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「ミスと罰」について考えさせられた。〜小倉全由「『一生懸命』の教え方」を読んだ。

名門野球部の監督さんの著書。

日大三高の野球部監督・小倉全由さんの著書を読み終えました。

2021年発行

講演会で話を聞いているように、すいすいと言葉が入ってきました。

この本を手にとった問題意識としては、「子育て」に役に立つかもしれない、という感じだったのですが、子どもにはわかるまで何度も粘り強く教える、とか、下級生がミスしたら上級生を叱る、など、非常に参考になりました。

上級生を叱るのは、長男を叱る、と似ていますね。
ただ、長男はどれだけ成長してもずっと長男なので可哀想な気もしますが、高校生の場合、下級生もすぐに上級生になるので、この叱り方は不公平感もなく、理に適っているのかもしれません。

色々具体例が出てくるうちの一つ。
小倉さんは絶対やらない、他校の監督の良くない叱り方。
そして、ミスに対する罰の話が印象に残りました。


試合中に見せしめのような罰。

高校の名前は出ていませんが、ある高校と対戦した時に、相手選手のスライディングの仕方が悪く、ベンチに戻ったあと相手チームの監督が叱責した上に、試合が終わるまでずっとスライディングの練習をさせられる姿を見たそうです。

これは小倉さんなら絶対やらないと。

小倉さんは、ミスをした選手には、たとえば悪送球してしまった選手には、「さっきのはお前さんらしくもないプレーだったな。一体どうしたんだ?」というように問いを与え、選手にミスの理由を考えさせ、答えさせる。
その上で、同じプレーを繰り返さないような練習や準備を心がけさせる、という対応をしているそうです。

野球の指導を通じて、人間を育てる。

野球部の監督さんなので、もちろん野球が上手になるように指導をしていくわけですが、野球の指導を通じ、社会に出てどこでも通用する人間を育てることを意識しているそうです。

なので、上級生は下級生を尊重し、下級生は上級生を尊敬する、そういう関係で結ばれたチームを作ることを心がけているそうです。

たしかに、社会人となったら、普通に先輩とも後輩とも協調して働くことになるわけで、高校生活・部活生活の中でそういう人間関係のつくり方に慣れることはのちのち絶対役に立つと思います。

この点は、とにかくチームを強くすることだけにフォーカスしがちかもしれない高校や、監督とは違う視点だと思いました。

最近、「虚空の人 清原和博を巡る旅」を読んだのですが、読みながらWikipediaでPL学園の野球部にはびこっていた暴力やシゴキについて知り、高校によってだいぶ環境が違うものだなと思いました。(Wikipediaで読んだ限りでは、PL学園の場合、上級生の下級生に対する暴力やシゴキが問題のようですが・・。)

ただ、部内・部員間で起きている問題を監督が見過ごしているのなら、それは大問題であり、やはり監督の視野は狭く、強いチームを作ることだけに目がいってしまっており、野球を通じて人間を育てる、という視点は持っていないのかもしれません。

余談ですが、PL学園野球部の内実(栄光、そして廃部まで)に迫った本もあるようです。少し、気になる。


ミスに対しては「罰」ではなく、「対話と対策」。

学んだこととしては、ミス・間違いに対しては「対話と対策」が大事かな、と思いました。

そして、できる限り自分の中に「問い」を持たせて、自分で「どうしたいか、どうしたらいいと思うか。」を考えてもらう。

これによって、自主性も育むことができる。

こんなところでしょうか。

言うは易しですが、意識して子どもに働きかけてみたいと思います。

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