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ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2nd Live!「Brand New Story」「Back to the TOKIMEKI」感想~「with You」も添えて~

2020年9月12日、13日にそれぞれ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2nd Live! Brand New Story」と「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2nd Live! Back to the TOKIMEKI」が開催されました。まずはこの厳しい環境下で、無観客配信とはいえ無事に見事に遂行してくださった関係者各位に感謝申し上げます。ありがとうございました。そういえば「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 First Live “with You”」の感想記事が塩漬けになっていたなということもあったので今回「Back to」してくれたのをいいことに、合わせて触れていければいいなと思います。

以下、いろいろとネタバレが含まれますので「円盤まで待つんだい!」という方は回れ右していただければと思います。

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まずはセットリスト。

Brand New Story
01.未来ハーモニー / 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
02.無敵級*ビリーバー / 中須かすみ(CV.相良茉優)
03.SUPER NOVA / DiverDiva
04.Love Triangle / DiverDiva
05.アナログハート / 天王寺璃奈(CV.田中ちえ美)
06.Say Good-Bye 涙 / 上原歩夢(CV.大西亜玖璃)
07.やがてひとつの物語 / 桜坂しずく(CV.前田佳織里)
08.Sing & Smile!! / QU4RTZ
09.Beautiful Moonlight / QU4RTZ
10.LIKE IT!LOVE IT! / 優木せつ菜(CV.楠木ともり)
11.楽しいの天才 / 宮下 愛(CV.村上奈津実)
12.Margaret / 中須かすみ(CV.相良茉優)
13.Dream Land!Dream World! / A・ZU・NA
14.Cheer for you!! / A・ZU・NA
15.Fire Bird / 朝香果林(CV.久保田未夢)
16.哀温ノ詩 / エマ・ヴェルデ(CV.指出毬亜)
17.Märchen Star / 近江彼方(CV.鬼頭明里)
18.決意の光 / 三船栞子(CV.小泉萌香)
19. TOKIMEKI Runners(17章Ver.) / 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
EN1.ソロ曲メドレー
夢への一歩 / 上原歩夢(CV.大西亜玖璃)
あなたの理想のヒロイン / 桜坂しずく(CV.前田佳織里)
Evergreen / エマ・ヴェルデ(CV.指出毬亜)
ダイアモンド / 中須かすみ(CV.相良茉優)
ドキピポ☆エモーション / 天王寺璃奈(CV.田中ちえ美)
Starlight / 朝香果林(CV.久保田未夢)
眠れる森に行きたいな / 近江彼方(CV.鬼頭明里)
めっちゃGoing!! / 宮下 愛(CV.村上奈津実)
CHASE! / 優木せつ菜(CV.楠木ともり)
EN2.Just Believe!!! / 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

Back to the TOKIMEKI
01.TOKIMEKI Runners(17章Ver.) / 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
02.決意の光 / 三船栞子(CV.小泉萌香)
03.めっちゃGoing!! / 宮下 愛(CV.村上奈津実)
04.あなたの理想のヒロイン / 桜坂しずく(CV.前田佳織里)
05.CHASE! / 優木せつ菜(CV.楠木ともり)
06.Starlight / 朝香果林(CV.久保田未夢)
07.眠れる森に行きたいな / 近江彼方(CV.鬼頭明里)
08.ダイアモンド / 中須かすみ(CV.相良茉優)
09.Evergreen / エマ・ヴェルデ(CV.指出毬亜)
10.ドキピポ☆エモーション / 天王寺璃奈(CV.田中ちえ美)
11.夢への一歩 / 上原歩夢(CV.大西亜玖璃)
12.SUPER NOVA / DiverDiva
13.Love Triangle / DiverDiva
14.Sing & Smile!! / QU4RTZ
15.Beautiful Moonlight / QU4RTZ
16.Dream Land!Dream World! / A・ZU・NA
17.Cheer for you!! / A・ZU・NA
18.Love U my friends / 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
19. Just Believe!!! / 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
EN1. TOKIMEKI Runners(17章Ver.) / 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

