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寒くなると思い出す

小学校三年生の冬だった。
担任の先生が国語の時間に言った。
「今日は今年初めて雪が降りましたね。初雪です。その様子を見て自分が感じたことを詩にしてみましょう。」

思いをそれぞれが詩にした。
それを先生が全員分載せて冊子にしてくれた。
それを何度も読み返したなぁ。

私は、特に比喩など使わず、雪が降って楽しかった気持ちをそのまま言葉にしたような詩を書いた記憶がある。

クラスメイトの中で、特に覚えている詩がある。
覚えている、といっても最後の一節だけなのだが。

小学校三年生が書いたとは思えないほど繊細で上品な表現だったから。

...
そして地面に落ちて消えてゆく。

白いかすみ草を咲かせてから。


たくさん降り積もる雪ではなく、降ってもすぐ地面に当たって消えてしまったその日の雪。
それを、まるで地面の際でかすみ草がパッと咲いて消えていくように見えた、と表現したのだ。

かすみ草の可憐で儚い花の印象と、初雪の積もらず消えてしまうという映像をうまくリンクさせている。

また別の子は、白いひらひらとしたドレスを着た妖精が、空から舞い降りてくるようだ、と書いていた。

...
らりらりるれろ らりらりるれろ

と歌を歌いながら。
舞い降りてくるときのこの歌が、ふわりふわりと優雅でありながら少し危なげな雰囲気をすごくよく表現していると思う。

子どもの頃の瑞々しい感性を思い出しては懐かしく、羨ましく思う季節だ。

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雪は昔からその美しさに多くの人が心打たれていたんだなぁと感じる。
それはこんな記事からもうかがえる。

「知って得する季語」── 美しすぎる日本語「六花」tenki.jpより抜粋

雪に関する冬の季語として、粉雪や細雪などの種類はもちろん、雪合戦や雪だるま、雪見酒や雪見障子など多くがあります。
中でも「ろっか」と読みがちな「六花」は、雪の別名なのですが、ご存じですか?

「六花」の読みは「むつのはな」。
意味は雪の結晶の多くが六方形をしているので、このように呼ばれています。

今回ご紹介した「六花」は、歳時記におけるひとつの季語に過ぎません。
事実から生まれた言葉でありますが、そこには神秘的な魅力がつまっています。先ほどご紹介した中谷教授は「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残したそうです。


引用ここまで

日本語の持つ柔らかさが、雪の神秘的な美しさをよく表した表現だと思う。

私の住む街では来週あたり雪が散らつく予想だ。
寒いのと、凍るのは苦手なのだが、空から白い粉雪が降ってきたら、私の中のアンテナを研ぎ澄ませて、しっかり味わってみようと思う。

追記→この記事を書こうとしていたら、Kさんが雪についてつぶやきを投稿されていて嬉しかった。そしていつも表現が素敵なのだ。

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