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葉桜の美学:一瞬の栄華と刹那の閃光

 2023年、春。ことしも相変わらずすばらしい姿をみせてくれた桜並木も束の間、葉桜の登場から初夏まではもうすぐだ、とわかっているはずなのに、まだ春休の心地で居る。

 ことしは上野公園も夜桜見物で賑わっていた。ポストコロナ時代の先駆者たちは、江戸の昔から変わらぬ観桜という文化を通じてなにを思っただろうか。

 目黒川も外国人で溢れていた。よくみると人ばかりで桜よりも往来人見物の様相だが、それもまた懐かしい人混みである。

 ところが、である。とくに本年に特有のことかは知らないが、やはり桜は直ぐに終わってしまう。卯月初旬の千鳥ケ淵も、既に葉桜が姿を現そうというところだ。

 あらためて四季の循環の必然性と自然の儚さを再確認させられるものである。永い蓄積が表面に出て栄華を伝えるのも、美の閃光も一瞬だ。

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