見出し画像

バースデーランウェイに向けて 中間インタビュー【表現者:まこと】

バースデーランウェイは、2022年12月にロームシアター京都で開催予定のランウェイショーです。普通のファッションショーとは違い、ランウェイを歩く人の人生や夢への想いを衣装やヘアメイクで表現します。

バースデーランウェイに参加して人生を表現するみなさんのことを「表現者」と呼んでいて、バースデーランウェイに参加が決まってからランウェイショー当日までの約1年間、表現者さんたちが自分と向き合えるように、人生と向き合うワークショップやヒアリングの機会を設けています。

2022年度のバースデーランウェイに参加する表現者さんは全員で7名で、
2月に以下の記事で発表しました!✨

表現者としてランウェイを歩くことが決まってから約半年。ランウェイ本番まで残り4ヶ月となった今、表現者さんたちはどんな気持ちを感じているのでしょうか。今回は7名の表現者さんたちに「今感じているリアルな気持ち」を伺いました🎤

まず紹介するのはまことさんです。

まことさん

「全ての子供に夢を持たせられる大人になること」を夢に掲げているまことさんは、現在大学で食について学ばれています。幼いころからの経験を発信したいという想いでバースデーランウェイの表現者に応募されたまことさんは、半年間バースデーランウェイに参加して、今どんなことを感じているのでしょうか。

=====

ーバースデーランウェイに表現者としての参加が決まってから半年ほど経ちましたが、改めて今どんな想いを感じていますか?

バースデーランウェイに参加した当初は、つらい想いをしている子供に対しての夢を掲げていたんですけど、バースデーランウェイのミーティングやワークショップに参加するうちに、あの時辛かった自分が欲しかった答えはなんだろうっていう目的に変わってきました。

なので、いつも何かを考えていて「あのときどうすればよかったのかな」とか、「これからどうするべきなのかな」と考える時間が増えました。

ー自分と向き合うことがまことさんのなかで日常的になっているんですね。まことさんのなかでプロジェクトに対しての印象で変わったことや、驚いたことはありましたか?

バースデーランウェイでは自分の意見を常に求められているなって感じています。

毎月のマネージャーさんとのミーティングもそうなんですけど、私が「こう思ってるんです」っていう想いを全然言葉にできなくても、マネージャーさんが「それってまことさんのなかではこういうことですか?それともこういうことですか?」って質問をしてくれるんですよね。

そこで、「あ、そっちです!」ってあらためて自分の気持ちに気付けるというか。そういうやりとりの積み重ねで、どんどん自分の方向性を知れている気がしています。

バースデーランウェイに携わる人たちって、聞く力があって、道を示してくれるので、カウンセリングっていうよりは、自分探しを一緒にしている実感があって、そこがすごく新鮮です。

ーすごく嬉しいですね。ありがとうございます。まことさんはバースデーランウェイに参加するにあたり「全ての子供に夢を持たせられる大人になること」という夢を掲げていたと思うんですけど、夢と向き合うなかで何か変化はありましたか?

「つらい子供たちの力になりたい」っていう夢を叶えることの本質にあるのは、自分があのときどうすればよかったかっていう答えを見つけることだと気づきました。

私が夢として掲げていたものって結局自分を救うことで、元々救いたかったのは昔の自分だよっていうのが明確になって、なんだかすっきりしたんです。

自分を助けるためにどうすればいいかはまだわかんないんですけど、自分がやることは、「過去の自分を助けるためにどうすればよかったか」っていう方向性がみえてきて、きっとこの方向性は当たってるんだろうなっていう感覚があります。

ーなるほど。自分の中で腑に落ちた感覚があるんですね。逆にここは変わっていないなと思う部分はありますか?

自分を知りたいっていうのはずっと最初からあって。最終面談のときに「自分らしい服装で来てください」っていう連絡がきたんですけど、「自分らしいってなんだろう」ってわかんなくて…。

最終面談の日は白のニットにミニスカを履いたんですけど、じつはミニスカを履くのが5年ぶりぐらいだったんですよ。

ーそうだったんですね…!

最終面談でのまことさん

15歳ぐらいのときに親からミニスカを履くことを禁止されていて、でもずっと履きたくて。これが自分らしいかどうかはわかんないけど、実際に着てみてすごく満足したんですよね。

こういう自分らしさとか、自分が好きなこととかを1個1個見つけていきたいっていう想いは、面談を受ける段階からもずっと思っていました。

ー自分の好きなものは参加するなかで結構見つかりましたか?

そうですね。ミニスカとか派手な服を着たら駄目とか、昔から「ダメ」って言われていたことが多かったので、ダメって言われたことをやってみたいっていう気持ちもあります。でも、自分が「着たい」って思ってる服でも似合わないものはあるじゃないですか。

最近は試着室で派手な服とかを着てみて、たとえ似合わなかったとしても失敗できることが楽しいというか、「こういう服も着れるぞ」みたいな気分になれるんですよね。

あと、バースデーランウェイに関わっている人は自分の好きな服を着てるんだろうなって方が多いので、「自分もやってみたいな」って思いますし「やっていいんじゃないか」って思えるようになりましたね。

ーそれは素敵なことですね。私のなかでもまことさんの服の印象は結構変わっているように感じるんですけど、前に比べて服に対する好みは変わりましたか?

