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ニューヨーク金融市場

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2019年11月の記事一覧

多くの経済指標が発表された1日。引き続きオプションにチャンスか。

多くの経済指標が発表された1日。引き続きオプションにチャンスか。

今月は実質的に今日が最終取引日ということで多くの経済指標が集中(明日はThanksgiving、金曜は半ドン ン)。本日、出てきた米国経済指標は以下の通り。

<GDP>
3Q二次速報は前期比年率+2.1%とー次速報+1.9%から大きく上方修正。ただし、在庫が$10bln引き上げられたことが主な要因で、企業収益は+0.2%と 2Qの+3.8%から大きく低下しており、内容は良くないという評価。

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No News is Good News? ボラティリティのレベルには疑問

No News is Good News? ボラティリティのレベルには疑問

米国は Thanksgiving の週ということもあり参加者は少なめ。本日の材料は、週末に中国が政府が知的財産侵害の基準を引き下げたことや、環球時報からら“ネガティブなメディアとは対照的に”フェーズ1の合意は近いと報道があった程度。ダラスやシカゴの地区連銀指数は弱めな内容であったが特に材料視されず。

株はオープンから上昇し、クロス円もしっかりする中で債券は買いが優勢であった。米株については自分

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Goodbye ムーアキャピタル。米中は何も決まらないとリスクが高まる。

Goodbye ムーアキャピタル。米中は何も決まらないとリスクが高まる。

トランプ大統領は FOX との電話インタビューの中で「習近平と一緒の立場でもあるし、香港とも一緒の立場でもある」と話しており、香港人権法案と通商交渉はトランプ政権も切り離して考えていることが確認された。特にトランプ大統領からすれば香港の問題よりも通商の方がはるかに重要という感じが伝わって来ており、中国側から見てもやはり次期大統領はウォーレンよりもトランプの方が “マシ” という風に写っているだろう

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米中ヘッドラインで株が大きく動いた一日。原油は地政学リスクで全戻し

米中ヘッドラインで株が大きく動いた一日。原油は地政学リスクで全戻し

引き続き米中のヘッドラインで相場は右往左往しており、本日話題になったのは、「フェーズ1の合意は来年以降になる見通し」とのロイター記事と、「フェーズ1の合意に同けて引き続き交渉を続けている」というFOX記者からのツイートであった。

ただ、昨日も述べたように米国メディアの記事はどこまでトランプ政権の意向を示しているか定かではない。より重要なのは本日の中国商務省による定例記者会見(東京4時)になるだ

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米中は中国商務省の会見が重要に。マンハッタンでは不動産下落が止まらない。

米中は中国商務省の会見が重要に。マンハッタンでは不動産下落が止まらない。

引き続き米中関係の報道が多く、本日出てきたニュースを整理すると以下のようになる。

環球時報:ネガティブ
米中間にまだ隔たりがあり、中国は前提多件として両国が同時に同じ割合で関税を引き下げるべきと考えているが、米国がその要望に後ろ向きであると報道。

CNBC:ネガティプ
トランプ大統領は中国がディールをしなければすぐに関税を今まで以上に引き上げると話していると報道。

ブルームバーグ :ネ

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米中交渉に陰り、今週はアジアの貿易収支に注目か

米中交渉に陰り、今週はアジアの貿易収支に注目か

ファーウェイ制裁は90日間の延期が決まったが、ニューヨーク市場はCNBCの米中関連記事が話題となり人民元売り、株売り、金利低下でスタート。
CNBCによると北京は通商協議に悲観的になっており、10月に中国側は関税を段階的に引き下げていくことで合意できたと考えていたが、トランプが関税撤回を否定したことで交渉に問題が出ているとのこと。また、フェーズ1の合意に農産物購入の数値目標を入れることも中国側が拒

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続く米株と他アセットの乖離。米中はFT記事よりFOX記者の話に注目

続く米株と他アセットの乖離。米中はFT記事よりFOX記者の話に注目

※アップ出来ていなくていつもより更新遅れました。

米金利の低下やクロス円の下落、日経平均などを見ていると典型的なリスクオフの展開にも見えるが、米株だけは NY時間に入ると買いが沸いて出る時間が続いている。本日はイタリア国債が急落(※1) する等、気持ち悪い値動きも見られたが、米株はお構いなしの展開。この動きはここ何日か続いて降り、今後も他のアセット(欧州や新興国)から米国資産(米株、米金利、ド

