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認知行動療法について

復職直後は休職中と違い、社会の速度に合わせて業務やコミュニケーションを行う必要があります。
たとえ充分に回復していても、ストレス状況になっても踏ん張れるか、気持ちを切り替えて翌日また職場に向かえるかは別問題です。

ちょうど骨折を治した後と同じで、骨がくっついているか(治癒)と重い荷物を持てるか(就労)はイコールではありません。‬

そんなとき、再発予防に役立つのが認知行動療法です。‬


認知行動療法について

認知行動療法とは、認知(ものの見方)や行動を変えるさまざまな技法の総称です。

うつが再発する原因

うつが繰り返し再発する原因の一つは、ものの見方(認知)が変わっていないことにあります。

例えば、休職前に「私は同期より出来が悪い」と思っていた人は、復職してもその思いをことある毎に思い出し、その度に落ち込んだり仕事の手が止まったりしてしまうことでしょう。
これは特有の<認知>が<行動>に強い影響を与えているパターンです。

‬そんなことが続けば会社にも行きたくなくなるでしょう。

ひとたび欠勤してしまえばそのことがまた「私は出来が悪い」の認知を強固にします。さらに、明日も明後日も仕事に行かない日が続くとします。
これは欠勤することによって「私は出来が悪い」という<認知>を強める、いわゆる、ある<行動>が<認知>の証拠になっているのです。

つまり、<認知>と<行動>はお互いに影響を与えている関係にあります。

陥りやすい自身の<認知>や<行動>のクセを客観的に見つめなおし、修正していくトレーニングを積み重ねる、それが認知行動療法であり、再発防止につながるというわけです。


認知再構成法

<現実に即した認知で、気持ちを切り替える>

行動を変えるには、ネガティブな感情を生み出している認知を自分で変えることができると役立ちます。‬かいつまんで認知再構成法という、認知行動療法の技法の1つ、「認知を変える技法」を紹介します。

例えば、先の欠勤が続いていて、「私は出来が悪い」と考えている人物を想定してみましょう。
「自分の友人が同じような立場に合ったらどうやって声をかける?」「そのように考えることで、自分にとって損していることはないだろうか?」「置かれている状況に対して、もっと最悪な事ってあるんじゃない?」など別の見方から考え直します。
このときに、あらかじめ状況や出来事を具体的にまとめていると、新しい考えが出てきやすいでしょう。

認知再構成法によってより現実に即した認知を見つけられれば、

「休職していない同期と比べることがそもそもナンセンス」
「上司でもない私が同期や自分自身の評価を気にしても始まらない」
「出来が悪くないという証拠は今この仕事をやり終えることから始まる」

といったふうに考えられるようになるかもしれません。自分で自分の気持ちを切り替えられるようになります。


行動実験‬

<行動してみて認知が正しいか検討する>

行動実験は行動から認知にアプローチする方法です。
再び、欠勤が続いていて、「私は出来が悪い」と考えている人物を例にかいつまんで紹介しましょう。
認知再構成法によって「出来が悪くないという証拠は今この仕事をやり終えることから始まる」と考えられたとします。
今度は、実際に、今の仕事をやり終えるという行動を実験としてやってみます。仕事をやり終えるというのが、ハードルが高ければ別の証拠となる行動を挙げると良いでしょう。
行動実験した後に、「私は出来が悪い」という認知の強さが弱くなったか、気分に変化が起きたかなどを評価します。
そうすることで行動が効果があることを学習し、継続できるようになります。

認知行動療法を行うには

再発予防に認知行動療法が役に立つわかっても、一体どうしたらいいのだろうと思うことでしょう。

認知行動療法についての本もたくさんで出版されていますし、ネットからでも情報を得ることができます。ためしに、最近話題のChat GPTに聞いてみたら、すらすらと方法を教えてくれたりもしました!

一人で進めるのが難しい場合、専門家の指導を受けることを検討してください。心理士やカウンセラーは、個別の状況に合わせて適切なアプローチを提供してくれます。

リワークを活用した場合、プログラムに認知行動療法を取り入れているところがほとんどです。
復職に向けての準備としてリワークを検討してみてもよいでしょう。

一人で悩まず、まずは周りの相談しやすい方に相談してみてください。


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