今回、セットリストについてまじめに考えていませんでした。1日目が昼夜公演2日目が1公演だったので、ろくに公演時間も考慮せず、漠然と1日目に軽めにユニット楽曲と中須かすみソロシングル、2日目にがっつり3rdアルバムなのかなと思っていました。蓋を開けたらとんでもねぇな! 1日目に未披露楽曲すべてをぶち込み、原点である1stアルバムメドレー含めて29曲。あまりに濃厚な時間に頭がくらくら。昼公演が終わった頃には「え、もうTOKIMEKIにBack toしちゃってんじゃん……明日なにやるの??」とか「え、この子達、2時間半後にこれもう1セットやるの?? 正気か??」と嬉しい悲鳴をあげていました。

2日目は1stアルバムのフル+ユニット楽曲+αということで1日目を見ている身としては楽曲自体に目新しさはなく、MCを堪能したり、1stライブを懐かしみつつ成長を感じたり、新情報で盛り上がったり、ライブそれ自体よりはコンテンツの軌跡を楽しむイベントだったように思います。今後の展開も発表されました。アニメの出来次第で爆発的に跳ねるのではないでしょうか。

以下、個人、ユニット、全体の順に振り返っていきます。あくまでイチ個人の感想であることをご理解の上、読み進めていただけたらと思います。長いよ。

まずは個人。

上原歩夢(CV.大西亜玖璃)
1stライブ初日に自身を重ねてボロボロ泣きながら「開花宣言」を歌っていた彼女が、「Say Good-Bye 涙」を涙なしで歌う姿を涙なしに見られましたか? 間奏でのふわふわハートを持ってのカメラ目線でのメッセージ(自作)で何人か死んでいるのを観測しました。比較することにあまり意味はないのですが、大西さんの歌と踊りは虹ヶ咲メンバーの中で決して優れているほうだとは思いません。しかし、そこがまさに上原歩夢という存在そのもの。スクスタのストーリーを読んでいても、上原歩夢にはコンテンツと共に、「あなた」と共に、夢に向かって一歩ずつ先に進むための伸びしろが必要です。もしも上原歩夢のオーディションで歌と踊りがキレッキレで最初から完成されたパフォーマンスができた人がいたとしたら、その人は落ちているような気がします。少しばかり稚拙なところがあったりなかったりしても、純粋が過ぎる瞳でまっすぐひた向きに頑張って歌って踊る大西さんのその姿に心打たれるのです。2ndライブで特に印象に残っているのが2日目の「夢への一歩」。2日目の公演は1日目からの解放によるものかなんなのか、全体的にふわふわぐだぐだした印象でした。それをソロの最後に出てきてバチっと引き締めてくれたのが彼女でした。「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 校内マッチングフェスティバル」の初披露でソロの最後に出てきたときとは大違い。「あなた」と共に、上原歩夢と共に、まさに一歩ずつ先に進んでこられたのだなとその成長ぶりに驚かされました。近くドラマチックにヘッドライナーに輝く日が来てもいいんじゃないでしょうか。来てくれ。あと相変わらずトークが好きです。新田恵海さんや伊波杏樹さんのようなリーダーシップは感じられず、自由奔放さからどちらかといえば逢田梨香子さん寄りのような気もするのですが、虹ヶ咲の中心に立つだけのうまく説明できない逞しさを確かに併せ持っていて、一朝一夕では真似できない彼女特有の天性の武器だと思います。

