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【論文読了】「お客様」から社員を守る|カスタマーハラスメントへの対応

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2023年6月号の特集は「お客様」から社員を守るでした。

お客様は神様とかお客様は常に正しいという考えは日本だけでなくアメリカでも一般的となっているそうです。

そして主にサービス業の顧客と接する立場の従業員は、顧客からの無礼な振る舞いに大きなストレスを感じて悪影響を受けている人が少なくないそうです。

私自身はサービス提供者も顧客と同等の立場であると考えていますし、店員に対して横暴な態度を取ることはありえないという考えです。しかしそんな人ばかりではなく、一般的には顧客の方がお金を払っているんだから立場は上とされています。

今月号では様々な対策が提示されているので、順に見ていってみましょう。

顧客の無礼な振る舞いから最前線で働く従業員を守る方法

コロナ禍でフロントラインワーカー(日本ではエッセンシャルワーカーと呼ばれましたね)は日々の生活を支える勇者と称えられる一方、理不尽な顧客から不安や鬱憤をぶちまけられてストレス漬けになっていました。

本稿にはアンケート調査の結果が載っているのですが、フロントラインワーカーだけでなく、この人たちを目にする機会がある人も含めて、およそ7割くらいの人が、顧客が従業員に対して無礼な態度を取ったと感じているそうです。

昔からクレーマーはいて、クレーマー対策みたいなものも取られています。それがコロナ禍で多くの人にストレスが溜まったせいで、立場の弱いフロントラインワーカーに当たる人が出てきたのでしょう。

しかし無礼な振る舞いは大抵封じることが可能だそうです。

無礼な振る舞いの原因は主に下記のようです。

  • ストレス(これが最大の要因)

  • ネガティブな感情(これもストレスが原因でしょうけど)

  • 人間関係の希薄化(これはストレスにつながりますね)

  • テクノロジー

  • 自己認識の欠如

対策としては、無礼な振る舞いに対応できる素質のある人を探して、サービスを提供するに値する顧客を選べと書かれています。

  • 無礼な振る舞いに対応できる素質のある人を採用する

  • 顧客を選ぶ

  • 従業員を教育する(EQ的なトレーニング)

  • 業績評価でも礼儀正しさを評価する

結局向き不向きなんですね。私だったら無礼なんて絶対許せないので、フロントラインワーカーはできないとなります。即不合格ですね。

こうしてみると、トレーニングと顧客の選定だったら導入のハードルは低いのかなと思います。お客様は神様とか常に正しいじゃなくて、仕事をする以上は顧客を選んでいきたいものです。問題のある顧客のせいで弊害を増やすわけにはいきませんし。

感情労働の負担をどうすれば軽減できるのか

世界的にお客様は常に正しいという考えがあるそうです。日本だけではないのです。それゆえ顧客と従業員の間には上司と部下のような権力の格差ができます。

サービス業の中でも、小売や飲食など顧客と一度限りの付き合いになることが多い仕事では、感情労働の負担が高いそうです。一方で美容師や講師など顧客と継続的に付き合う仕事では、感情労働の負担が小さいそうです。

これはなるほどなぁと思います。付き合いが長いと従業員も顧客も関係を築く必要が出てきますし、相性が悪くなければ付き合いが長くなるにしたがって関係ができていきます。

またこのインタビューが指摘している中で特に気になったのが、サービス業では顧客が理不尽でも笑顔の接客を無理してでも維持する必要があることです。

これが従業員をものすごく消耗させるそうです。確かに理不尽があってストレスが溜まっても無理して我慢するのは辛いですね。

効果がある方法は3つあるようです。

  • 思いやりのある無関心(相手に共感しつつ相手の感情にひきずられない)

  • 深層演技(同情なのかな?)

