映画「ノーカントリー」を観て
7月17日、「ノーカントリー」という映画を観た。原題は「No Country for Old Men」。2007年のアメリカ映画で、ジョエル・コーエン監督とイーサン・コーエン監督作品だ。
キャストは、ベル保安官役のトミー・リー・ジョーンズ。シガー役のハビエル・バルデム。ルウェリン・モス役のジョシュ・ブローリン。ウェルズ役のウディ・ハレルソン。などである。
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あらすじは、
狩りをしていたルウェリン(ジョシュ・ブローリン)は、死体の山に囲まれた大量のヘロインと200万ドルの大金を発見する。危険なにおいを感じ取りながらも金を持ち去った彼は、謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)に追われることになる。事態を察知した保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、2人の行方を追い始めるが・・・、といった内容。
で、観終わっての感想。
シガーのあまりの異常性に震えた
まず、もう感想はこれが一番。
シガーのあまりの異常性がとても怖く感じた。
そのシガーの役を、ハビエル・バルデムが名演で見せてくれた。
とにかく、怖い。
何で怖いのだろうと思ったが、無差別殺人的な要素と、プロの殺し屋の要素、そして、人間的でない残虐性がをすべて持っているからかもしれない。
映画の中で、たばこを買うシーンは、まさに、それが現れていたと思う。
ルウェリンの日常に、突然訪れた非日常の世界
ルウェリンは、ハンターなのだろう。
動物をライフルで遠くから撃つシーンで、それがわかる。
そこで、巡り合わなくていい非日常に立ち入ってしまうことから、この話は始まる。その何気ない日常生活の場で、犯罪組織での銃撃戦後の場所に遭遇してしまう。
そこから運命の針は、後戻りができない方向へ進む。また、人としては情がある彼は、瀕死の状態にあった男のことが気になり、水を持っていってしまう。そこで何とか生き延びるのだが、次から次へと、追手は現れるのだ。
でも、現金入りのアタッシュケースを持ち出した時点で、いずれにせよもう後戻りができないことは、映画を観てわかって行った。
ほぼ主役のルウェリンが、突然死んだのに驚いた
何とか追手からのがれてきた、そのルウェリンが、あっけなく死ぬ。というか、あっけなく殺される。あまりにも、それまでの逃亡から考えると、そのあっけなさに驚かされた。
もしかすると、人生なんてこんなもんだ・・・というメッセージだったのかもしれない。それくらいあっけなかった。
ルウェリンって、ほぼそれまで主役だったような・・・。
なんとも、斬新だ。
不死身のシガーさえ、あっけなく交通事故に遭う
最初に書いた、その異常性の怖さが際立っていた「シガー」。
ルウェリンの妻を始末した後、車に乗り込む。
少年2人が自転車に乗っているのをバックミラーで確認した後、信号無視した車がその車に横から衝突する。
シガーは、腕の骨が複雑骨折する。
それでも、少年たちに助けを求め、「シャツをくれ」と現金を渡す。
そして、少年たちに「自分のことは言わないように」と釘を差し、シャツを腕の固定に使い、足を引きずりながら何処かへ歩いてゆく。
今まで、あれだけ残酷に人を殺してきた人間も、交通事故で大怪我をするところに、この映画の伝えたいことが、ギュッと詰まっているように感じた。
要は、ルウェリンも、ウェルズも、シガーも、
皆、しょせん人間なのだ。
どんな悪事を行おうと、いずれ人は死ぬのだ。
引退間近のベル保安官の存在が、なおさらそれを際立たせてくれたと感じた。
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2007年度の第80回アカデミー賞で8部門にノミネートされた作品ということで、相当期待して観た。
その期待通り、観る側を飽きさせない作品だった。
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