中須かすみ(CV.相良茉優)
泣き顔も笑い顔も全部応援するから……! そう思わせてくれるパフォーマンスだったように思います。良くも悪くも。1日目1曲目の「未来ハーモニー」後の自己紹介で早々に「準備があるので……」と捌ける流れでほとんどの人が確信したのではないでしょうか。次はあの曲だ! と。彼女だけの特別な楽曲。9人の頂点に立ったからこそ与えられた楽曲。「無敵級*ビリーバー」。かすみ寄りのハコ推しの私がいちばん楽しみにしていた楽曲です。ところが期待通りPVを再現する衣装で登場した彼女の昼公演のパフォーマンスは、残念ながら期待とは遠くかけ離れたものでした。いやいやいや。声は震えているし、歌詞もぐだぐだだし。当人も納得がいっておらず最後のMCでこぼしてしまうほど悔しい様子。そんな姿を見た後の夜公演。私は画面の前で息を呑み、手に汗握りながら応援していました。まゆち頑張れ……! ロンダートからのバク転とか特別なことをするわけでもないのになぜこんなに緊張しなければならないのかとも思いつつ。結果的に夜公演はうまく立て直してくれて、精一杯、無敵級に可愛く歌って踊るかすみんを観ることができました。よかった。本当によかった。私の2ndライブのいちばんの泣きポイントはここでした。相良さんよく切り替えて立て直してくれたよ……(Aqoursの小宮有紗さんから幕間に送られたダイレクトメールで吹っ切れたらしい)。「失敗」と「感動」は切り離して考える派なので私が彼女に「最高のパフォーマンスだったよ」と言うことはありません。それでも中須かすみの物語としての作品の完成度はあまりに高いものでした。別項で触れたとおり、これまでブリブリに可愛く演じていればよかった中須かすみの中に迷いが生じ、そこに答えを見出す変曲点が今回ライブで披露された「無敵級*ビリーバー」と「Margaret」だと思っています。「Margaret」の中で彼女は「泣き顔も笑い顔も全部見て欲しい」と歌っています。また、ライブ前日の生放送で彼女は好きな歌詞をその直前の「聞いて!」であると言っています。フラグを見事に回収してしまったというかなんというか、成功も失敗も笑い顔も泣き顔も全部見ることになりまして。身を呈して「Margaret」に深みを持たせることになったわけです。ところで「無敵級*ビリーバー」のお衣装、MVを観たときから「これは中須かすみ体型だから上から下にストンと落ちる綺麗な形になるのであって、相良さんが着るとシルエットが変わって衣装コンセプトが変わってしまうのでは?」と思っていました。実際その通りだったのですが、クルリと回るとヒラリと大きく広がる薄手のスカートはとても綺麗でとても可愛かったのでそんなのは些末な問題であるということにしました。可愛いは正義。かすみんは可愛い。かすみんは正義。

桜坂しずく(CV.前田佳織里)
サインありがとうございました。閑話休題。2ndライブでは披露されなかった2ndアルバムの「オードリー」が秀逸で、早着替えなどの舞台演出や映像演出を含めた総合演出を考えると1stライブの中でいちばん気に入っています。後の生放送で「練習では早着替えが全然成功していなかったけど本番ではいける気がしていた」旨の発言でメンバーから驚かれていました。どこからくるのかその自信。本番に強いタイプなんだろうなと推察します。その肝の据わりっぷりはパフォーマンスにも表れていて、緊張による声の震えがあまりなく、安心して聴いていられるキャストのひとりです。新曲の「やがてひとつの物語」はARによる開幕から始まるまさに歌劇。変拍子や転調や台詞を組み込んだ構成に「Sound Horizon」を感じずにはいられませんでした。懐かしい。「やがてひとつの物語」と書いて「やがてひとつのろまん」と読んだりしないですよね?? 演技派系スクールアイドルを演じる以上、前田さんにも演技力は要求されるわけで、そこは見事に応えてくれていたように思います。今回の台詞パートは演技をする演技を要求されたとか。ライブを重ねるごとに増していく女優力。清楚で可憐な桜坂しずくとごま焼酎を開けながら「公園で呑みてぇ」と溢す人物が同一とは思うまい。女優力。演出の面白みで言えば高台から降りてくる際のカメラワークは明らかにカメラマンがステージ上にいないとできない構図で、無観客配信ならではの試みのひとつだなと思いました。

