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正直不動産 9巻 【ネタバレありマンガ感想文】 ヒーローと凡人の天職

★★★★☆
Amazonでレビューしたものです

VS “悪魔営業”、“大手絶対営業”。
悪魔的な嘘をついて心の隙間に入り込み、いつの間にか主導権を握るミネルヴァ不動産・神木涼真。
「客は、探したり集めたりするもんじゃない。大手の大看板に魅せられて向こうからやってくるものだ」そう豪語する塔急不動産・伊集院颯。
“正直営業”で生き抜くしかない永瀬にとって、“千三つ”の世界を生きるライバルたちは生き馬の目を抜く好敵手揃い。
フラット35、管理費滞納マンション、水害マンション、搾取マンション―――
正直なヒーローを待望する時代に正直営業を強いられてしまった登坂不動産・永瀬財地が暴風を味方に突き進む不動産営業エンターテインメント第9弾。



0.これまでのあらすじ


嘘が蔓延する不動産業界で、嘘を尽きまくって営業トップになっていた永瀬財地。しかし、ある日石碑を壊した祟りで嘘がつけなくなってしまいました。
正直営業に方針を転換した永瀬は、やりがいと喜びを感じるようになっていた。
しかし、そこへライバル・ミネルヴァ不動産との戦いが始まる。永瀬の前のナンバーワン・神木もミネルヴァに入り悪魔的な嘘で猛攻撃を仕掛けてきた。

今回は、フラット35(後編)、管理費等滞納マンション、水害マンション、搾取マンション、通行地役権(前編)
マンションネタ多めですね。

1.正直営業を否定する悪魔・神木


前の巻で、中学時代の友人の若村さんとその夫に頼まれ、マンションを仲介した永瀬。
それを嗅ぎつけた神木が若村夫を懐柔し、フラット35を不正利用して投資用マンションを買わせてしまいました。

苦情を言いにやってきた永瀬に対し神木は、電話を渡して言います。

「さあ、ヒーロー。住宅金融支援機構に不正を見つけたと報告しろ。」

不正を報告すればミネルヴァは処罰されますが、友人夫婦は路頭に迷います。
吹き荒れる正直の風を必死に抑え、なんとか不正を伝えずに電話を切った永瀬。
その姿を見て神木は笑います。

「正直営業が聞いてあきれる。」

ドラマだとディーン・フジオカさんが、高笑いが響き渡り、なかなかに悪魔的でいい感じでした。
でも、原作だとなんとも厳しい終わりになっていますが、ドラマだとちょっと救われるんですよね。この辺の匙加減も面白いところです。

2.凡人の苦悩と努力

管理費を滞納していたマンションを相続した客から早く売るように催促され、仕事や自分の人生を悩んでいた月下。なんとか販売できたと思いきや、売主が支払いを約束していた滞納管理費を払わず逃げてしまいます。

払わないで済むって意味がわからないですが、法律上はそうらしいです。マンションの相続なら負債も相続でしょうに。

月下は、買主に押し付けられた120万を自分が払って会社も辞職しようとします。それは、やりすぎじゃあないかなあ、月下。
どうもこの子は極端で、自分の考えばかりでいっぱいになってしまうようで。。お父さんの評価は上がったけど、もっと社会常識を身につけた方がいいのではないでしょうか。

結局永瀬はそんな月下を助けてくれます。

「はあ、天職?くだらねえこと言ってんじゃねえよ。
今やってる仕事を天職ですって胸を張って言えるように、毎日頑張ってんだろうが。」

いいこと言うじゃん、永瀬先輩。
でも、お弁当は自分でつくろうね。

そして、最後の通行地役権は、菅沼の話です。いたんだこの人。
食べることの好きなおデブさんの彼。残念ながらこれといって取り柄がありません。
ですが、みんながみんな永瀬のように今の仕事を天職といい、ヒーローになれるわけではありません。
向いている仕事がわからなかったりそもそもなかったりする中、なんとか仕事をこなして生活するように頑張っている人がほとんどでしょう。

そんな彼の前に、またも立ちはだかる西岡。美味しいお菓子で頑張って欲しいものです。

3.時事ネタ満載


「死亡事故を起こしても、上級国民なら逮捕すらされない。つくづく世の中は平等じゃない。正直者が馬鹿を見る時代ですよ。」

この発言には全面賛成ですよ、神木さん。

この漫画の面白いところは、時事ネタ満載すぎて、この漫画はフィクションです、と言い切るのは無理があるだろう、というところです。塔急不動産とか、、

水害マンションは、2019年の台風でタワマンが水没した話が下になっています。

我々他人にとっては、「ああそんな水害マンションあったわね」ですみますが、そこに住んでいる人たちはこれからも住んでいかないといけないんですよね。。

でも、この後に、不動産取引の時にハザードマップの説明が義務になりました。こういう色々な問題があるたびに、ちまちま法律が変わっていくのでしょう。

この巻は2020年。コロナの話も混ざってくるようです。
不動産はあまり関係なさそうな印象ですが、そうでもなかったようですね。


著者:大谷アキラ (著), 夏原武 (著), 水野光博 (著)
ASIN ‏ : ‎ B08FRDWTL5
出版社 ‏ : ‎ 小学館 (2020/8/28)
発売日 ‏ : ‎ 2020/8/28
言語 ‏ : ‎ 日本語
ファイルサイズ ‏ : ‎ 57032 KB
本の長さ ‏ : ‎ 211ページ

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