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すがりつく勇気

俺は力がないから、今は誰も守れない。


今の日本ならお金がたくさんあれば、人を守れる範囲がかなり広がるだろう。

俺は人を守る力もないのに、安易に人を守ろうとして、自分自身が潰れてしまった。

さらに恥ずかしい事に死にかけの俺に両親が気付いてくれて、両親にまで迷惑をかけて、俺自身が助けられる結末となってしまった。

映画やアニメのヒーローみたいに、人を助けてハッピーエンドにしたかったのに、結局誰も守れなかった。


俺の安っぽい正義感で人の時間とお金を奪ってしまった。


力の無い人間は無駄に動くと周りの人を不幸にしてしまう。


そんな人間なのに、自分の心だけは今でも必死に守ろうとしてる。


毎日のように投稿される、俺の子供じみた文章を見てくれて、すぐにスキを押してくれる人がいる。

俺もその人の新しい投稿がされた時に自分からスキを押したい気持ちがいつも湧き上がるが、俺から近付いて行って迷惑がられたらどうしよう?などという、自分の心を守るだけの理由で、自分からは人に好意も見せれない。

相手からスキを押されて、自分が受け入れられたと分かってから、恐る恐る近づくだけだ。


捨てられた子犬でさえ、人間に蹴られる可能性もあるのに、生きるために必死に知らない人間にすり寄って行く。

ほとんどの人間は子犬がすり寄って来たら可愛いと思って優しくするだろう。しかし、犬嫌いの人間も絶対にいるから酷い仕打ちをする人も一定数はいるはずだ。

それでも子犬は、


「ご飯ちょうだい!助けて!」


そう鳴いて、自分が受け入れられるか分からないのに必死に人間の足元にすがりつく。

本当は人に好かれるのは簡単なのかも知れない。自分から好意を全開にして、無邪気に相手に近寄って行くだけだ。

人間関係を円滑にするには、子犬や小さな赤ちゃんの表情や行動に全て詰まってる気がする。


じゃあ、それを真似したらいいやん?


しかし、俺には出来ない。恥ずかしさやプライド、人に受け入れられずに嫌な態度を取られたら?そう考えると第一歩さえ踏み出せない。


子犬が出来ることが、俺には出来ない。


情けないね。


今さら、ちょっとぐらい傷ついたっていいだろ、もっと嫌な事はたくさんあったはずだ。それなのに、今だに傷付くのが怖い。


今まで書いたことはなかったが、悪夢でうなされて目を覚ます時がある。

ある女性から離れて、もう4年近くになるのに、その人から受けたモラハラの夢を見て今だに目が覚める日がある。

最近見た夢は、ある道端の駐車場で彼女の帰りを待ってる夢だった。


何時間待ったか分からない。


しかし、今日の駐車場には車が多くて駐車するスペースが限られてる。

彼女の車が来て、狭いスペースに停めようとしてる。

しかし、面倒臭くなったのか彼女は駐車せずに立ち去った。

俺が何時間も待ってるのを知ってるのにだ。

しかし、何も連絡はない。

一言でも連絡があれば俺は何も思わないが、一言すら連絡はない。

俺が待ってた理由は、彼女の生活費のお金を渡すためだった。


ここで夢だと気付いて「良かった、夢だった…」そう思い目が覚めた。

こんな俺への扱いは初期の初期の頃だ。こんな扱いなど「おはよう」ぐらいの当たり前の日々だった。

こんな扱いを受けるぐらいなら、さっさと切り捨てて彼女と別れれば良かったが、


「俺が絶対に助ける!」


と言って始まった付き合いだったから、俺は自分から離れるという選択肢がなかった。

これが力のない人間が安易に人を助けようとして、やらかした結果だ。

この女性といる時は、小さな心の痛みを消すのにさらに激しい痛みで上書きするように、言葉と態度の暴力のミルフィーユを何年も受け続けた。

この女性が怒ってない普通の日が、


「なんで今日はこんなに神様のように優しいんだろう…」


そう思ってた。何も優しくない。ただ、LINEの返事が普通に返って来るだけで優しく感じた。さらに絵文字が1つでも付いてたら、


「本当にありがとう…今日は良い日になりそうだ!」


絵文字1つあるだけで、泣きそうなほどに喜んでた日々だった。

しかし、そんな願いはすぐにぶち壊され、絵文字があった日でも、夜中の3時まで罵倒される日だったりもした。

だから、LINEに移動する前はEメールでやり取りしてたんだが、せめてメールの中だけでも怒られたくないと、優しく感じた文章だけ残して、他は削除してた。

その優しい言葉だけが残った受信ボックスのメールを見て、怒られない喜びを感じてた時もあった。


冷たい言葉や罵倒されてる文章は全て消して、メールの中だけは優しい言葉で溢れるように…


しかし、今なら笑ってしまうが削除の末に残ってるメールが、

「おはよう」

「もうすぐ着く」

「いつでもいいよ」

こんな言葉ばかりだった。

たまに「ありがとう」とかあったけど、ほとんど普通の会話ばかりだった。


一体俺はどれだけ怒られて罵倒されてたのか?


こんな理由から、俺は今だにあの時の悪夢を見るのだ。


もう一生、この心の傷が治らないかも知れない。


俺も子犬のように誰かにすがって助けを求めることが出来てたら…


周りに信頼出来る親しい人を作れてたら…


人を助けようとする前に、自分が人を頼れる人間になっておくべきだった。


全て自分で解決しようとして、取り返しのつかないところまで行ってしまった出会いだった。


いろいろな勇気はあるが、誰かを頼る勇気も必要だ。


弱い自分を見せるのは決して恥ずかしいことではない、今ならそう思う。

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