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全国カエル会議

 ある夏の日、日本のある所で、
全国に住むカエルたちの代表9匹が
オンライン会議を開きました。

第一回 全国かえる会議

 
第一回の監事は、
画面中央の二ホンアマガエルさんです。


二ホンアマガエルさん

ア「えー、本日はお忙しいところ、
  第一回 全国かえる会議に
  お集まりいただき、
  ありがとうございます。
  議長をつとめさせていただく、
  田んぼのアイドル、
  二ホンアマガエルでございます。」

  (拍手)

ア「まずはみなさん、
  簡単に自己紹介から。
  じゃ、先ず画面右上から、
  ぐるりと順番にどうぞ!」


タゴガエルさん

タ「水が湧き出す山の泉に住む、  
  タゴガエルです。  
  よろしくでございます。」 

 

カジカガエルさん

カ「山の中のきれいな川に住む、
  カジカガエルでございます。
  歌うことが大好きでございます。」


ツチガエルさん

土「昔ながらの小川や田んぼ、
  池に住むツチガエルと申しますだ。
  よろしくですだ。」


ヌマガエルさん

沼「平地や町の田んぼにおります、
  ヌマガエルでーす。
  身体は小さいが数は多いでーす。」


シュレーゲルアオガエルさん

シ「自然が豊かな田んぼや、
  森の中の沼におります、
  シュレーゲルアオガエルでござる。
  外国人みたいな名前ですが、
  日本にしかいない、
  れっきとした日本のカエルでござる。」


ナゴヤダルマガエルさん

名「昔ながらの里山や、
  古い田んぼに住んどります、
  ナゴヤダルマガエルですわ。
  この会議を待っとりました!
  呼んでいただゃーて、
  ありがとう!」


ニホンアカガエルさん

赤「私はニホンアカガエルと申します。
  普段は森の中で暮らしています。」


トノサマガエルさん

殿「拙者はトノサマガエルであります。
  基本的には田んぼにおります。」


ア「みなさん、ありがとうございます。
  今日お集まりいただいたのは、
  ナゴヤダルマガエルさんからの
  お願いがあったからです。
  それではナゴヤダルマガエルさん、
  ご説明ください。」


名「ありがとうございます。  
  私らぁナゴヤダルマガエルは、  
  関東地方をのぞく、  
  東海・近畿・中国・四国の一部  
  だけに住んどるんですが、  
  最近、仲間の数がすごい勢いで  
  どんどん減っとるんですわ!」


ア「日本のレッドリストでは、
  絶滅危惧種になっているとか。
  それも、近い将来、
  絶滅する危険性が非常に高い、
  ⅠB類だそうですね!」


名「それですわ!
  あの、ライチョウやイヌワシと
  同じレベルの危険度に
  なってまったんですわ!


ア「それはいったいなぜでしょう?」


名「まず、昔ながらの田んぼが、
  開発でどんどん減ってまったこと、
  特に名前にもなっとる名古屋では
  どんどん田んぼが埋め立てられ、
  ワシらの住む所が人間の住宅地に
  なってまっとるんですわ。」
  
沼「そーだそーだ!埋め立て反対!」

ア「ヌマガエルさん、静粛に。 
  あ、カジカガエルさん、
  自分に関係ないからって、
  勝手に泳がないでください!
  ナゴヤダルマガエルさん、
  続けてください。」


名「もう一つの理由は、
  ワシらの住んどるところが、
  トノサマガエルさんと同じ場所、
  ってことですわ!。」

殿「なに?!拙者が貴殿らの仲間に
  何か迷惑をかけておると申すか?」

ア「まあまあトノサマガエルさん、
  ケンカ腰にならず、
  とにかくお話を聞きましょう。」

名「ワシらとトノサマガエルさんは、
  とてもよく似ておるんですが、
  ワシらの方が手足が短く、
  その分、跳ぶ力や動くスピードが
  遅いんですわ。
  しかもトノサマガエルさんより、
  身体がでっぷりしとるもんで、
  エサをとる競争に負けるし、
  天敵のヘビに襲われた時も、
  逃げるのが遅れるし・・・。
  去年の秋もワシらの仲間の一人が、
  目の前でヤマカガシに襲われて、
  かわいそうでかわいそうで・・・
  ・・・(泣き声になる)」