前は親を怒らせない服を考えていて、母親が「白Tシャツにジーンズ、これが全てだ」みたいな考えをしていたので、自分の好きなものを主張しても、どうせ何か言われるから本当に適当な服ばっかりだったんです。

服屋さんに行っても、派手な服を一旦試着室に持っていってみるんですけど、これが本当に自分が好きでやってるのかそれとも親に反抗してる快感なのかが分からなくて…。「結局自分のこと、本当にわかってないんだな」って嫌な気持ちになって返したりとかしてたんですよね。

ー当時はそこが分からなくなっていたんですね。

はい。でも、その時に比べると今は少しずつ「自分の気持ち」が分かるようになったかなと思います。

ーありがとうございます。少し質問が変わるんですけど、バースデーランウェイに参加して自分と向き合う機会が増えたことで、まことさんのなかで変化はありましたか?

ワークショップでの1枚

頑張って人と話すようになりましたね。

新しいにコミュニティに入って、周りの人の意見から「そういう考えもあるんだ」ってはっとさせられることも多いですし、あとはバイトで先輩とかがすごく喋りかけてくれるんですけど、喋りやすい環境はその場の人が作るものだと思うようになりました。

私にもバイト先で後輩ができたんで、気軽に質問をしてもらえるように、仕事外のお喋りとかを頑張っています。今、「人との関わりを持っていこう」って思えているのは、中学高校時代の自分から考えると、本当に信じられないですね(笑)

ー昔はそういうことを避けようと思っていたんですか?

そうですね。完全に避けてました。高校時代、休み時間も「喋りかけるな」みたいな空気を出してたんで(笑)

ーそういうときもありますよね(笑)
自分と向き合うことで、辛さや喜びは感じたりしますか?

やっぱ過去のことを思い出していると、つらい感情も一緒に思い起こしているからつらいことではあるんですけど、でも、「やらなきゃな」って思うことはあって、たぶん母がそれをしなかったから、今こういう状況になっているんだろうなとも思うんです。

思い起こすことで、フラッシュバックみたいになって「やっぱりつらいな」って思うけど、絶対やらなきゃいけないことだし、やらないと幸せに近づけないっていうのが分かっているから、成果に繋がるつらさだなっていうのを自分のなかで納得しながら感じています。

今辛さを吐き出していくのが、後々きっと繋がるんだろうなっていう確信に近いものもあります。

ーそうなんですね。自分にとってそれが必要っていうことがわかってるんですね。

つらいからマイナスかもしれないけど、今感じているつらさはプラスに繋がるつらさかなって思っていて、昔のどう頑張ってもプラスにならないつらさよりは全然マシですね。

ーありがとうございます。では最後に、毎月noteでは自分と向き合うことをテーマにエッセイを執筆していただいていると思うんですが、まことさんからこの記事を読んでくださる方に向けて、伝えたいことや、バースデーランウェイを歩く意気込みなどがあればお願いします。

ずっと思っていたのは、今の社会って個性をすごい求めらるじゃないですか。でも、人と違うっていうのはまず普通の土台に立たなきゃいけないと思っていて、今の自分は比較的普通の土台には立てているかなって思うんですけど、ここから人と違う個性とか自分らしさを見つけようと思ったときに、「何もない」っていうことに陥りやすい人間だなって思うんです。

だからこそ、結構厳しい要求をされても、「毒親の娘」って肩書きに多分すがりついてた自分が多分いて。

この記事を読んでくださっている人が私みたいな当事者なのかそうじゃないのかは分からないんですけど、そういう経験をされた方がこの記事を読んでくれているのであれば、「自分は何も持っていない」みたいなところにコンプレックスを抱くことがすごいあるだろうし、一旦現場のつらさから離れたとしても、その後もつらさが待ち受けていることもあるだろうし。

あまりうまくは言えないけど、今すぐ答えを出す必要はないし、私も今、もがいてるところなんで、一緒にもがいて頑張ろうって言葉を伝えたいですね。

あとは、当事者じゃない方に言葉を伝えるなら、正直嫌われて当然というか、親を嫌ってる人間はやっぱり悪い印象を持たれるのも仕方がないなって納得は自分もしてるんですけど、やっぱり理由があってこういう感情や意志を持ってる人がいることを頭の片隅のどこかに置いておいてもらえたらうれしいなって思います。

これはバースデーランウェイの当日にも伝えたいことではあるんですけど、私はずっと生きるか死ぬかみたいなところにいたので、そういう場にいるとやっぱり綺麗な感情だけではやっていけないくて、必死に生きてる人を認めてほしいなってすごく思います。

ーありがとうございます。まことさんの想いがすごく伝わってきました。
当日まで残り4ヶ月。頑張っていきましょう!

(取材:優花)(編集・文/響あづ妙
◆◆

まことさんの活動はこちらからチェックできます👇







読んでいただきありがとうございます!フォローが励みになります!