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選手の理想像とトレーニングのギャップ
今回のお話のテーマはイメージのギャップです。トレーナーが提供しようとしてるトレーニングと選手が達成したい将来像のイメージにギャップがあるという話です。なぜ、こう言ったことが起こるのかを書きました。よかったら読んでみてください。
ラクロスではオフシーズンに入り、体作りが中心となる季節になってきました。また、最近のコロナの動向を見ると昨年と同様の練習ができないといった状況さえ想定しておく必要もあるかもしれない。。。。。
学生トレーナーをはじめ多くの方がトレーニング=フィジカル強化と考えている人も多い。しかし、プロトレーナー(現場に出ている人)はトレーニング以外でもウオーミングアップやクールダウン、引いてはメディカル(リハビリ)や栄養に至るまで幅広く貢献している。身体操作や視野トレーニングにおいても極論、フィジカル強化である。
トレーナー=トレーニングを指導する人
トレーニング=フィジカル強化、身体管理
という図式を以前として崩せていない。教育課程上の問題ももちろんあるだろう。しかし、こういった認識が生まれてしまうのは、競技における本質的な意味合いを理解せず、『動作』に認識が偏っているからだと私は考えている。理学療法士も同様である。
動作分析を始め機能と動作にのみを評価してしまう。『行為』として捉えることが苦手なのだ。
行為とは「人の意思に基づく身体の動静」である。
意思に基づく動きであるということは、行動を決定する事前の情報(認知)が必ずあるということだ。サッカーやラクロスを始めとするフィールド球技はこの事前情報が非常に大事になる。
一連の流れを図にすると以下のようになる。
これが一連の行為を決定するまでの流れとなる。
これをみるとトレーナーが教えているフィジカルトレーニングに代表されるものは『実行』に関わるものだということがわかる。
このフェイズで発揮される出力のため、ベンチプレスやスクワットの重量とか、○○走りのタイムがとか、アウトカムの評価に直結しづらい。
例えば、ベンチプレスや体幹回旋の筋力が高いとシュート速度が高くなると言いづらい。証明しづらいのだ。
もっといえば、結果シュート速度が上がったとして、シュート成功率や得点率が上がるのか言われれば答えは否だろう。
フィジカルトレーニングのおける機能向上とチームの勝利との関係性は高いと言えるかは疑問が残る。というのが私の考えである。
もちろん、強く影響を与えることもある。
例えば、怪我による主要選手の離脱を最小化できる。一定水準までの身体能力の強化としては効果的である。具体的な数値目標を掲げることでモチベーションの維持につなげる。数値として管理しやすい。データとして蓄積しやすい。メンバー選抜のためのボーダーラインとして指標にできるなど。。。。
ラクロスやサッカーなどのフィールド球技において重要なことは事前の認識であることについては述べた。情報の収取と整理が何よりも大事なのだ。その情報とは何か?
それは点差、状況の変化推移、時間、場所、心理、空間である。加えて、それらの情報に基づいた情報から課題を抽出、有効な選択肢の数をどれだけ残し、戦術としてどうするのかを判断することが重要である。
こういった要素を取り込んだトレーニングメニューを考えるトレーナーは少ない。なぜならこういったメニューは、トレーニングとして行うよりも練習メニューとしてコーチが取り入れていることだからだ。分野が違うからトレーニングしなくていいのかといえば決してそんなことはない。
トレーナーはコーチや監督にその必要性を説明し、練習メニューに入れてもらうように助言する必要があるかもしれない。できなければ、自身の許される範囲内でもこういった要素のあるメニューを考案し実行する。こちらの方がより球技の本質に近いトレーニングが提供できる。数値化したアウトカムは難しいというデメリットはあるが、行為の質を変化させることができるのではないだろうか。トレーナーでもこういったところにアプローチすることはできるはずである。
多くの選手はトレーニングが大事なことは重々知っている。もちろん、フィジカル的な強さが選手を成長させることも多くある。フィジカルの強さの自信や実感がプレーを変化させる。しかし、本当に選手立ちが求めているのは身体機能の強化や怪我の予防だろうか。言葉ではすぐに出てくるが。。
本当は、試合で結果が残せることである。
本当の願望は、速いシュートを打ちたいのではなく、得点を決めたい。
当たり負けしたくないではなく、次の行為にスムーズに行こうしたい。
なのではないだろうか。
トレーナーは選手の本当の願望(抽象度の高いところ)にもっと耳を傾けるべきではないだろうか。
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