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自立支援型デイサービスのポラリス|グループ70拠点中業績No.1の事業所に学ぶ

CNOブログ第2回。前回に引き続き、自立支援に特化したリハビリ型のデイサービス事業を行う株式会社ポラリス様のご紹介となります。(以下、ポラリス)

今回はその事業所から。

全国約70拠点に事業所を構え、業界のパイオニア的存在として知られているポラリス。
前回の森社長の取材から、ポラリスが高品質な自立支援型の介護を提供しながら、社員のやりがいを高め、企業として成長し続けられる理由を学びました。

そんなポラリスの現場は、どのように運営されているのでしょうか!?
現場の具体的な取り組みに迫るため、グループの中でも業績トップを誇るという兵庫県川西市見野(みの)事業所の田中所長(以下、田中さん)を取材しました。
※文中にお客様の生の声を動画でご紹介しています

常に暖かい笑顔の田中所長。業績No.1の秘訣が知りたい

強い組織づくりは人づくりから

現場を訪れ、直接田中さんからお話を伺い、最も印象的だったのは

「成果を出すために、人を育て、活かすことに徹底して注力する」

という姿勢でした。

見野営業所には田中さんをはじめ、自立支援介護にやりがいを感じている方が集まっています。

ご利用者様が良くなっていく様子がなによりもの励みになり、そこに一切の妥協をすることなく、惜しみなく向き合うという覚悟を感じます。

「仕事はもちろん大変ですが、常に前を向き、楽しんでやることが大切です。
現場では、私自身が仕事を楽しめているかどうか、また職員が楽しんで働けているのかどうかを常に心がけて取り組んでいます」と田中さん。

自立支援を提供するのは「人」。

サービス提供を担う職員が楽しんでイキイキ活躍できるように。
ご利用者様に接するのと同じくらい、「志を共にする仲間」に対してもまっすぐに向き合う姿勢が印象的でした

ズバリ、全社70拠点中業績ナンバーワンになるには、いったい何が必要なのでしょうか?
田中さんに聞いてみました。

この答えに、ナンバーワン所長としての確信を感じました。

ポラリスの職員の皆さんは、日々のご利用者様の対応で大変忙しく、お互いの時間を合わせて話す機会をつくるのは至難の業。

こうしたドタバタの接客現場では、人材育成や社内コミュニケーションが後回しにされがちですが、ポラリスでは、対面での対話に加えてチャットをうまく活用することで、「コミュニケーションの質と量」を担保されています。

現場の工夫について、詳しく教えていただきました。


チームワークを支える「コミュニケーションの質と量」

ポラリスでは、「ご利用者様の自立支援介護を実現する」という目標を掲げていますが、この目標をみんなで達成していくには、社内コミュニケーションを通じてチームワークを高めることが必要不可欠。

社内コミュニケーションが円滑であれば、チームワークも生まれて、拠点の業績も自然と向上すると感じています」と田中さん。

所長に加えてエリア長まで任されている田中さんは、相当忙しいはずなのに、職員さんたちへの声がけを怠ることはありません。

どのようにしてコミュニケーションの質と量を上げていって、どのような効果を生んでいるのでしょうか。さらに掘り下げてお聞きしてみました。


1. 心理的安全性を担保して、一歩ずつ改善を積み上げる

「毎日30分、夕礼の時間には、職員のみんなとできる限り話せるように意識をしています。

特に新人さんや、普段の発言が少ない職員さんには積極的に声をかけるようにしています。
その日に起きたことはその日のうちに解決できるように、明日からの改善に繋げていけるように、全員で細かいところまで話し合う場にしています。

チームワークには「心理的安全性」が欠かせない

職員さんの中には『面と向かって相談するのが苦手な方』や『忙しい上司に遠慮するあまり一人で抱え込んでしまう方』もいらっしゃいます。 

(本音):あれもこれも相談したい
(恐怖):でも、ダメな奴だと思われるのが怖くて相談できない

(本音):教えてもらったことを理解できていない、忘れてしまった…。
(恐怖):上司は忙しそうだし、もう一回聞いたら嫌がられるかな…バカだと思われたらどうしよう…

そうして、誰にも相談できない状況が続き、結果的に職員が離職してしまう。多かれ少なかれ、どの現場でも起きていることではないでしょうか。 

ご縁があって入社してくれた職員さんをそんなことで失うことがないように、長く働き続けてもらえるように、見野事業所では「なんでも話し合える環境づくり」を心がけているとのことです。

