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なぜ左利きは絶滅しない?

みなさん、フォリーレイモン仮説を聞いたことがありますか?
一言でいうと、なぜ左利きは自然淘汰されないのか?ということです。

どうやら全人口に占める左利きの割合は約10%程とのことですが、古くからあるハサミも、電車の改札のICタッチの位置も、右利きを想定して作られていることはご存知のとおりで、つまり、左利きにとっては不利な社会だといえるかもしれません。

また、ある研究では、左利きのほうが病気になるリスクが高く、健康上も不利だという話もあるそうで、いよいよ、左利きの皆さんが心配になってきます。そんな「不利な」左利きについて、ある時、学者フォリーレイモンは、スポーツで活躍しているエリート選手に左利きが多いことに気が付いたそうです。

そこから生まれたフォリーレイモン仮説とは、右利きが大半を占めるなかで、「慣れ」の効果によって、逆にマイノリティである左利きが有利になることがある、という仮説のようです。
なんとなくイメージできますが、みんな右利きの中、左利きのボクサーの左パンチは効果的でしょうし、みんな右投げ投手の野球において、左投げから投げ込まれるボールは打ちにくいことでしょう。

さらにフォリーレイモン仮説によれば、現代でも暴力的な文化の民族においては、やはり左利きの生存率が高く、なんと全体の30%が左利きということもあるそうです。
つまり、左利きであることは、「競争的な社会」では健康コストを上回り、優位に働いたのではないかという仮説がフォリーレイモン仮説なわけですが、一方で、進化の中立説という話もあります。

こちらは、簡単に言ってしまえば、遺伝子の変化や形態の変化でも、その要素が自然淘汰に影響しない軽微な場合は、遺伝的に淘汰されずに残る、というもの。

そう考えてみると、現代社会においては、左利きだから生き残りやすいというような暴力的な文化の前提はないと思いますし、また子孫反映の生存競争である「恋愛」において、左手だからといって不利なことはあまりないでしょう。そういう意味では、現代社会の左利きを考える上では、フォリーレイモン仮説はあまり適していないのかもしれません。

翻って、現代社会におけるフォリーレイモン仮説として、よりイメージしやすい例はなんでしょうか?
例えば「ものすごく不細工な人は何故絶滅しないのか?」とかでしょうか。

一見すると「恋愛」という子孫繁栄競争から自然淘汰されそうにも思えますが、大半を占める顔の系統から外れていることで、逆にそれが優位に働く、もしくはそんな外見と内面のギャップが優位に働く…みたいな。

少々長くなってしまいましたが、皆さんの周りにもフォリーレイモン仮説、ありますか?深海のへんてこ生物の生存戦略とかはよく話題にあがりますが、実は身近なところで、面白い生存戦略が繰り広げられているかもしれません。

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