朝香果林(CV.久保田未夢)
虹ヶ咲ソロ楽曲の3曲の振れ幅がいちばん大きいのは彼女ではないかと思います。2ndアルバム発売当時は情緒不安定か! と思うも、後に楽曲作成秘話にあたるゲーム内キズナエピソードを読んだところ、楽曲を作ったのは他の誰でもない「あなた」ということで(私の知らない)私かぁそうかぁ……となるのでした。1stライブは「Wish」から「Starlight」の流れだったので、「Wish」で感情たっぷりにセンチメンタルな空気を作り出した直後に「Starlight」のイケイケなイントロが流れたときはちょっと笑ってしまいました。気持ちの切り替えが忙しいよ! 久保田さんは元よりi☆Risとしてバリバリにアイドル活動をされており、自分の魅せ方をよく知っています。ダンスのキレもよく、全体曲をぼんやり眺めていると、ついつい視線が久保田さんにいってしまいます。決して朝香果林の衣装が破廉恥だからではありません。ありませんってば。場数の多さは随所に活きています。例えば会場全体がよく見えているんですよね。自分のパフォーマンスがステージ中央寄りだったことからMCのときに「私のワガママ」的な感じで皆を引き連れて両端にきてくれたのをみて流石だなと思いました。ライブビューイングへの気遣いも忘れません。久保田さんなくして1stライブの1stらしからぬ体裁の整った安定感は出せなかったのではないでしょうか。表向きのヘッドライナーは優木せつ菜でしたが、影のヘッドライナーは彼女だったと思っています。影のヘッドライナーって何だ。では2ndライブはどうだったかといえば実は残念ながら印象の薄いキャストのひとりです。彼女らしい素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたとは思いますが何だか物足りない。おそらく先に述べたような会場を掌握する能力を無観客配信ライブでは十分に発揮できていないからではと想像します。思わず視線がいきたくても、カメラが向いてくれない限りどうしようもないわけです。つまるところ私は彼女に「現地で」煽られたかったわけです。

宮下 愛(CV.村上奈津実)
「楽しいの天才」の天才か?? 否、めちゃくちゃ努力されたんだろうなと思います。久保田さんもMCで言及されていましたが努力の天才です。体力が大幅に強化されている……。私の中の2ndライブ1日目のMVPは彼女にあげたいです。お台場初披露イベントの振り返り放送でダンスの話になると感極まる村上さん。どうやらあまりダンスが得意な方ではないとお見受けします。しかし宮下愛は心優しきイケイケギャル。しっとり優雅なダンスのわけがありません。どちらかと言えば激しめのダンスで1stライブでは(1曲目はトロッコだったけど)2曲目の途中から息があがってヘトヘトになっているのがわかりました。そんな彼女に与えられた3rdアルバムの楽曲はラップ込みのアゲアゲな楽曲。曲それ自体アゲアゲで楽しいことが約束されているのに、それに加えて、歌うのも踊るのもめちゃくちゃ大変そうなこの曲をあの村上さんが笑顔で全力で歌いきり踊りきる姿がもうたまりませんでした。曲名に違わず2ndライブでいちばん楽しかったです。腕を斜めに構えて「アイさん、ハンパなーい!」と笑顔で締めくくる彼女を見て「なっちゃんがハンパねぇよ……」と思ったのは私だけではないはず。「この振り付け二の腕痩せるよね」「いやこれは全身痩せるやろ」とは私と友人談。

近江彼方(CV.鬼頭明里)
あれ?? 口パクかな?? と疑ってしまう口からCD音源能力の持ち主。1stライブで初めて彼女のソロ歌唱を聴いたときの衝撃は今でも忘れません。その9ヶ月後にちょっとした話題となった彼女の1stソロライブに行くことになるとは微塵も思っていませんでした。2ndライブの約2週間後に開催ということで大忙しです。彼女のソロライブを通してわかったことは、決して近江彼方がゆったりのんびり歌唱だから安定して歌えているというわけではなく、ただただ鬼頭明里さんの歌が上手いということでした。上手さの定義はいろいろありますが、音程の正確さで言えばダントツだと思います。正確にゆったりのんびり近江彼方ボイスで歌われると心地よくてたまりません。3rdアルバムの「Märchen Star」はタイトルこそ再び「Sound Horizon」を彷彿とさせますが、中身は1st2ndアルバムに続いて入眠に最適なゆったりのんびり曲。ベッド、高台に引き続き、月に座って歌っていました。立って歌うことは許されないのでしょうか。ここまでくるともう大道具も楽しみのひとつなので今後もいろんなものに座って歌っていただきたいなと思います。座りながら口からCD音源が出せるのがまたすごいんですよね。座っているのでダンスというより身振り手振りで表現する箇所が多く、これがまた可愛いのです。「Märchen Star」のサビで「うんぱっぱ」のリズムで繰り返される手ぶりが大好きです(伝われ)。彼女は少しばかり悪い言い方をするとドライで、MCを聞いていてもライブを楽しんでいるというよりは淡々とプロとしての仕事をこなしている印象です(私個人は対価を支払っている以上それなりのものを見せてほしいと思っている派なので彼女のプロとしてのパフォーマンスに大満足しています)。そんな彼女がすべてを出し尽くしたあとの最後の最後のMCで涙を浮かべるものだから、ギャップにやられてもらい泣きしそうになりました。

