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嵐の中の平安
今日は海の日ですね。あらためて、日本にとって海がどれだけ大切なものかを考えさせられます。
福音書には海についての記述が多くありますが、そのほとんどは湖、特にガリラヤ湖のことです。
日本では琵琶湖がかつて淡海(淡水の海のこと)と呼ばれたように、ガリラヤ湖も当時はガリラヤの海などと呼ばれていたのです。
ガリラヤ湖は地中海の海面より200メートル以上低い峡谷にあるため、しばしば激しい突風が発生して荒れます。
弟子たちがそんな嵐に遭遇した時のことが、福音書に記されており、そこには人生の嵐にも当てはまる教訓が含まれています。
さてその日、夕方になると、イエスは弟子たちに、「向こう岸へ渡ろう」と言われた。そこで、彼らは群衆をあとに残し、イエスが舟に乗っておられるまま、乗り出した。ほかの舟も一緒に行った。
イエスはその日一日中、岸辺にいる「おびただしい群衆」を相手に、舟の上から多くのことを教えられたので、きっと夕方にはクタクタだったことでしょう。(マルコ4:1-2)
休息が必要なので、舟を降りることなく、弟子たちと共にそのまま向こう岸へ向かわれたのですが、イエスを追いかけてくる舟も多くありました。
すると、激しい突風が起り、波が舟の中に打ち込んできて、舟に満ちそうになった。ところが、イエス自身は、舳の方でまくらをして、眠っておられた。そこで、弟子たちはイエスをおこして、「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」と言った。
弟子たちの何人かはガリラヤ湖の漁師だったので、嵐の中での舟の扱いには慣れており、最初は自分たちで何とかしようと努めたのでしょう。
しかし、彼らの経験と知識では手に負えないほど激しい嵐だったので、自分たちは溺れ死ぬかもしれないと恐れました。
それとは対象的に、そんなひどい嵐の中、イエスは安らかに眠っておられました。
弟子たちにしてみれば、イエスから「向こう岸へ渡ろう」と言われたので一緒に来たのに、当の本人は弟子たちの身の安全を気にかけていないように見えたのでしょう。
そう考えている内に、それまでイエスがどれほど彼らに愛と関心を注ぎ、助けてきてくださったかを忘れてしまったようです。
そこで、イエスを起こし、「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」と文句を言ったわけです。
私たちも、人生の嵐に直面する時、同じようなことを主に言ってしまうかもしれません。
イエスは起きあがって風をしかり、海にむかって、「静まれ、黙れ」と言われると、風はやんで、大なぎになった。イエスは彼らに言われた、「なぜ、そんなにこわがるのか。どうして信仰がないのか。」 彼らは恐れおののいて、互に言った、「いったい、この方はだれだろう。風も海も従わせるとは。」
「なぜ、そんなにこわがるのか」と言われましたが、聖書には、主が共におられるなら恐れる必要はないと、何度も繰り返されています。(イザヤ41:10、ヨシュア1:9、詩篇23:4など)
「どうして信仰がないのか」の意味は、他の翻訳聖書にあるように「まだ信仰がないのか」「まだ信じないのか」ということです。
これまでイエスと共に行動し、数多くの奇跡を見てきたというのに、それでもまだ、「イエスが共におられるなら安心だ、恐れなくていい」という信仰が、弟子たちにはありませんでした。
本当の意味で眠っており、目覚める必要があったのは、イエスではなく、弟子たちの信仰だったのかもしれません。
また、私たちが人生の嵐に見舞われた時、神は外側から打ち付ける風や波だけではなく、私たちの荒れ狂う心も「静まる」ことを望んでおられます。
心が平静を取り戻す時、私たちはより冷静に状況が見られるし、何よりも、共におられる主が、ちょうどいい時にすべてをうまく取り計らってくださるという信仰を持つことができます。
不安や試練で溺れそうだと感じる時には、「静まれ。なぜ、そんなにこわがるのか。わたしが共にいるではないか」と言われる主の声に力づけられて、嵐の先にある「向こう岸」へと進めますように。
たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、わざわいを恐れません。あなたがわたしと共におられるからです。
彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い出された。主があらしを静められると、海の波は穏やかになった。こうして彼らは波の静まったのを喜び、主は彼らをその望む港へ導かれた。
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(ガリラヤ湖の嵐の中のキリスト)
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