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【マガジン】月の砂漠のかぐや姫

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今ではなく、人と精霊が身近であった時代。ここではなく、ゴビの赤土と砂漠の白砂が広がる場所。中国の祁連山脈の北側、後代に河西回廊と呼ばれる場所を舞台として、謎の遊牧民族「月の民」の… もっと読む
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2022年12月の記事一覧

月の砂漠のかぐや姫 第253話

月の砂漠のかぐや姫 第253話

「羽磋殿っ」
「はいっ、王柔殿」
 身体が動くようになれば、いま彼らがやらなければならないことは一つだけです。それは、一人で地下世界の奥へ行ってしまった理亜と合流することです。
 大きな地震がありましたが、地下世界を覆う天井が崩れてきたところはありませんし、地面にも亀裂が生じたようなところはないようです。それでも、王柔は一人でいる理亜のことが心配でなりませんでした。
 王柔は自分の間近で地面が盛り

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月の砂漠のかぐや姫 第252話

月の砂漠のかぐや姫 第252話

 地下世界の床土で汚れた王柔の顔は、柔らかな表情をしていました。その顔を見た羽磋は、サッと手を引きました。
 王柔は自分に色々と判断を任せてくれているのですが、そもそも王柔の方が年長者なのです。それに、ここは地下世界という常識とはかけ離れた世界ではありますが、ヤルダンの地下に広がっている世界です。荒れ果てたヤルダンで交易隊の先導をすることが王柔の仕事でしたから、王柔のヤルダンに関する知識はゴビで遊

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月の砂漠のかぐや姫 第251話

月の砂漠のかぐや姫 第251話

「どうしちゃったんだ、一体。全く変わってしまっている・・・・・・。羽磋殿、おっしゃるように周りの様子が全く変わってしまっています」
 自分が頭を抱えている間に周囲で何が起こってしまったのか、王柔にはまったくわかりませんでした。彼は疲労の色が濃く浮き出た顔を、力なく左右に振りました。
「なんだ、あの吹き上がる水柱はっ。ああっ、あっちでは透明の丸いヤツが落ちてきて地面にぶつかりそうだっ。どうしてこんな

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月の砂漠のかぐや姫 第250話

月の砂漠のかぐや姫 第250話

「ひ、ひどい揺れでした・・・・・・。羽磋殿は、お怪我はありませんか」
「ありがとうございます。僕も大丈夫です。でも、さっきは本当にびっくりしました」
 自分の傍にまで戻ってきた羽磋の顔を見ると、王柔は少し安心しました。それは、羽磋の顔に「驚き」は現れていましたが、「不安」は現れていなかったからでした。
「羽磋殿、一体何があったんでしょう。もうこれ以上の揺れは起きないですよね。万が一にも、その・・・

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