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【詩】そむけ顔

最後にあとがきあります





そむけ顔


まるい瞳ですり寄って
その膝のあいだでまるくなって
眠気をさそう声に眼を閉じる
気まぐれに現れる特等席
いっそ光栄に思いなさいよね

いつも見上げているんだからたまにはいいよねと
少し高いところから見下ろして
降りておいでと伸ばされた手を知らんふりして
つんとすまして見ていてあげる
誰にもなびかないんだから

いい子にしていてあげる
上手く生きるのには大事なことよ
たまには甘えてたまにはすまして
ときどき困らせてあげる
だけどほんとは
誰にもなびかないんだから
誰にも、なびかないんだから








***

あとがき

読んだら何となくわかるように、猫のお話です。
猫は気まぐれで、どこか高貴な印象を与えるけれど、それも生き残る術なのかもしれません(動物の生態には詳しくありません、ご了承ください)。

気まぐれに現れる特等席。この部分は、ふたつの意味に取れるように、と思っています。猫の気まぐれで座りに来る、人にとっての特等席なのか。あるいは、この人があぐら等をかくのを猫が"気まぐれ"と表現(理解)している、猫にとって気まぐれに現れる特等席なのか。

まあ僕はツンデレが好きなので、全体的にツンデレ感のある仕上がりになりました。こういう雰囲気の作品をたくさん書くわけではありませんが、結構気に入っています。


僕の意訳を書いておきましょう(自分の作品だろ、というツッコミが来そう)。


あたたかい部屋の中で、その暮らしを覗いて、この部屋の中でだけあなたを見上げている。
全ては知らない、猫なんだから。でもだからこそ、気まぐれに現れる特等席を大事に思ってね。たまには困らせてあげるけど、それもこれも全ては私が心地よく生きていくための術で、誰かになびいたりなんてしないんだから。



***


もうすぐクリスマスですね。寒波が来ていますし、皆さま暖かくしてお過ごし下さい。

(僕はがっつりバイトです……)


おやすみなさい。








*こちらの作品は創作です

最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。