優木せつ菜(CV.楠木ともり)
最年少でありながら未成年でありながら1stライブではヘッドライナーの重責を担っていました。若さを活かした全力の「CHASE!」は激アツで、炎による物理的な激アツも相まって全力でコールしていた気がします。今回は披露されませんでしたが1stライブで披露された「MELODY」はもう一度現地ライブで聴きたい虹ヶ咲の楽曲のひとつです。CDで聴いたときは清々しい風のような楽曲だなと思っていました。しかしこれをライブで聴くとどうでしょう。もうイントロの裏打ちコールからして心地よい! これまた「まっかっか」な激アツな楽曲でした。構成的にノリやすく作曲編曲されているのに加えて楠木さんの煽りがうま過ぎるというのもあるでしょう。若造に負けていられるか……! 1stライブのソロ最後に観客のボルテージを最大値に引き上げるに十分なパフォーマンスでした。いよっ! ヘッドライナー! だからこそ……だからこそ……! 2ndライブも「LIKE IT!LOVE IT!」を現地で盛り上がりたかった……!メガホンで煽られたかった……!  一緒にWowWowタイムしたかった……! つまるところ優木せつ菜の楽曲は総じて現地ライブで観客と呼応することで真の意味で作品として完成するような気がしていて、無観客配信ライブでは満足することができなかったというのが正直なところです。楠木さん本人もモヤモヤを抱えていたご様子。この楽曲に限らず、今回披露された3rdアルバム楽曲の数々を今回の無観客配信ライブで「やったこと」にして前に進んでしまうのは勿体なくて仕方ありません。いつか改めて現地で盛り上げられる場が設定されるとキャストもファンも幸せになれるんじゃないかなと思います。スクスタ1周年で発表されたナンバリングではないライブがそれに相当するのかしら。

エマ・ヴェルデ(CV.指出毬亜)
私の中で2ndライブでいちばんのギャップを見せつけてくれたのは彼女です。1stライブでは緑のペンライトが広がる中で清々しい風のような楽曲を清々しい風のような声で歌ってくれました。よく広大な女性声優界から野生のエマ・ヴェルデを見つけてきたなと。その特徴的な癒しボイスにマイナスイオンと母性を感じた人も少なくないのでは。一緒に歌って戯れていた子供たちに「そこ代われよ!」と妬いた人も少なくないのでは。そんな彼女が「哀温ノ詩」では一変。和装! 赤い和装! 元イラストのデコ出しはNGだったようですが、ちゅんるんという愛称の由来にもなった(けど説明すると長くなるので割愛する)丸顔の指出さんによく似合う。扇子を片手に歌うそのお姿や艶やかなり。マイナスイオンのエマ・ヴェルデを「艶やか」と形容する日が来ようとは。指で扇子をくるくる回しながら、それでも視線は遠くを見ながら歌うところと、階段に崩れて座りながら歌うところが特に素晴らしかったです。色っぽい。虹ヶ咲のソロ楽曲の面白さであり難しさは楽曲の引き出しの種類にあると思っています。この楽曲は「他のスクールアイドルから継承した楽曲」であり、それであれば本来のエマ・ヴェルデと遠くかけ離れたイメージの楽曲を無理なく与えることができます。何度も使えないけどその手があったか。それを活かした良い意味でミスマッチな和バラード曲は新しい彼女の可能性と魅力を存分に引き出してくれたと思います。ARも凝っていて紅葉が舞ったり蝶が舞ったり、総合演出込みで2ndライブでいちばんのお気に入りはこの楽曲です。

