【短編小説】ゆめをみない。
ガラス瓶の中で揺れる、飲みかけのアルコールを支えにしている。怠惰な生活の鱗片を象徴するような水面の揺らぎ。それをひとり煽るのが慰めだった。
こうなるはずじゃなかった、と思う。こうなるはずじゃなかったから、こうなった自分なんてもう、どうでもいい。こうなった自分の行先に何があってもそれは仕方ないことだという気がする。
日々の小さな慰めを頼りにして、このつまらない自分に湧き起こる感情は(恋でも欲求でも)何でもいいから大切にした。身を滅ぼすならそれも全部、こうなるはずじゃなかった世界