現実空間の双子「デジタルツイン」は世界をどう変えるのか
IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などのテクノロジーを使って、現実空間の情報を取得し、仮想空間上にその環境を再現する「デジタルツイン」が注目されている。
デジタル空間で現実空間の状況分析やシミュレーションを行い、予測やサービス向上などに役立てるのが主な用途だ。
製造業をはじめ、現在さまざまな分野で活用が進み、デジタルツインの活用で、不確実性の高い時代のサプライチェーン競争力を高めると言われている
デジタルツイン(Digital Twin)とは直訳すると「デジタルの双子」という意味。現実空間にあるモノやプロセスを文字通り“双子”のようにデジタル空間上に再現して、モニタリングやシミュレーションを可能にする技術である。
デジタルツインとよく比較されるのがメタバースだが、どのような違いがあるのか。
大きく分ければデジタルツインは「シミュレーションのために現実を再現したデジタル空間」、メタバースは「コミュニケーションのためのデジタル空間」と考えられるだろう。
コロナ禍によるサプライチェーンの混乱が世界中に広がり、コストの増加や納期の遅延などに悩まされる企業が増えている。
さらには、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、各企業は二酸化炭素排出量を低減するためのサプライチェーン再設計を求められている。
例えば、調達先や生産・物流拠点、配送ルートなどを組み換えたとき、コストや納期がどう変わるかといったシナリオ検証をデジタルの世界で柔軟に行い、それをリアルなサプライチェーンにフィードバックするといった意思決定が可能になる。
テスラ車にはセンサーが組み込まれ、それぞれの車両の環境や動作をクラウド上へ送信し、AIがデータを分析している。
気候条件に合わせて車両の設定を適応させ、仮想的に性能を向上させている。また遠隔診断により、顧客がサービスセンターに行く頻度も減らすことができる。
また“人体”という現実空間をデジタルツインとして再現し、医療に役立てる試みも進んでおり、手術や治療のトレーニングや、新たな医療・薬剤のシミュレーションに使われている
調査会社・MarketsandMarketsのレポートは、2020年に31億ドル(約3500億円)だったデジタルツイン市場が、2026年には482億ドル(約5兆5000億円)に達すると予測する
国際情勢がいつ急変するか予測しづらい時代だからこそ、製造業にかかわらず、デジタルツイン的な発想もより重要になっていきているのかもしれない
出典元(写真含む)は下記URL参照
https://signal.diamond.jp/articles/-/1058
https://diamond.jp/articles/-/292555?utm_source=dol&utm_medium=mail&utm_campaign=ad0225