天王寺璃奈(CV.田中ちえ美)
もっと自信持ってくれていいのよ! 私が彼女に送りたい言葉です。天王寺璃奈のダンスはロボットのようなという形容は少し違うような気がしますが、激しいでもなく優雅でもなく、小刻みでちょこまかしていてそれでいて可愛く、かなり特殊です。それをこなしながらキャラ声で安定して歌う田中さんはすごいなと。加えて天王寺璃奈の「表情を作るのが苦手だけど頑張る」というアイドルに不向きといわざるを得ないキャラ設定までアドリブを使っていい感じに表現してくれるんですよね。「ドキピポ☆エモーション」は何度観ても楽しくて可愛いくて。ちょっぴり不器用な天王寺璃奈が器用な田中さんでよかったなと心底思います。ところが毎度、田中さんは最後のMCで悔しさを滲ませます。自分に厳し過ぎやしませんか?? 客観的にはどこが悔しいのかよくわからないので「今日のラーメンめっちゃ美味い!」と喜んでいたら最後の最後に「今日のダシ、実は出来がよくなかったんですよ……」と言われたようで、「美味い美味いと喜んでいた私の舌はバカ舌か?」という気分になってしまいます。プロとして現状に満足せずより高みを目指すのはもちろん大切です。要は表現の問題で、本番でベストを出し切れなかったことも含めて、(たしか)自信家の前田さんが言っていた「目標はもっと高いところにあるけれど今自分にできることは出し切った」という旨のコメントくらいがちょうどいいんじゃないかと思いました。ストーリーと共にきっと(当社比)感情豊かに自分を押し出せるようになるだろう天王寺璃奈と共に田中さんも自信を持って胸を張れる日が来ますように。私が彼女に初めて触れたのは「サクラクエスト」の織部凛々子役でした。人と関わるのが苦手ながら故郷に伝わる歌を人前で披露してからは少し積極的になって……ってほぼ天王寺璃奈じゃん! ちょっとばかりネガティブな田中さんだからこそ、こういうタイプの役がハマるのかもしれません。そう考えるとポジティブな田中さんだったら天王寺璃奈は田中さんじゃなかったのかもなぁ。一応断っておきますがネガティブも立派な資質のひとつでポジティブと比較して悪いものだとは思っていません。

三船栞子(CV.小泉萌香)
私の中で小泉さんといえばスタァライトの大場なな。舞台は配信を軽く拝見した程度だったので、今回はじめて彼女のパフォーマンスに正面から向き合ったことになります。ラブライブ!シリーズとしては異例の中途加入の10人目。いろいろな意見を背負った上でひとり遅れてのライブ参加。2ndライブでは計3回「決意の光」を披露したわけですが、1日目の昼公演がいちばんキマっていたと思います。他のメンバーが比較的戸惑っていた初回での本領発揮にまさに彼女の「決意の光」を見たようです。和装で和ロック。楽曲が強い。落ちサビの「ひらひらり空を舞う蝶のように」のところでギリギリ声が裏返らないキーの絶妙な塩梅が気に入っています。まだ出演された生放送は数える程度で彼女自身がどんな人物か深くは理解していませんが、喋らせるとヤバい人(誉め言葉)のような気がしてなりません。イイ話をしているMCの途中で「鼻水が……」とか言うんじゃありません!