  • 金銭的な補償

共感や同情など相手の感情を理解しつつ一線を引くことが効果的なのですね。結構難易度が高いと思うのですが、仕方ないのでしょう。そして辛くてもお金がもらえれば多少はマシなのですね。

結局はまともに相手にして怒るよりも、一線を引いて客観的に対応できる方がいいのですね。「はぁ…ご苦労様です」みたいな感じかな。

職場での物言いに傷ついた時の対処法

職場で顧客や同僚から無礼な物言いをされたときの対処法を解説した論文です。

私は顧客から無礼なことを言われたことはありませんが、同僚から無礼や理不尽なことを言動を取られたことは多々あります。まぁ会社人に向いてない人種ですからね。顧客からは受けがいいけど、競争重視の同僚からはかなりにらまれます。

さて、なんと98%もの人が職場で非礼な態度を取られたことがあるそうです。

無礼な態度を取られたときは、感情的になって怒って対抗してしまいがちです。しかしまずは深呼吸して自分の感情反応を調べた方がいいようです。

対策としては、明るい気分になれる方法で気分転換し、行動を起こせる人物(信頼できる上司などですかね)に報告し、記録を残しておくことだそうです。

私は頭に来て記録を削除して泣き寝入りしたことが数えきれないくらいあります。記録はちゃんと残しておくべきですね。他人に対して無礼な態度を取れる人は姑息なことも多いので、まずしらばっくれますし、保身も上手いですから。

相手に対して間接的な表現で自分がどう感じたかを話すのもいいようです。決して「あなたは無礼だ」のような直接的な言い方はNGと本稿でも書かれていますし、そんなことを言えば相手は激高して激しいケンカになるでしょうね。

他にいいなと思ったのは、無礼なことを言われたときに、定番のフレーズを用意しておくという方法です。これは良さそうですね。

顧客も従業員のように管理できる

コロナ禍になって顧客がサービス担当の従業員に対して無礼な行為をするようになったと、この論文も指摘しています。

しかし企業は顧客第一を強調しているケースが多いですし、お客様は常に正しいという風潮もあります。

とはいえこの論文では顧客を解雇してもいいと述べています。

よくよく考えてみると、仕事でも会社によってはどんなに理不尽でも顧客を持ち上げる会社もあれば、割の悪い仕事はちゃんと断る会社もあります。

あの顧客は要求ばかりで儲からないから避けようみたいな話も、会社によってはあります。

最近は「このような迷惑行為を行う場合、退場していただきます」のような注意文言を見かけることもあります。こういうルールは従業員を守ることになります。

従業員に悪影響が及ぶ無礼な言動を顧客がしてくる場合、顧客に退場してもらってもいいのです。そういう顧客は一部であり、従業員がいなくなればサービスを継続できなくなりますから。

顧客に歯向かうことや顧客を失うことは、企業としては怖いかもしれません。しかしほんの一握りの問題顧客のために、従業員を失っては影響が大きいです。人の採用・育成はコストと時間がかかりますし、従業員が減れば稼げる売上も大きく減りますから。

経営者こそ、最前線の従業員と積極的に関わるべきだ

現場を見に行くCEOは極めて少ないが、顧客と接する従業員が顧客満足度、イノベーション、製品の品質、サービスエクセレンスに最大の違いをもたらすと指摘しています。

経営陣が考える戦略次第で、従業員の頑張りが業績につながるかどうかが決まるわけですが、従業員の頑張りなくして会社は成り立たないですからね。

本稿では経営陣は現場の従業員を管理ではなく支援するべきだと主張しています。最近のリーダーシップ論みたいですね。私もメンバーを支援することを重要視したマネジメントを心掛けています。

こういうことをするために、経営陣は現場に行って従業員の声を拾うことも必要でしょう。オフィスに籠って現場の従業員が何をしているかを想像していても仕方ないです。

終わりに

今回は顧客を選ぶという今まで仕事で見たことがある話が出てきました。

学びがあったこととしては、嫌なことがあったときのために楽しいことの思い出や気分転換になることを用意しておくという話ですね。

もちろん私自身は、お店に行ったときに店員に対して高慢な態度を取ることはしません。こういうところこそ礼儀マナーが大事です。フロントラインワーカーのおかげで日常生活を送れていますからね。

仕事でもお客さんに対して高慢な態度を取ることはしません。というか私がやっているようなシステムの仕事では、顧客の担当者は選りすぐりの人が多く、敵わないなぁと思うことはよくあります。

嫌なことは自分がしない、嫌なことへの対処法を身に付ける。これが大事ですね。

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