殿「それは貴殿らの身体が
  そういう体型だからいかんのじゃ。
  もっと鍛えなさい!」

名「何いっとりゃーす!
  トノサマだからといって、
  上からモノを言わんといてほしいわ!
  ワシらは先祖代々この体型だでね。
  体型のことで差別せんといて!」

ア「差別はいけません。
  カエル同士仲良く話し合いましょう。
  ナゴヤダルマガエルさんは先祖代々、
  大昔からこの体型なんですよね。」

名「もう、大~昔からこの体型だがね、
  これがワシらナゴヤダルマガエルの
  一番の特徴だもんね。」

ア「ふむ・・・。
  ということは大昔から同じ田んぼで
  トノサマガエルさんといっしょに、
  うまくやってきた、
  ということでもありますね。」

名「ううう、うん、
  まあ、そういうことだわな。」

殿「やはり拙者のせいではない、
  ということじゃ!」

名「だったら、
  なんであんたらだけが生き残って
  ワシらは田んぼから
  姿を消してしまったんじゃ? え?」

殿「そ~んなことは、拙者は知らん。」

名「なにおー!
  トノサマという名前だからって
  えばりくさって!バカ殿のくせに。」

殿「バカ殿とはなんじゃ!バカ殿とは!」

トノサマガエルさん

ア「まあまあ、気をしずめて。
  つまり~、
  昔はトノサマガエルさんとも
  いっしょにうまくやってきた。
  でも最近は、
  ナゴヤダルマガエルさんが、
  急に減り始めた、という事ですね。」

名「その通りだがね。」



シュレーゲルアオガエルさん

シ「あのー、ちょっといいでござるか?」

ア「あ、シュレーゲルアオガエルさん、
  どうぞ!」

シ「あのー、私が聞いたところによると
  トノサマガエルさんも最近減って、
  準絶滅危惧になったそうでござるよ。」

殿「そうなのじゃ。拙者たちも最近、
  少なくなってしまったのじゃよ。」

名「トノサマさん、あんたもかね・・。
  そりゃ、バカ殿とか、
  悪いこと言ってまったねえ。」

殿「いやいや、苦しゅうない。
  お互い、大変な世の中に
  なったものじゃのう。」

ア「なるほど。
  ではやはり田んぼが埋め立てられて
  減ったのが原因かもしれませんね。」

シ「でも、同じ田んぼに住む
  ヌマガエルさんは、
  ほとんど減ってないでござる。」


ヌマガエルさん

沼「ボクらは熱帯系のカエルだからね~
  真夏に田んぼの水が熱くなりすぎて
  お湯になっても平気なのさ~。」

ア「となると、地球温暖化、気候変動が
  影響しているかもしれませんね。」


土「横から失礼しますだ。
  私どもツチガエルも、
  年々減少しておりますだ。」

ツチガエルさん

土「昔はイボのある茶色いカエルは、  
  ツチガエルかヌマガエルさんか、  
  どちらかでしたが、  
  今はほとんどヌマガエルさんですだ。  
  どうも、昔と田んぼが、  
  変わってきたように思うのですだ。」


ア「ふーむ、この問題は、
  ナゴヤダルマガエルさんだけでなく、
  田んぼにかかわるカエルみんなが
  考えなければならない、
  重要な問題のようですね。
  特に気候変動と日本の田んぼの変化、
  これが問題のようですね。」

名「いや、ひとごとじゃにゃーで。
  カエルみんなで考えんといかん、
  だいじな問題だがね。」

ア「おっしゃる通りです。
  この問題の解決策は、
  次回までの宿題といたしましょう。
  ここで私からの提案です。
  今回の会議のまとめとして、
  こういう提言はいかがでしょう?
 『すべてのカエルに明るい未来を!』

全員「おー!(大拍手)」

ア「ご賛同いただけましたら、
  みなさんでご唱和を!
  せーの!」

全員「すべてのカエルに明るい未来を!
(全員、大拍手)


ア「みなさん、ありがとうございました。
  それではこれにて、
  第一回全国かえる会議を終わります。」



オンライン画面が、カエルたちから、
美しい里山の風景に変わりました。

おしまい。

作:birdflm 増田達彦
  

  


  


  


 


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