夕礼の中では、ご利用者様ごとのカルテやアセスメント内容、体力測定の結果、歩行状態、靴の状態、声掛けの仕方やポイント、Pウォークでの歩行状態や付き添い方など、その日に合わせて必要事項を細かく共有しています。
また、ご家族様に伝えるべき注意点などをメンバーに共有したり、痛みが出る方への対策やどこにクッションを置くか、痛みを緩和する方法はあるのか、などを考えたりしながら細かく議論しています。

こうした細かい情報共有のおかげで、誰もがご利用者様のことを同じように知ることができ同じ目線で対応できるようになっています。
また、日々繰り返すことで、事業所全体としての対応の質も上がってくると考えています。

「ポラリスウォーク| ポラリス売上トップの秘訣とは?スタッフの協力とケアマネージャーの繋がりで目標達成!」より引用

ご利用者様のためになること、事業所を今よりも良くすることであれば、細かいことでもどんどん取り入れていきます。

見野事業所では、今日起こったことを振り返り、たとえその中で失敗事象があったとしても、そのことを決して責めることなく、事実を冷静に受け止め、その原因究明と次への改善方法について職員全員で議論するという習慣があるようです。

今日の失敗も明日の改善に繋げていくという、前向きで貪欲な姿勢で、一歩ずつ一歩ずつ成果を積み上げていく。
『ローマは1日にしてならず』
これこそがナンバーワンへの王道である、と深く納得できました。

あとは理屈ではなく、前向きで健全な「空気」を田中さんが、かなり意識的に醸成していってる、要は「場を暖めて盛り上げていってる」のだということも感じました。場が温まってるからこそ、これだけ皆さんお互いに笑顔と声がけができるわけです。

ご利用者様の自立に役立つように、職員がイキイキ活躍できるように、事業所が良くなるように。
そのためには役職、性別、経験、など一切関係なく、誰でもどんなことでも意見を出して、やってみる、ということが奨励、承認されている。

見野事業所ではこのような「心理的安全性」を担保する文化がしっかりと確立されています。

さらに、この素晴らしい文化に「仕組み」が加わります。

チャットでいつでも誰でも気軽に発信できる環境を用意する

「夕礼などのミーティングは、私たちにとってとても大切な時間と空間です。
ただ、それだけで十分!というわけではありませんから、足りない部分については、『チャット上でいつでも気軽に発信できる環境をつくる』ことでカバーしています

『お互いに話すタイミングがなかった、、』
『言おうと思ってたのに忘れていた、、』
といったことも、チャットなら非同期でお互いの時間を奪い合うことなく伝えることができます。そしてお互いの都合の良いタイミングで確認できる。
『それほど緊急でないけど重要なこと』には向いています」

「チャットの良いところは、テキストを書くことで落ち着いて言語化できることです。感情的、感覚的にならずに一旦思考を整理してから、論理的に書いていくので、相手にも意図が正しく伝わりやすく、自分自身にとっても考えが整理できるというメリットがあります。
あとから検索して何度でも確認できるので、『言った言わない』、『忘れました。もっかい言ってください、、』といったことがなくなるところも便利ですね」と、チャットがどのように現場に役立っているかについて語っていただきました。

職員さんたちのセーフティーネットのような役割も果たしていて、特に新人の受入と育成には欠かせないとのこと。

心理的安全性が担保されている職場環境だからこそ、チャットでの会話もかなり賑わってそうですね。


2. 事業所を超えたコミュニケーションが、いざという時にものを言う

ポラリスでは、仕事以外の内容でも気軽に発信できる「ポラトーク」というチャットグループを作っています。
これは「ITに苦手意識を持つ現場の職員に、まずはITツールに慣れ親しんでもらえるように」という目的で立ち上げられた、社内SNSのようなもの。

このポラトークによって、事業所を超えたコミュニケーションが活発になり、日頃の関係性構築が、いざという時に役立っていると言います。

「ポラリスでは、一人の職員が4人のご利用者様に対応していますが、現実には職員のレベルに合わせたシフト調整が必要であり、他の事業所に応援を要請しなければならない場合もあります。
そんな時、普段から事業所を超えてコミュニケーションが取れていると、応援を頼みやすく、また応援に行きやすくもなるんです」

シフトの応援要請については、Googleのスプレッドシート(いつでもどこでも、クラウド上で書き込み、確認ができるエクセルのようなもの)で各拠点長が状況を入力し、緊急度に応じて色分けするなどして共有しています。