次はユニット。

DiverDiva(朝香果林&宮下愛)
衣装や楽曲のテイストはどちらかといえば朝香果林寄り、ライブ経験回数は圧倒的に久保田さんが豊富という中で、宮下愛@村上さんがどう立ち回るのか興味を持ちながら拝見。存分に力を発揮する久保田さんと対等になるべく食らいつこうとする村上さんの関係性が堪りませんでした。個人の項でも述べましたが村上さんの成長がここでも発揮されています。(久保田さんも収録したらしいけど採用されなかった)ラップパートは彼女の、宮下愛の武器になるのではないでしょうか。Love Triangleの「自信なくしちゃう……」など切ない表情も見どころです。宮下愛としてどのように歌うかは苦心されたようですが、隠された一面を見せられているような絶妙なハマり方をしていたように思います。お便りで読んでいただいた念願のSUPER NOVAのドヤ顔の「銀河の果てまでLet's Go!」が見れて私は満足です。あと間奏でスクリーンに映るイメージカラーのシャドウと合わせて踊る演出がカッコよかったです。

A・ZU・NA(上原歩夢&桜坂しずく&優木せつ菜)
開園のお時間です! ライブで観たら想像している以上に楽しいんだろうなという想像の通り想像以上に楽しい時間でした。想像のゲシュタルト崩壊。赤青黄のポップなお衣装で明るく元気に歌って踊る3人がとにかく可愛かったです。「A・ZU・NAランド」という歌詞の一部が独り歩きした結果、曲名言えない人が多い疑惑のある「Dream Land! Dream World!」。大西さんのセリフパートの「ホラーハウスもあるんだよ」は、個人番組「あなたにアグリー」で逢田梨香子先輩に連れられたお化け屋敷での顛末を知っていると「どの口が言うんだよ!」とツッコまずにはいられません。「Cheer for you!!」は「A! Z! U! NA!」の「U」のハンドサインとドヤ顔が印象的。もう少し曲数が増えたり人気が向上したら軽率にどこかのテーマパークと「A・ZU・NAランド」コラボしないでしょうか。「ラブライブ!サンシャイン!!」とのコラボ実績のある富士急ハイランドさんとかどうですか??

QU4RTZ(中須かすみ&近江彼方&エマ・ヴェルデ&天王寺璃奈)
ラブライブ!シリーズ初の4人ユニット。「Sing & Smile!!」のコーラスワークが素晴らしいに尽きます。ラブライブ!の楽曲はそもそもユニゾンが多かったり、CDでハモりがあってもライブではハモらなかったり、ハモっても目立たなかったり、私の中でライブ中のハモりといえばSaint Snowがデュオで頑張っているなぁくらいだったので、さらに重ねたQU4RTZのハモりの実現は革新的でした。耳が幸せ。まさに「響かせてハーモニー」。全力でキャラ声で歌う1年生の2人と、安定感のある歌うまの3年生の2人のバランスもまたいいんですよね。特に低音を下支えする鬼頭さん(だと思う)がめちゃくちゃいい仕事をしてくれます。今回の2曲はどちらかといえば3年生側のテイストに合わせた楽曲でしたが、1年生に振り回される電波系ハーモニーもそれはそれで面白そうで、新しい可能性を感じます。清楚で可憐なお衣装は色が4人でグラデーションになってると言われて初めて気が付きました。

最後は全体曲。

TOKIMEKI Runners
別項で触れたとおり、彼女たちを語るうえで外せない、彼女たちの代名詞たる楽曲に成長したと思います。初披露からもうすぐ2年。いろいろな場所で歌い継いできました。これからも様々なライブで9人で歌っていくのだろう。そう思っていた最中に三船栞子の加入で10人verが爆誕。驚きました。過去にも3人曲が9人曲になったり8人曲が9人曲になった例はありましたが、まさかそれをデビュー曲でやるとは。これからは10人が当たり前になるのでしょうか。たまには9人でやることもあるのでしょうか。逆にまだまだ増えるのでしょうか。私、気になります。三船栞子まわりでいえば歩夢とユニゾンするところと振袖での「始まれー」の振り付けが好きです。

