「夜想曲」
通過する地下鉄は、轟音が残酷そうに洞穴埋める、
右から左、左から右、目だけで追って、
やがて壊れた人形みたいに地上へ這い出す決意をもって僕はゆく、
眠るまでの間と決めて、
届くだろうか伝えられるか、血が滲むほどに唇噛んで、
命乞いして叫んで裂けた喉から鮮血、
倒れた者を見下ろす無名と無名が無名と無名と交錯する、
それらの隣を轟音吐いて貨物列車が夜を弾いて2秒先を貫いてゆく、
そのとき遅れた鳥が割れて生温い粉になってた、
免罪符なら空腹そうな山羊に食わせてやったから、もうこの世界にないんだ、
ありとあらゆる教義も模範も、なにもかもを食べ尽くしてくれるんだろう、
あるいは不味くて放り出してしまったら、この世界はいまのまんまだ、
地下鉄だったら荷物と貧民載せて都へ走って行ったはず、
何処に向かって走ったのかは誰も知らない、
然しは、美しい場所ではないと誰もが知ってる、
夜想曲に連れられて、列車と荷物たちは夜をゆく、
それはまるでドラッグレース、夜へ夜への直線だった、
僕はそれに運ばれてゆく自分の背中を想い起
こす、
あまりにあまりに孤独に過ぎる風景だった、
photograph and words by billy.
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