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心と体の垢落とし

都心に住んでいると緑はわずかしかない。特に僕の住んでいるあたりは極めて少ない。なので、時々自然を求めて温泉地などに行くのだが、コロナ禍ということでここ最近は控えていた。

が、いい加減限界が近づきつつあったので、思い切ってこの週末に秩父に行くことにした。日帰りで行ける所だが、あえての1泊。

実家も住宅街だったので、大自然の中の生活を知らないが、海まではそんなに遠くなかったので人が多い夏を避け、秋とか冬にちょいちょい行き、物思いにふけっていた。
海のスポーツはやらなかったので、ただ、ぼっーとしていただけなのだけど。

大きい海を見ているとちっぽけな自分を感じたのと些細なことで悩んでいる自分を忘れられることが出来た。自然にはそんな力があるんだと思う。

そんな原体験のせいか、時折、自然に囲まれたくなる。いや、本来、人間は自然と共生するまたはすべき生き物なのかも知れない。

近代化により「勝手に」森や木を崩し、街を造り、自然を排除したのは人間達だ。
でも、そんな近代化の恩恵を受けて、都会に住んでいる僕が偉そうなことは言えない。

さて、秩父へはなんとなくだが、JRより時間がかかる西武鉄道で行くことにした。急ぐ旅ではない。

途中、西武秩父駅から徒歩で秩父鉄道の御花畑駅に移動し、目指すは長瀞駅。この御花畑駅から徒歩20分くらいの所に芝桜で有名な羊山公園というのがあるのだが、見ごろは4月中旬~5月上旬。今回は寄らずに目的地を目指す。次回、見ごろの時に是非行ってみたい。

目的地に到着するも、コロナの影響もあり、人はまばら。店もほとんど空いていない。以前訪れた時の賑わいがウソのように静まり返っている。でも、それも秋や冬に行った海のようで心地良い。
(観光地で働く皆さんには痛手なので申し訳ないが)

宿ではゆっくりと持参した本でも読もうと思ったが、案の定、うまい料理にうまい酒を飲んでしまい、断念。結果、食後にお風呂に直行。お風呂は温泉でないことは分かっていたのだが、適温でそして広々としていた。快適だ。

「わーい、大きいお風呂だね」4歳くらいの男の子が父親と湯船につかりながら、喜んでいる。微笑ましい光景。

露店風呂からは山と森が一望できる。遮るものは何もない。星もずるいくらい綺麗に見える。
ここで、おいしい空気を吸いながら、時々腰掛け石に座り半身浴をしながら、頭を空っぽにすることが「心と体を綺麗にしてくれる」。たまらないひと時。

「やっぱり、時々こういう所に来ないとな」ほろ酔い加減で思う。

その後は何か特別なことをするでもなく、部屋のビールをあけて飲んだりしながら、部屋でゴロゴロしているうちにいつの間にか寝てしまったらしい。夜が明け、朝食を食べた後にチェックアウト。

ショートトリップはあっという間に終わったが、久しぶりに自然に触れることができた。
今日は晴天ということもあり、尚更気分が良かった。ラッキーだ。

自然に囲まれた生活。あこがれもあるし、時間に追われない人間らしい暮らしができるのだと思う。ただ、都会の便利さを知ってしまっている僕にはちょっと難しいのかも知れない。

この先は分からないけど、今の僕にはたまに自然に触れて「心と体の垢を落とす」くらいがちょうど良いのかも知れない。

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