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米中交渉に陰り、今週はアジアの貿易収支に注目か

ファーウェイ制裁は90日間の延期が決まったが、ニューヨーク市場はCNBCの米中関連記事が話題となり人民元売り、株売り、金利低下でスタート。
CNBCによると北京は通商協議に悲観的になっており、10月に中国側は関税を段階的に引き下げていくことで合意できたと考えていたが、トランプが関税撤回を否定したことで交渉に問題が出ているとのこと。また、フェーズ1の合意に農産物購入の数値目標を入れることも中国側が拒否しているようだ。

以前指摘したように、米国側は9月分の関税撤廃に前向きなグループ(ムニューシン、クドローなど)と一切妥協しないグループ (ナバロ、ビルズペリーなど)に分かれている。9月分の関税撤廃に前向きなムニューシンらは “中国側との交渉で9月分撤回が合意に向けて必要だと肌で感じている現場”であるのに対して、一切妥協しないナバロらは“安全保障上の理由で一切中国に妥協をしたくない裏方”と言えよう。

重要なのはトランプ大統領の意向であるが、彼はフェーズ2以降の交渉を優位進めるためにもフェーズ1で9月分の関税撤回のカードを切るのは勿体無いと考えており、ナバロ寄りとの見方が多い。

APECが開催されていればフェーズ1は今週末に合意が出来ていたはずだったが、“まだ”詳細を詰めている状況ということから、投資家の期待も下がり始めているように感じる。先週までは少なくとも半分以上の市場参加者がフェーズ1に9月関税の一部撤回が含まれると期待していたと考えており、フェーズ1の合意が出来たとしても小粒なものに留まれば失望イベントになりそう。

一方、英国の世論調査は保守党がリードを広げており、Yougovが16日に発表したものでは保守党が 45%と労働党を大きく突き放している。Brexit リスクが大幅に後退して以降、英国資産を物色するヘッジファンドも多いが、特に人気なのは不動産で NY の物件が税制改革の影響で手放したい人が多いことも後押ししている模様。(私のように市場性商品を扱う人には直接関係無いが)

今週は材料が少ない週だがアジアでは貿易収支(日本·韓国·台湾·タイ)のデータが多く、半導体サイクルの転換を描いて SOX ロングを積み上げてきた投資家には、半導体需給を確認する週になりそう。

その他、米国ではパウエル議長が大統領の要請で会談が行われた。FEDからは金融政策に関する議論は無く、経済見通しなど議会証言と同様の内容だったと声明が出ているが、トランプ大統領からは、マイナス金利やドル高、米中通商など幅広く良い議論を行ったとのコメントが見られた。

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