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【マガジン】月の砂漠のかぐや姫

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今ではなく、人と精霊が身近であった時代。ここではなく、ゴビの赤土と砂漠の白砂が広がる場所。中国の祁連山脈の北側、後代に河西回廊と呼ばれる場所を舞台として、謎の遊牧民族「月の民」の… もっと読む
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2023年12月の記事一覧

月の砂漠のかぐや姫 第295話

月の砂漠のかぐや姫 第295話

 お互いの身体に腕を回し合いながら、言葉を交わす王柔と理亜。もはや、二人の間には、怒りや悲しみの感情は存在していないようでした。
 そのような二人を見て、「ハァー」と大きく息を吐いたのは羽磋でした。激高した王柔の様子に驚いて、慌てて彼を止めに入った羽磋でしたが、二人の間に穏やかな空気が戻ったのを見て、やっと安堵の息を吐くことができたのでした。
 本当であれば、二人に加わって話をしたいところでしたが

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月の砂漠のかぐや姫 第294話

月の砂漠のかぐや姫 第294話

 羽磋は王柔の視線を正面から受け止めると、意識的にはっきりとした声を出して、王柔に「大丈夫だ」と伝えました。そして、もう一度王柔の手をギュッと握りました。
 まずは王柔を落ち着かせることが必要だと思った羽磋は「大丈夫だ」としか言わず、それ以上の詳しい説明をしませんでした。感情を昂らせている王柔には短い言葉でないと聞いてもらえないと思えましたし、それに、その言葉だけで十分だとも思ったからでした。
 

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月の砂漠のかぐや姫 第293話

月の砂漠のかぐや姫 第293話

 これでは、理亜が王柔に何か答えようとしたとしても、口を開くことすらできそうにありません。
 返事ができないままの理亜に、王柔は詰問を続けます。彼が出す大声は、静かな空気で満たされている地下世界の天井にまで届き、砂岩を震わせています。羽磋は小さな理亜が可哀想で、王柔を止めに入らずにはいられませんでした。
「王柔殿、王柔殿っ! 落ち着いてくださいっ」
 羽磋は王柔と理亜の間に自分の身体をこじ入れ、二

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月の砂漠のかぐや姫 第292話

月の砂漠のかぐや姫 第292話

 理亜の行動がもたらした結果は、それだけではありませんでした。
 羽磋たちの頭上を通過して行った巨大竜巻は、その先で見えない壁のようなものとぶつかりました。それは羽磋たちを飲み込んでいた濃青色の球体の外殻でした。
 羽磋たちが立っているように感じていたゴビの大地は、濃青色の球体に変化した「母を待つ少女」の母親の意識が作り出した仮の世界で、彼女と意識を共有してその過去を追体験していた羽磋たちが現実の

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