない。


私といない間、3人の女たちは、


それぞれ別な所で暮らしている。




女たちは、私の事を、


「先生」
と呼ぶ・・・



夏子は、ひまわりのような女(ひと)だ。


いつも、明るくてまぶしい。

元気いっぱいだ。


「先生は、部屋にこもって小説ばかり

 これじゃ、健康に悪いわ。

 そうだ、先生。

 一緒に、海に行きましょうか?

 一緒に、山に行きましょうか? 」


こうやって、夏子に色々と

連れ回される。

海に、山に、

そうそう、今年も花火大会に、


人混みが嫌いなのに、


連れて行かれたね。



「じゃ~ん!
 
 先生、似合うでしょう?」


こう言って、毎年、

浴衣姿を、披露してくれる。



ある日、一緒に風呂に入って、


夏子が、背中を流してくれた。


その手が、突然止まると、


背後から、声を押し殺した、


夏子の泣き声が、聞こえる。



「どうしたの?」



と、私が聞いて、


振り向こうとすると、



「先生!振り向いちゃダメ!」



と、大きな声で私を静止する。



「先生には、


 来年まで、


 夏子の笑顔だけを、


 覚えていて欲しいから・・・


 だから・・・


 お願いだから先生・・・・


 
 振り向かないで。」



私は、無言で、うなずく。


毎年の事だけれど、



明るい夏子が、


泣き始めると、


別れが近い、兆(きざ)しだ。


と、同時に、


秋子が、この屋敷のどこかに、


もう、来ているという事だ。



4人の中で、秋子が一番、


いつ来ているのかが、


分かりにくい。


いつの間にか、


夏子が、居なくなっていて、


秋子が、自然に私の隣にいる。


女たちが、私と離れている間、


どこで、どのような暮らしをしているか?


私は、”一切聞かない”


もしかしたら、彼女たちには、


それぞれに・・・・


優しい夫がいて、


可愛いらしい子どもがいて。


私と暮らす為の、数か月間、


何か、夫なり子どもなりに、


”うそ”を、ついて、


毎年、やって来て


くれてるのかもしれない・・・・


隣を向くと、


夏子が、寝息をたてて、


幸せそうな顔で、寝ている。


今年も・・・


あと、どれくらい、


こうして、


夏子の寝顔を、見れるだろうか・・・


冬子といる間、


とても、寒い日なんかに、


急に、夏子の笑顔を、


そう、あの”ひまわり”を思い起こさせる、


まぶしい笑顔を、思い出す時がある。


こうして、当たり前のように、


夏子の寝顔を、見ていた日々なんか、


はるか昔の事に、感じる寒い日に。



夏子・・・・


私といない間のお前が、


どこで、どんな暮らしをしているのか、


それは、一切聞かないけれど、


どこで・・誰と・・・


どんな暮らしをしていても、


幸せで、元気でいておくれ。


そしてまた来年、


お前は、私と暮らす数か月の為に、


私の知らない“誰か”に、


つきたくもない


”うそ”を、


つかせてしまって、


本当に申し訳ないと思う。


その代わり、


私と暮らしている、


数か月間は、


世界中の、どの女性より、


一番、幸せにするから、


だから、だからさ・・


愛しい夏子・・・・


また来年も・・・


こうして・・・


私の家に来ておくれ・・・


そして・・・


また、私を何処へでも、


連れ回して、困らせておくれ。


来年は、今年よりも、


夏子と色々な所に


出かけられるように、


私は、もっと元気になって、


もっと丈夫な体になって、


たくさん、たくさん、


夏子を誰よりも愛するから、


だから、だからさ、


お願いだから、


また、来年も、


私の家に来て、


一緒に暮らしておくれ。



「先生?泣いてるの?」


夏子が、心配そうに、


声をかけてくる。


「起こしてしまったかい?」


私が聞くと、


ううん、と首を振って


あのまぶしい笑顔を、


見せてくれる。


「夏子の事を、

   考えていたんだよ。」


そういうと、

夏子は、飛び起きて、

私の首に手を回すと、


「先生、うれしい!