具体的な人員の貸し借りについてはチャット上で相談調整します。

各拠点のシフトの状況。赤いところが不足、黄色は要注意

見野事業所のような現場、田中さんにとってチャットはどのような存在なのでしょうか?現場のなにがどのように変わったのでしょうか?
気になって聞いてみました。

「以前は、シフトの応援要請は電話やメールで行っていましたが、所長同士の時間が合わずすれ違いになり、調整が進まないことも多々ありました。
こっちが電話したときに、相手が手が離せない状態だったり、相手が手が空いて折返し電話してきたときに、逆にこっちが手が離せない状態だったり。
私たちの現場では所長も一般職員と同じように、ご利用者様に対応したり、車を運転して送迎したり、現場で一緒に手を動かします。
電話がかかってきても出れない状況のときがよくあるんです。

チャットだと、非同期(お互いの時間を奪い合うことなく)で、それぞれのスキマ時間に確認して反応ができるので、確実に連絡がついて調整できるようになり、とても助かっています」

非同期だと、リアルタイムでのコミュニケーションにならないので多少のタイムラグが発生しますが、「お互いに電話が繋がらなくて、何度もかけ直す」というような無駄な時間やストレスもない。結果的に「早い」という感覚になるのだと思います。

多忙な現場のみなさんに、「場所と時間を超えた非同期な働き方」を重宝いただけているみたいで嬉しい限りです。


3. 手厚い新人教育体制も、改善と工夫から生まれる

ITとOJTを組み合わせ、丁寧に新人教育を行っているポラリス。

「eラーニングシステムに加えて、最初の3ヶ月はプリセプターと呼ばれる先輩職員が、現場で新人に直接指導を行います。

毎日、仕事開始前に『今日の目標』をチャットに記入し、一日の仕事を終えた後、その目標に対して結果がどうだったのかを振り返り、プリセプターがフィードバックを行っています。

これに関しては、もし担当プリセプターが休みであっても、他の先輩(プリセプターのサブ)が状況を把握して新人をフォローできるように、常に3人体制で連携するようにしているんです。
関係者全員で情報を共有することで、誰かがカバーできますから」

フィードバックや申し送りも3人体制で行い、チャットも駆使することで、情報のヌケモレがないようにする。丁寧な教育を進めるため、いろんな工夫が盛り込まれています。
人材育成プログラムについても「より良くするための改善」をコツコツと積み重ねられているようです。


4. 成功事例を共有し、お互いに切磋琢磨しあう

前述した社内SNS「ポラトーク」では、

ご利用者様の◯◯さんが、歩けるようになり、ポラリスを卒業されました!」といった書き込みや、実際の写真などが毎日のように投稿されています。

以前は、全体で共有することが難しかった成功事例を、全社で気軽に共有することができるようになった、と田中さん。
「数多くの卒業者さんを送り出している事業所の投稿を見て『どうやってうまくいったのかもっと聞いてみよう!』『うちでも真似しよう!』と、みんなにとっての刺激になっています」

チャットで活躍を見てた人が応援に来てくれると感動!

以前はこのような情報共有がしづらかったそうですが、今では、全国に70拠点を構えながらも、成功事例を全拠点一斉に共有できる仕組みが整っています。


5. 個人SNSを使わない理由

ここで、素朴な疑問を田中さんにぶつけてみました。

「これって、個人SNSじゃだめなんですか?」

それに対する田中さんの返答がこちら。

「個人のSNSはプライベートで使用しているため、当然IDを教えたくない職員もいるし、それ以上は踏み込みづらいです。。。
その点ビジネスチャットは、会社全体として仕事で使用しているものなので、全拠点の全スタッフとオフィシャルでつながることができ、友達や家族の会話と混じることなく仕事モードに集中して使えます。
操作は個人SNSと同じようにシンプル
なので、考えることなく直感的に使えますね」

たしかに、個人のアドレスを仕事用途に聞き出すということには無理がありますね。。。お互いに安心して使いたいということで理解です。

ビジネスチャットを、自社の業務に合わせて工夫しながら
「人員配置の最適化」「情報伝達のスピード化」「コミュニケーション総量の向上」「全社での情報共有」といった点で、最大限に活用するポラリス。

ご利用者様の自立支援に向かう仲間を育て、バリバリ活躍してもらうために、仲間に向き合うことを優先する。そして、仲間と向き合うための「ゆとり」を少しでも生み出すために、便利な仕組みを使い倒す。

