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原因を知りたいと思うのは①

「心の病」の脳科学(講談社)という本を購入しました。

精神疾患はどうやら脳の問題らしいということは30年前に私が就職した頃にはちらほらと言われ始めていました。当時は精神科医もその研究に躍起になっていて、統合失調症(当時の精神分裂病)の原因究明や治療が一気に進むのでは⁈と期待半分、冷ややか半分くらいの印象がありました。

精神科医局にはまだ大学人事が色濃く残っている時代で、出身大学によって「脳派」と「精神分析(心理)派」にくっきりと色分けされている、戦国時代のような時期でもありました。

私が就職した医療機関の精神科医局は、関西でも「脳派」で有名な医学部を出た医師が多くて、彼らの話を聞いて驚いたのを今も覚えています。
そして「心が脳にある」どころか「心は脳だ」という論調には素直に頷けない自分がいました。それというのも、精神疾患が脳の問題だとすると「薬以外に打つ手がない=リハビリテーションの効果は期待できない」という風に思えたからでした。

ひととの温かな関係や体験を通して、明らかに症状が良くなる患者さんたちを見ながら「脳の問題だというなら、この人たちがなぜ回復しているのか説明してほしい」と思ったこともあります。

今回、冒頭でご紹介した本を読みながら、当時、感じていたことが自分の中で大きく変化していることに気がつきました。いつの間にか私自身、精神疾患を脳の問題だと捉え、人前でもそのように説明していることに気がついたのです。

いったい私の中で何が起きたのでしょうか。

本を読み進めながら考えたことを少しずつ書いていきたいと思います。
(つづく)

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