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トランプ演説はNo News、目立つのは売られ続けた新興国

1. NY のエコノミッククラブで開かれたトランプのスピーチのポイントは以下の通り。
①フェーズ1の合意は近い。もし合意できなければ関税を極めて大きく引き上げるだろう。
②フェーズ1の時期、調印場所、関税巻き戻しについては言明せず。
③EUの通商慣行を激しく非難。今週期限の自動車関税を延期するか否かは言明せず。
スピーチの前半は株が史上最高値を更新していることや、中間所得者の賃金が伸びていることなど、自身の政策効果を声高々にアピール。これほどまでに株価を気にする政権もいない為、来年再選すれば株が一段高になるだろうと予想する人が多いのも領ける。
一方、対中批判も繰り返しており、”中国ほど数字やルールを操作してきた国はいない”との批判。それに対して、グローバルタイムズ紙の Hu Xijin からは“多くの対中批判があったが真新しい話は無い。米国の当局者は嘘も繰り返していれば真実になると本気で思っているようだ”と皮肉たっぷりな反論が見られた。

2. メジャーマーケットへの影響は見られていないが、連休が明けて気になったのは新興国の地政学リスクがいたる所で顕在化してきていること。香港のデモ激化(ハンセンは二日で▲2.2%) は周知のことながら、イスラエルのガザ地区空爆や、チリの新たな大規模ストライキ(チリペソは二日で▲5.0%)、ボリビア大統領の亡命など、新興国市場に売り材料が続いている。週初から中国株が冴えないことや、本日も米国時間になるとメキシコペソやプラジルレアルといった新興国通貨が売られていることは気掛かり。このようにリスクに敏感なセクターが弱いところを鑑みるに、米市場以外のセンチメントは脆弱な印象を受ける。

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