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米株と他のアセットの乖離が続く中、大手HFチューダーはまだリスク資産に強気

米株と他のアセットの乖離が続く中、大手HFチューダーはまだリスク資産に強気

1. パウエル議長の議会証言は若干ハトな印象で、経済見通しに大きな変更が無い限り現行の政策スタンスが続くとしながらも、リスクはインフレ率を念頭にダウンサイドにあると示唆した。米株はややハトなパウエルの講演も後押ししてアジア時間の下げ幅を縮小している。

米中協議絡みでは交渉に障害が出ているとの報道が WSJから見られたが、報道のボイントは以下の通り。

①トランプ大統領は 500億ドルの

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トランプ演説はNo News、目立つのは売られ続けた新興国

トランプ演説はNo News、目立つのは売られ続けた新興国

1. NY のエコノミッククラブで開かれたトランプのスピーチのポイントは以下の通り。
①フェーズ1の合意は近い。もし合意できなければ関税を極めて大きく引き上げるだろう。
②フェーズ1の時期、調印場所、関税巻き戻しについては言明せず。
③EUの通商慣行を激しく非難。今週期限の自動車関税を延期するか否かは言明せず。
スピーチの前半は株が史上最高値を更新していることや、中間所得者の賃金が伸びていることな

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対中関税を巡る米政権内の二つの勢力の対立が明らかになってきた

対中関税を巡る米政権内の二つの勢力の対立が明らかになってきた

トランプ大統領は記者からの対中関税に関する質問に対して “U.S has not agreed to a rollback of ALLtariffs on China (米国は全ての対中関税を巻き戻す約束はしていない!)”と回答。中国商務省が記者会見で説明した “段階的に関税を引き下げていくことで合意”とは未だに溝がありそう。ただ、トランプ大統領も “段階的に引き下げていく可能性”を否定したわけ

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米株最高値更新に湧く中で 、リスクオンポジションを全て解消した一日。その理由は。

米株最高値更新に湧く中で 、リスクオンポジションを全て解消した一日。その理由は。

"CHINA COMMERCE MINISTRY SAYS CHINA AND U.S. HAVE AGREED TO CANCEL EXISTING TARIFFS IN DIFFERENT PHASES (関税を引き下げることで合意)というヘッドラインで株、為替、金利ともに大きくリスクオン。また米国時間には "U.S. SAYS CHINA TRADE DEAL WOULD INCLUDE T

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クロス円の売りで為替もリスクオンが巻き戻し。米中協議の行方にも要注意。

クロス円の売りで為替もリスクオンが巻き戻し。米中協議の行方にも要注意。

1.昨日はここまでのリスクオン相場を取れてきたヘッジファンドから米株ロングを落す動きが見られたが、本日は為替でもリスクオンポジションも巻き戻す動きがあった。特にブラジルレアル(▲2.0%安)を中心に新興国通貨弱く、一般的にリスク感応度が高いEMが売られていることに個人的には警戒。本日はエバンスやウィリアムズといったFED関係者がスピーチを行ったが、ハト派な彼らですらここからの金融政策は“データ次第

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強いISM非製造業でも株は下落。それが意味する事

強いISM非製造業でも株は下落。それが意味する事

1. FTや WSJの記事をきっかけに、米中協議のフェーズ1に既存関税(9月に発動された分)の巻き戻しが含まれるのではという期待が入ってきているが、株については上値が重たくなってきている印象を受ける。特に ISM 非製造業が予想を上回り、内容も申し分ない強さだったにも関わらず下落して始まったことから、ロングポジションを落す動きがあったと思われる。米国のようにサービス業がGDP の大半を占める国にお

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史上最高値を更新する米株。ここから気をつけたい事。

史上最高値を更新する米株。ここから気をつけたい事。

先週からのリスクオンムードが続いており、米株は最高値を更新し、金利も上昇している。CNN(下図参照)が出しているマーケットのブルペア指数もかなりブルサイドに振れている。こういう時こそ、自分達が次のような相場の格言において、どの位置に立っているかを考えるいい時間帯だろう。

「相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福の中で消えていく」

まず、8月は悲観のピークであったと言え

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