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お金に抗う

大谷選手の会見を見た。


「正直ショックという言葉が正しいとは思わないですし、それ以上の言葉には表せない感覚で、この1週間過ごしてきたので、今はそれを言葉にするのは難しい」


こんな悲しい言葉はあるのか。


俺はこんな悲しい言葉を見たことがない。あんな悲しそうな大谷選手を初めて見た。

俺は単純な言葉で表せば伝わることを、成り上がりの若社長みたいにネックレスジャラジャラ、ゴツい指輪ピカピカのウスターソースで味付けされた料理に、さらにマヨネーズをかけたような、くどい文章ばかりを書いてるから、大谷選手のシンプルで悲しい言葉に衝撃を受けた。

俺なら、

「この1週間は、僕は悲しみと絶望の深い霧の中にいました。どこからからか聞こえてくる激しく泣きじゃくる助けを求める男性の声……僕はその声の方向にデューク更家のデュークウォークで歩いて向かいました。その男性の声は藤原竜也のどうしてだよぉぉ〜に負けず劣らずの悲しい慟哭でした。その男性の顔を見ると、それは僕だったんです。僕の悲しい思いは深い絶望の霧となって、僕の心を覆っていたのです…」

俺なら、自分の悲しみをこんな表現で表してしまいそうだ。


大谷選手、俺があなたを好きなのは、もう二度と出会えない選手だと思ってるからだ。


球が速い、ホームランを打ちまくる。


こんな選手は、この先いくらでも出てくるだろう。


もしかした、近いうちに大谷選手のような二刀流の選手も出てくると思う。


しかし、お金にあまり興味がなく、今の拝金主義に染まらず、野球一筋でストイックに世界一を目指せる選手が、この先出てくるとは思えない。


それほど、お金の魅力に抗うのは困難だからだ。


人間が作り出した、お金という価値基準に多くの人は魅了され、時には人を騙し、時には人を裏切り、そして時には人まで殺す。


大谷選手はそんなお金の魅力に抗ってる唯一の選手だと思ったから、俺は大好きだったのだ。


しかし、そのお金に無関心なところが、今回の詐欺や窃盗に繋がるなんて、俺は本当にただただ悲しい。


あんな悲しそうな顔を大谷翔平にさせるなよ。


100年後も、その先も日本人が誇らしげに語る男なんだよ。


お前なんかと大谷選手を比べるなと言われるかも知れないが、俺にも悲しい出来事はいっぱいだ。

高校では俺が3年間片思いしてた女の子が中心となって、俺の家まで男友達を使って、俺を脅す電話をかけてきて、陰でみんなで笑って馬鹿にされてたし、就職してから初めて好きになった女性は、俺がその女性との恋を相談してた男の先輩と俺に隠れて付き合っていた。

間抜けなピエロの俺は、俺の好きな女性と隠れて付き合ってた男の先輩に、どんな誕生日プレゼントを渡したらいいかなぁとアホ面晒してウキウキで相談してたんだ。


その男の先輩は俺の相談を聞いた後で、俺の好きな女性とホテルでイチャコラミーティングしてたのにだ。

こんな悲しい片思いあるのかよ…


これが余裕のある大人の恋なのか?


その後の恋だって、女性を助けようと10年以上、俺の全てを使って助けようとしたんだ。


しかし、最後の別れの時の俺は彼女に渡すお金を彼女の目の前で数えさせられた。ちゃんと約束のお金があるかを証明するためだ。


そのお金は両親が農作業して必死に貯めたお金だった。


借金漬けにされた俺を救うために両親が出してくれたお金だ。


そのお金がちゃんとあるかどうかを、女性は自分の目の前で俺に数えさせた。まるで、俺は犯罪者みたいじゃないか。女性を助けようとして渡せなくなったお金を借金扱いにされただけだった。

でも、俺は10年以上一緒にいたから、女性とはお金だけではない繋がりがあると思ってた。

お金だけじゃなく、俺という人間を必要としてくれる心かあると思ってた。

でも、

彼女は俺からお金を受け取って、アッサリと俺から離れて行った。

あれほど、毎日来てた俺への用事のLINEは、その後に一切来なくなった。


俺との10年は最後の最後でお金だけの繋がりの10年になってしまった。


お金が惜しいわけじゃなく、お金だけの繋がりになってしまったのが悲しいのだ。


お金は人の心をゴミクズのように扱ってまで、集めなきゃならないものなのか?


でも、俺は人間が勝手に作り出した、お金の価値観に負けるものか。


お金と人の心を比べたら、真っ先に人の心を選べる人間でありたい。


ずっとお金の魅力に抗い続ける。

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