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小さなご馳走 その12

お料理と名乗るのも憚られるけれど、
食べると幸せを感じるおかずたち。

黒豆煮
(作りたてで優しい匂いとともに湯気が立ち上っている。カメラでは伝わりづらいか...)

普通黒豆煮というのはおせち料理の中の1つであるという認識が世間的にはあると思う。

私もずっとそうだと思っていた。

どこかよそ行きなお料理。
普段は作ることがない一品。

そして、煮るときには錆びた釘を入れるといいとか?なかなかふっくら煮るのが難しいとか、
皮をシワシワにしないようにするのが大変だとか、

いろーんな事前情報がかなりハードルを高くしていた。

しかし、ひょんなことから実は簡単に出来るということがわかり、それから普段のおかずの一品としてつくるようになったのだった。

全然よそ行きでもなかった。
料理の達人が作る一品でもなかった。

何よりうっすらと甘い味付けが子どもたちに大好評で、お弁当の時にもよく入れてあげる。(小さな子どもの弁当の内容としてはかなりシブいのではないかと思っているが、キャラ弁なんて作る気も力量もないので、シブくて結構!と開き直っている次第。)

常備菜のつもりでどっさり作っても、「常備」されることはあまりなく、1日2日で食べきってしまう。

他にも色んな豆を煮ることが増えたのだが、やっぱり甘くふっくら美味しく煮ることができるのは断然黒豆のように思う。

最近大好きな作家の宮下奈都さんもエッセイで、豆を煮て、まだ小さかった子どもに食べさせた、というようなことを書いていらした。
勝手に親近感を覚えるとともに、大好きな宮下さんと同じ、豆を煮るということを普段から出来るようになった私を少し誇らしげに思ってしまう。

このシブいおかずを喜んで食べてくれる子どもたち。
将来ふとした瞬間に、黒くツヤツヤした豆を一粒ずつ、美味しいねえと言いながら一緒に摘んだことを思い出してくれたら母としてはとても嬉しい限りである。

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