Love U my friends
この曲は1stライブで披露された2ndアルバム曲です。発売当時は知らなかったのですが2ndアルバムのソロ楽曲はゲーム内キズナエピソードと連動しており、何を隠そうゲーム内の「あなた」が楽曲を手掛けています。ライブ中、キャストたちは私たち観客を「あなた」と称するので1stライブでは「あなた」が手掛けた楽曲に感動しながら「この曲誰が作ったんだ? 私か」「私の中の知らない私やるやん」という謎の自己乖離を起こしながら楽しんでいました。一方で、キズナエピソードではこのLove U my friendsの出自が語られずどのように生まれたのかわかりません。それが1stライブの幕間映像で明らかとなったのです。なんと! 彼女たちが「あなた」のために一生懸命作ってくれた楽曲だったのです! 私のために! この曲を! 乖離していた自己が統一された瞬間でした。ライブの構成としてとても美しかったです。2ndライブ2日目でもこの曲が披露されました。なんと三船栞子込みの10人で! 10人お揃いの衣装で! 私聞いてない! 今回のライブでいちばんのサプライズだったかもしれません。個人的に1日目を観てしまうと特に目新しさのなかった2日目ですが、この1曲だけでも参加した価値があったと思っています。家で大人しく観ていたはずなのにこの時ばかりはサビで「Yes!」と声が漏れてしまいました。

未来ハーモニー
今回のライブの始まりの曲。右から見るか左から見るかで変わるツートンカラーの衣装がいいですよね。しかもお揃い。正直、その後の展開がアツ過ぎて印象が薄いのですが、最後の決めポーズで桜坂しずくと近江彼方がベッタリ絡んでいたことだけは脳裏にベッタリ焼き付いています。

Just Believe!!!
スペシャルステージに移動します! そう言って一定距離あけて置かれたキャラアイコンの描かれたボックスに乗って歌い始めたときは「ソーシャルディスタンスだ!」と時世に対する考慮に感心しました。虹ヶ咲が無観客でもライブができたのはソロ楽曲が中心だからであると思っていたからです。途中から降りて普通にきゃっきゃし始めたのでそんなことはありませんでした。もちろん事前に検査して陰性を確認されてはいるのでしょうけれど、これでクラスターが発生したらと少しばかり冷や冷やしていました。壮大なイントロで塊魂がポップアップして宮崎吐夢が語り出してしまうのは私の脳内だけですかね? 私の脳内だけでいいです。イントロから即急展開して実はアップテンポの盛り上がり曲なんですよね。楠木さんのサビ前の「鮮やかに浮かぶ道」で裏声に抜けるところがめちゃくちゃ好きです。2日目に田中さんがはしゃぎ過ぎて歌い忘れて相良さんにいじられているシーンがライブならではで微笑ましかったです。あと賛否両論ありそうですが落ちサビの「光の先へアクセル全開」を新旧生徒会長コンビで歌うところも私は気に入っています。

まとめ
ラブライブ初の無観客配信。家で眺めて盛り上がれるかは不安なところがありましたが、SNSで世界のみんなと、LINEで友人と実況しながら観るのはそれはそれでめちゃくちゃ楽しかったです。AR演出やカメラワークなどで無観客ならではの試みもありました。でもね、やっぱり現地で観たいよ。現地で盛り上がりたいよ。「あなた」がいなくて不安だったと言われたら尚のこと。いつまでこの環境が続くのか見通しは不透明ですが、次のライブこそは直接声援を届けることができるとJust Believe!!! 信じています。

余談

うんうん、よかったなぁ。と公式イベントレポートを読み進めていくと違和感に気がつくはずです。2日目に3rdアルバムの衣装着てませんけど?? よく見ると見出し付近に小さく「写真は1日目のだよ」と書いてあるのですが意図がまったくわかりません。2日目の衣装は1stライブと同じで目新しさがないから?? 1日目のイベントレポートに何らかのの理由でせっかくの新衣装ソロ写真を差し込めなかったから?? 2日目に何らかの理由で写真が撮れなかったから?? 謎は深まるばかり。何も考えずに2日目参加しなかった人が読み進めると「3rdアルバム衣装で1stアルバム歌ったんだ」と勘違いしてしまいそうです。それはそれで観てみたい気がしますが和装evergreenの世界観……!

関連事項

中須かすみの変曲点の話。

楽しかった3rdライブの話。

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