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「冒険譚」

沈没船が浮上したって、ネズミたちは噂で持ちきり、
チーズはないけどそこには黄金眠ってるって目を見開き興奮気味に、
聞き耳たてているのはアヒル、誰より早く見に行こうって、
真夜中、僕は君を誘い出す、高鳴る胸を鎮める気もなく、

伸ばした髭を編み込んだ、片目の男が乗ってた船は、
気まぐれ嵐に飲まれて消えた、海賊たちは夜を嫌ってるって話さ、
忍び足で雪の窓辺の灯りのなかの、君は退屈、明日の朝を待っている、
真夜中、僕は君を誘い出す、初めて繋いだ冷たい手と手、

身震い、冷や汗、止めた息、
悪魔みたいな恐怖話はきっと真夜中、闇のなかで眠ってるんだ、
迷いながらも一歩ずつ、進む僕らに昔話は関係ないさと言い聞かせ、
心に巣食う残虐者のことなんて、振り払って真夜中へ、

東へ西へ、僕らは走る、
明日ではなく今日をゆく、
真夜中から朝日へと、
少しずつでも強く優しく、
見上げる空がどんな色をしてたとしても、
繋いだ手を離さないよう、
瞬く黄金、それがあるところまで、
走って行くと決めたんだ、
生きる僕らの冒険譚、
生きる僕らは冒険譚、



photograph and words by billy.

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