これがチームを率いる田中さんの時間の使い方、仕事術です。

成果を出すためのポイントは?という問いに対して、迷いなく出てきた「チームワーク人を育て、活かすことに尽きる」という答え。

ITなどの新しい仕組みを覚えることは、忙しい現場にとっては相当な抵抗感があるものですが、すべては「人を育て、活かす」に紐付いているということが理解できれば、現場としてもシンプルに取り入れられやすくなるのではないでしょうか。

自立支援という高い理想を実践する現場の負担は大きい。
だからこそ、実務に集中しやすい環境をつくる。
つまり、それ以外の負担をできる限り軽減するということ。

非効率と効率のバランス無理なく続けられるための(サステナブルな)仕組みと文化

森社長のお話、所長の田中さんの姿勢、職員の皆さんの動きを拝見して、ここまで経営から現場までがしっかり連動している事例は珍しく、ポラリスの組織が持つ圧倒的な強さを感じました。



CNO山口の所感(今回のお出汁)=目標と人に向き合う姿勢

*お出汁とは…「イケてる企業」の、イケてる理由(先進的な経営をしている、急成長、お客様にも従業員にも選ばれる)を、山口はお出汁と喩えています。

森社長の掲げる「自立支援」への思いや、ポラリスが大切にしている「思いを共有する人々を大切にする」という企業文化を、具体的な行動と仕組みに落とし込み、現場でしっかりと実践されているポラリスの見野事業所。

70拠点中でトップの成績を誇る事業所には、チームで達成する文化、人に向き合う文化、仕事を楽しむ文化がありました。

所長も自ら現場担当者と同じようにご利用者様への対応や送迎を行うフラットな現場環境ということで職員さんたちと同じ現場仕事に加えて、所長は人の育成、配置調整、本部や他事業所との連携、売上数字の管理など事業所の運営責任を担っていく。

それはもうめちゃくちゃに忙しいはずなんですが、そんな中でも田中さんは、職員さんたちとのコミュニケーションの時間を、いかにして確保するかということを常に意識されています。
ここには、コミュニケーションのテクニックや仕組み以上に、「意欲」を感じました。

半日ほど現場を拝見させていただきましたが、もうなんというか皆さんの「顔つき」が違うと感じました。ご利用者様に、仲間同士に、自立支援に、真っ直ぐ向かっている「確信を得ている、いい顔」です。
基本マニュアルはあれども現場の状況は日々違うので各自が臨機応変に対応しなくてはならないはず。

細かい指示なんかされてないのに、ご利用者様のためになりそうなことを、各自が自発的に考えて動いて、チームで阿吽の呼吸でフォローし合う動きが美しかった。

ご利用者様への声がけや笑顔が絶えることがない。ご利用者様と職員さんとの間にたしかな信頼関係というか一体感を感じました。
ご利用者様同士も「がんばりや〜」と声を掛け合う、暖かい事業所。

「自分の親を安心して預けたいと思える施設」と言われる理由がよくわかります。

凄いなーと思ったのは、現場の皆さんにまったく悲壮感がないこと。
肩の力が抜けていて自然体でこなされているところです。
なんでそんな風にできるんでしょうか?

「自分たちがやっていることは社会的意義の高いこと」
「ご利用者様のためになることは、手を抜かずやろう!」
「役職、性別、経験関係なく、全員が改善に参加する」

「どうせやるなら、みんなで楽しみながら上を目指そうぜ!」

そこに一切の迷いがないからなんじゃないかと思います。
そして、安心して前を向いて走れる環境がここにはある。

「目的&目標意識」を引き上げて、「心理的安全性」を護って、全員を一歩前にリードしていく。そんな田中さんのマネージメント力が本当に素晴らしい。
ナンバーワンになるには理由がある。
心からリスペクトです!

ご利用者様とチームメンバーへのリスペクトが推進力に

さらには、ICTなどの「コア業務に集中できる労働環境」があることも大きな安心感となっているはずです。

・理念の浸透とプロ意識の醸成
・チームで達成する(人を育てる)文化
・働きやすい環境を、職員全員でつくる

これこそが、「他社が真似したくても、真似できない」ポラリスさんの強みだと感じました。

会社という枠組みを超えて、見野営業所と同じ現場をいくつも再現できたら、自立支援の輪が今以上にさらに加速度的に広がっていくことでしょう。

今後のさらなる発展フェーズも是非ご一緒させていただきたいです。

お忙しい現場にお邪魔させていただきましてありがとうございました!



ポラリス現場編取材動画全編はこちら。
ぜひご覧ください!


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