 ねえ、夏子の、

 どんな事、考えてたの?

 教えて!ねえ、先生ってばぁ!」



私は、唇の前に、

人差し指を当てて、

夏子に見せる。


「先生ー!

  ずる~~~い!」


今年も、あとどれくらい、


こうして夏子といられるだろう。


今は、あまり考えないで、


残された時間、


思いっきり、夏子を愛そう。


いつの間にか、


出て行ってしまう夏子を、


今、思い切り


抱きしめる・・・・・



 

<お・わ・り>




素敵な見出し画像   minto先生様



今日の午後、

空を見上げていたら、

いつの間にか、

つい少し前までの、午後の空と違い、

少し寂しい感じが、しました。


minto先生だったら、

この寂しさを、絵に描く事が

お出来になるんだろうなと、思いました。


つい先日、noteを始めた時から、

ずっと書きたいと思っていた、

四月の瞳が、

まだ、前編だけですが、

ようやく完成して、公開できました。


この作品は、自分を再び、


生きる事へと、導いてくれた、


年の離れた彼女への


恩返しの為に、絶対に書きたい作品でした。


でも、6月から始めて、


何度やっても、何度やっても、


上手に形にならなくて、


悔しくて、悔しくて、


何で書けないんだと、


悔し涙を流して、


半ば絶望していました。


しかし、3か月経って、


しばらくお休みしていた、


四月の瞳を、改めて挑戦してみるかと、


やはり、女性の作品を書くときは、


minto先生の、作品をお借りしたいと、


思っていましたので、


作品を探すと、


4月に出会った彼女に、


まるで再会したかのような、


そんな気持ちにさせてくれる


minto先生の、


一枚の作品と出会いました。


前編でも書きましたが、


しばらく泣いてしまいました。


それは、悲しみの涙ではなくて、


うれしさの涙です。


それからは、忘れかけていた


彼女との事が、スラスラと


まるで魔法にでも、かかったかのように、


もちろん、不器用な私の事ですから、


つっかえ、つっかえ、それでもやっとですが、


先日、やっと書き上がる事ができました。


本当は、後編の最後に、


この事は、ネタばれっぽくなっちゃうので、


書こうと思ったのですが、


何か、すぐにでも、minto先生に、


お礼がしたい、お礼がしたいと思っていましたら、


今日の午後、空を見上げていたら、


少し寂しさを空に、感じたものですから、


minto先生だったら、この寂しさを表現


なされるんだろうなと、思ってるうちに、


私は、絵が描けないから、


絵では、お返しできないけど、


何か、一つ作品を書いて


エレガントなminto先生に、


恩返しをさせてもらいたいなと


思いまして、即興ですが、


1時間くらいで作りました。


いつも、他の方にない、


ハイクラスで、エレガントな絵の作品を、


本当に、ありがとうございます。


捧げられても迷惑かもしれませんが、



感謝の気持ちを込めて、


この作品を、


minto先生に、


謹んで捧げさせて


頂きたいと思います。



四月の瞳<後編>でも、
また、あの素晴らしい画像を、
使わせて頂きたいと思います。

あの素晴らしい画像は、

私にとって、

「絵姿女房」

です。

これからも、よろしくお願いします。

いつも、本当にありがとうございます。




この作品を、最後までご覧頂いた、

愛する読者のみなさま、

最後まで、お読み頂きまして、

ありがとうございました。


ちょっと、最後に、


後編のネタバレっぽいのが、


入っちゃってますが、


お優しい、みなさまの事ですから、


きっと、見て見ぬフリを、


して頂ける事と、


勝手に、思っておりますw


では、今度こそ、


本当に、オレの相棒(第6回)で、


お会いしましょう!


さようなら!





懐かしいやら、マニアックな内容やらですが、 もし、よろしければですが、サポートして頂けたら 大変、嬉しく感激です! 頂いたサポートは、あなた様にまた、楽しんで頂ける 記事を書くことで、お礼をしたいと思います。 よろしくお願いします。